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影 ネオン街の星  作者: 蔵吉
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ghost

ホストの世界を初めて体験、今後のホスト人生はどうなるのか?

おはようございます。

ホストの世界では夜でも挨拶はおはようございます。こんばんわは使わない。


龍崎に電話し、面接をした後、ホストクラブに入店することになった、キラキラした店内は検索してみたあの場面そのままだった。

ホストとして最初の仕事は掃除、トイレ掃除から店内の床、ソファー、テーブルを拭いて開店の準備、新人はお客様の席にもつけない、ひたすら頼まれたアイスペールに氷を入れて運んだりビールの栓を抜いたり、居酒屋の豪華な店員さんって感じの仕事が中心、


来店してくるお客さんは若い人からおば様まで色々な人がいた、この時は、この人たちがどんな人でどんな仕事しているのかなんて気にもならなかった。

ホストの世界が自分を求めていると思って入ったがイマイチ本気になってホストの仕事をしようとは思ってなかった、

ただ違法喫茶店で働いていた時よりは自分はこの煌びやかな世界の一員なんだという優越感はどこかに生まれていた。


                   

ホストクラブに入店して3か月がたった、やっと新人の仕事にも慣れて先輩ホストと一緒にお客様の席に着くことが出来るようになっていた。

このホストクラブループはホスト50人ぐらいの中型店と言われるお店だった、No1No2No3はクラブの中で絶大な力があった、中でもNo1の石川 晃は神の扱いをさせていた、晃さんが黒と言えば白でも黒になる、本当にこんな世界があるんだなと思って見ていた、何せこの3人には近づけない、話なんてとんでもないことだった。俺みたいな新人ホストが話かけると他の先輩ホストに怒られる、というかオーラがすごくて話かける勇気がなかった。


俺の同期に3人のホストがいる、皆、夢と希望を持ってギラギラした目でトイレ掃除をしていた、

「早く俺たちも売り上げ上げて晃さんみたいなホストになろうな!」

なんて話しかけてきたりする。そんな同期を横目で見てイマイチやる気がでない俺は適当に毎日を過ごしてダラダラしていた、


そんな俺の教育担当は俺に声をかけてきた龍崎。俺は龍崎に勧められて源氏名をつけることにした。

このホストクラブループでは俺は一ノ瀬 零時、店内に入った瞬間から俺は一ノ瀬零時になる。

この、名前を変える感覚もすごく新鮮で自分が生まれ変わったかのような感覚になっていた。

龍崎は見かけによらずしっかりした先輩だった。もちろん売れっ子ではない、しかし売れっ子の先輩たちの絶大な信用を勝ち取っていた。

まずは記憶力がすごかった。一度見たお客さんの顔と名前は絶対に忘れない。売れっ子の先輩があのお客さんの誕生日っていつだっけ??「あの子だったら3月6日ですよ、もう少しですね。」なんて誕生日の日にちまで覚えているので、売れっ子のホストは龍崎の記憶を頼りにしていた。

町で見たけた俺の顔も覚えていたぐらいなのだ。

売れっ子のホストはお客様が多いので、すべてのお客様の誕生日や名前、特徴などを覚えきれない、それでも大事なお客様の情報はメモをとっているがそれ以外の細かいお客様の情報は忘れてしまうことが多かった、そんなときは龍崎のような記憶力のいい人は諜報される。


龍崎は席についてもすごかった、先輩の席についてお客様と指名のホストのお世話をするヘルプと言う仕事がある、先輩がタバコを吸うときはライターで火をつけてあげるお客様のグラスが空になったらすぐにお酒を造って用意してあげる。

プラス会話を盛り上げるための話題を提供したり先輩の会話に同調したりお客様の要望に応えたり、ヘルプの仕事はとてつもなくやることが多い。

龍崎はヘルプの仕事が完璧だった。

3か月たったいま、俺はヘルプの仕事で出来るのは、ライターとお酒作り、そのぐらいだった。人生でまったく意識してこなかったが会話、会話ってものすごく難しい。

相手に合わせて、相手がなにを言いたいのか理解して、相手の気分が悪くならないように会話を盛り上げていく。俺にとって会話はホストとして最初の壁とも言っていい。

しかも女にタバコの火をつけて要望に応えるなんて今までにないことなのでどうしても感覚的に新しいというか気が向かない。

ホストなんて仕事が本当に俺に向いているのか?

いつものように逃げたい気持ちでいっぱいでいた。


3か月たって同期の2人は指名のお客様が出来ていた。細いお客だがすごいな~、と完全に他人事、自分も頑張って早くお客様ほしいな~なんて感情はなかった。いまだに早く時間すぎないかな、しか仕事中に考えていなかった。

龍崎が「零時、焦らなくていいぞ、タイミングってもんもあるからさ」

俺に気を使ってやさしい言葉をかけてくるが俺は本当に焦りも落ち込みもなかった。


そんなある日、俺は見覚えのある人物と遭遇する。

晃さんの席ですごく盛り上がっているお客さまがいた。

しかも聞き覚えがある声だった、気にはなったが晃さんの席なのでのぞきに行くわけにも行けない。

気にすることをやめて自分の仕事をすることにした。この時、自分の仕事はトイレにいくお客様をトイレまで案内して出てきたらおしぼりを差し出す。

誰でもできる仕事を与えられていた。

仕事をこなしていると、晃さんの席で盛り上がっていたお客様が席を立ってこちらに近づいてくる、相手は自分の存在に気づいていないが、俺にはその顔にものすごく覚えがあった、和美だ。

和美は高校時代の自分の彼女だった、しかし高校時代の雰囲気とは違ってだいぶ派手な化粧と服装に変わっていた。

人違いか?と思ったが間違いなく和美だった、頭は悪いが、付き合ったことのある女の顔を忘れるほど頭が悪いとは自分でも思わなかった。間違いない和美だ。


和美は自分には気づかずにトイレに向かった。

こんなところに俺がいるとは思ってないのであろう、それとも忘れらているのか?


トイレから出てきた和美におしぼりを渡す。和美は自分の顔も見ないでおしぼりを受け取って席に戻って行った。

だいぶこの店に慣れている感じに感じた。

ちょうど龍崎がトイレに向かって歩いてくるのですぐに捕まえて、「あのお客様はどんな人ですか?名前はなんですか?」

龍崎は「お前さーどうした、タイプか?」

「いえそうじゃないんですけど気になって、、」

「晃さんのお客さまだよ、それと元この店のオーナーの娘、店のみんなは「お嬢」ってよんでる」

「元オーナーの娘! 」

どうなっているだ?和美はここの元オーナーの娘?

「変なちょっかい出すなよ晃さんのお客さまなんだぞ」

と小声で俺に伝えて龍崎はトイレに消えて行った。

お嬢、何度も店の中で聞いたことのあるあだ名だった、俺こそ和美に気づいていたなかったんだ、


なんなんだ?和美はこの店の元オーナーの娘?元ってことは今は違うのか?高校時代、付き合ってる相手の親の職業なんて全く気にもしてなかったし、興味もなかった。まさかあの和美の親がこの店の元オーナーだったなんて、実際に和美の家に遊びに行ったこともないし俺の家に来たこともなかった、和美の事なんて何も知らなかったことを思い知った、学生時代の恋愛なんてこんなもんなんだな、色々と気になることがありすぎて頭が混乱した。

この日の閉店後、俺は龍崎を飯に誘った、龍崎は酔っ払っていたが面倒な顔せずにオッケーして歌舞伎町の中にある牛丼屋さんに二人で入った、

「おめーさー金ねーからって誘いやがっただろ!」

「違いますよ仕事の相談ですよ」

なんてことを言いながら、和美の事を色々と聞きたいと思っていた。


牛丼屋さんなんですけど色々と定食もある、俺は焼肉定食を頼んで龍崎は牛丼並をたんだ。

「あの~今日の晃さんのお客様ですけど、元オーナーの? 話聞きたんですけど」

龍崎は牛丼を食べながら

「なるほど、俺が余計なことを言ったから気になったって事ね」

「はい、そんなところです」

元彼女ですとは言えなかった。

龍崎は少し顔をゆがめて話ずらそうに話始めた。

「お嬢の事だろ、かわいいよな、ってそんな事じゃないか?」

俺はこの時、真剣な顔をしていたと思う。そんな俺の顔を見てふざけるのをやめて話の続きを龍崎はした。

「お嬢は元オーナーの娘だって事は話したよね、」

「はい」

「お嬢は去年ぐらいから晃さんを指名で来てるんだよ、それまでは存在は知っていたけど店にはあまり来てなかったんだ」

「へぇ~何かあったからきたんですかね?それより元オーナーってどういう事なんですか?今は違う人がオーナーってことですか?」

龍崎は

「まぁー焦るなってこれから説明するからさ、俺がクラブループに入店したのが今から2年前、そのころはお嬢の父親がオーナーをしていたんだよ、俺は話しもできないし、あったことも2,3回だった、今でこそ先輩に良くしてもらっているけど、当時は俺もただの新人だったからな、オーナーとしゃべるなんて、とんでもないことだったんだよ。」


今の俺が晃さんにしゃべりかけられない状態だ、気持ちがわかった、龍崎でもそうなら俺なら絶対にしゃべりかけるなんて事はできない人だったんだ。


「そんなオーナーが去年突然死んだんだ、」

え、、死んだ。和美の父親は死んでるんだ。

「なんで死んだんですか?」

「そう、そこなんだよ、歌舞伎町のビルから落ちて死んだんだけど、警察は自殺だって結論だしたんだ、」

「自殺なんですか??なんで自殺なんてしんたですか?何かに困っていたんですか?」

俺はあまりの衝撃に頭の中が暴走状態になってしまった。

「だから焦るなってちゃんと話すから、それでオーナーに奥さんがいるんだけど、その人が言うには自殺する理由が見当たらないっていうんだってよ。」

「はぁ、それで」

「絶対に自殺はないって言って警察とも、さんざん、もめたらしいんだけど警察は結局自殺って結論だしたんだよ、まぁーこの歌舞伎町の住民は皆、少なからず誰にも言えない秘密ってもんを一つや二つはもっているんだろうから本当のところは俺には分からないよ。」

俺は元彼女の父親の店で働き始めて、その元彼女の父親は死んでる、自殺で、衝撃がありすぎて、いつ焼肉定食を食べ終わったのかわからず、空っぽのごはん茶碗を箸でご飯を挟もうとしていた、

「わっ食い終わってる」

声にだしてしまった

「なんだ?」

「すみませんなんでもないです。 でお嬢はそのことをどう思っているんですか?」

「聞けねーよ!ただ元オーナーが死んでからだな、店に来るようになったのは、俺もお嬢とはそんな深い話なんてできないからさ、」

「で、今のオーナーって誰なんですか?」

「今のオーナーは晃さんだよ」

「晃さん??」

「バリバリホストじゃないですか?」

「死んだ後で店をどうするかって幹部で話し合って晃さんがオーナーになるってことでまとまったみたい、俺は幹部でもなんでもないから、わからないけどな、もちろん奥さんにはいくらかお金は払っているらしい、買い取ったって形だな。」

「そうなんですか、、」

しばらく呆然としていたら

龍崎が

「よし帰ろうぜ!明日もバリバリ働くぞ!!」

牛丼屋を後にした。


話を聞いて俺は和美と話がしたいと思ったが、どうしたらいいかわからなかった、電話してみるか?いや、やめよう。ほっといてあげよう、今は俺の彼女でも何でもないんだし、ましてはNo1のお客様だし、俺が心配したところでどうにもならいと思った。


ただ今の自分の姿を和美が見たらどう思うか、心配になり不安になった、何もできないで、真剣に生きていない自分をみたら、、

逃げようとも考えた、しかしこの店も気になるし、和美もきになって仕方がない、やるしかないと決めた。


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