第1節:ラ・ニュイ・エトワール
書簡
私は学生だった頃からディアーナに関する研究を行ってきた。ここでのディアーナとはローマ神話に登場する女神のことではなく、かつてこの世界に魔術という概念をもたらし、この世界と活発に交流した時期がありながらも、21世紀初頭を最後に全ての接続が切断されたといわれるある種の平行世界のことである。
その存在を証拠づける数々の物品にもかかわらず、多くの人はディアーナを「オカルトあるいは疑似科学」の産物だと信じ込んでいる。哀れな大衆は人工知能システムという偶像をあたかも唯一神のように妄信するのだ。――――そして、その事実がまたもディアーナを地上から遠ざける。横文字ではフィードバック、縦文字では悪循環。このままでは意味を失ったわが世界はヴォイド的堕落へと陥り、ただ存在すれど存在し得ないモノに埋め尽くされることはもはや明白なのだ。
だから私は意味を求める。ディアーナとわが基底界を再び結びつける。そのために私は、虚構と意味の間の一本の懸け橋となるのだ。この使命を、私は決して忘れてはならない。
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星月夜とは別に、星も月も両方出ていてすごく明るい夜のことを指すのではない。月が出ておらずとも星明りで事が足りてしまうような、空気の澄んだ夜のことを指す。――――天気は快晴、気温は10度、時刻は1時35分。魔女の館の屋根の下、ひとりの少年は今日も夢を見る。
ハイ終了、短すぎるぞ少年。
筆者はいわゆる設定厨であるので、実はここを書いている時点でストーリー案は全然練っていない。設定を楽しく作って、それで満足しがちなのである。
ついでに予め言っておくが、この小説には両性具有的人物が登場する(はず)。苦手な方は注意されたい。




