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影 ネオン街の星  作者: 蔵吉
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Auditory hallucination

どこにでもいる青年がホストの世界に飛び込んだ、学生時代の恋人がホストクラブのお客さんで来ていることを知った、学生時代の恋人は、青年が入店したお店のオーナーの娘だった、しかもオーナーは死んでいた、そこから不思議な現象が起き始めて、青年はホストとして成長し、学生時代の恋人との人間関係、色々なキャラの先輩たちとの人間ドラマ。

今から3年前の冬の歌舞伎町だった


俺は高校を卒業して就職することなくブラブラ実家暮らし、

東京出身ってことで特に実家を出る理由もなくウダウダ実家で過ごしていた。


あまり友達もいなかった、

彼女も高校時代にはいたが、卒業してからは疎遠になり、相手は大学に入って俺とは違う世界で生きていた。

連絡はとってない自然消滅、最近では告白も別れもラインで済ませる時代だし、自然消滅なんて普通の事、特に気にもしてない。


適当にバイトをして過ごしているとアッと言う間に二十歳になっていた。

夢もないし、目標もない、自分がどんな人間で何ができるのか全く分からない。

ただ俺にも何か才能があるんじゃないか、人と違った才能があるんじゃないか、なんてことを毎日思っていた。中二病ってやつだった、高校卒業してるのに中二病。


そんなある日の真昼間の新宿東口で、いかにも怪しい男に声をかけられる。

黒のスーツに白シャツ、ネクタイはしてない、白シャツの片方の襟がジャケットの下に入っちゃってるようなダラシナイ風味の男

「おにーさんチョット時間ある?」

「、、、、、」

「カッコいいね、一緒に働かない?いい車乗って、いい家に住みたいでしょ?そんなの簡単だからさ、一緒に働こうよ。」

ものすごい軽い男で信用ならなそうな人間だった。

「それじゃさ、その気になったらここに連絡ちょうだいよ。」

と名刺をもらってその場を離れた。


なんだよ何かを売りつけようとしてるんだ、路上で声をかけて無理やり売りつける商売、田舎から出てきた奴にモデルやらないと声をかけて会費が10万なんだよ。だけど仕事が入ればすぐに元は取れるからさ、モデルにならない?かっこいいから。

10万払っても、いつになっても仕事なんて入ってこない、で事務所に連絡を入れてみるとこの電話は使われてません!

こんな詐欺が本当に今でも余裕でそこらじゅうで行われている。


ふと、さっきもらった名刺をよく見てみた、

龍崎 光

クラブループ

なんの店?キャバクラ?俺男だし。。

さっそくアイフォンで検索してみる、

サファリでク、ラ、ブ、ループ検索。

検索すると一番上にクラブループの文字が

親指でクリック、

ビシッとスーツで決めた男たちがキラキラしたお店でカッコつけて俺をにらんでいる、何のサイトだ?


ホストクラブだった。


存在は知っていたが全く興味がない世界、自分が働くなんて想像もできない、自分では、そんなにブサイクではないつもりだが自分には関係のない世界だと思っていた、それどころか軽蔑していた面もある。

女性を騙してお金を稼ぐ、未成年の女性を騙して借金地獄、悪いイメージしかなかった。



                  


「おめー遅刻だぞ!何回遅刻すればわかるんだよ!」

「いや、、駅前で変な人に話しかけられて、本当だったら間に合っていたんですけど、、、」

「言い訳してんじゃねぇーよ!やる気がねーなら辞めちまえ!!変わりはいくらでもいんだよ!」

「、、、、」

バイトは歌舞伎町交番近くにある喫茶店、お金がかけられる違法ゲーム機が何台かあるちょっと怪しい喫茶店、昼の12時から夜の8時までマカナイ付きで自給800円、適当にできそうだし、自給安いけどマカナイあるし、軽いノリで決めたバイトなので仕事に対してプライドも責任感もなにもなかった。


バイトを終わらせて家に帰り、実家だが、部屋にこもりイライラしながらバイトの上司の悪口を頭のなかで呟いていた。


ストレス解消にはオナニーが一番、どんなにイライラしていてもどんなに困ったことが起きてもオナニーはする、オナニーの事を俺は、自分磨きと呼んでいた。

いつものようにアイフォンを手にしてティッシュ箱を自分の近くに置いた。


自分磨きして嫌な事は忘れてやる。


サファリを開くと昼間検索したままの画面が。

キラキラしたお店で男たちがこっちをニラミつけている。。


俺はしばらくフリーズ状態

俺はなんなんだ!ダメ人間か!頭の中で吠えた

何故か今回は、何があってもしていた自分磨きを諦めて、アイフォンをベットに投げつけた。


敗北感が全身を満たし、トイレが詰まった時のように今にも溢れるんじゃないかドキドキとゾクゾクとソワソワが重なり合った変な気持ちで気が狂いそうになった。


二十歳の少し肌寒くなってきた秋だった。


                  


悩んだ、人生で初めて本気で悩んだ。

二十歳の自分はこのままダラダラして学生時代の同級生などにドンドン差をつけられてしまうんだ、仕事で出世して結婚して幸せな家庭を築いていく同級生や周りの人間から除外されて生きて行くのか。


考え出すとドンドン不安になり、部屋の中をウロウロし始めた、檻に閉じ込められたライオンのようにひたすら部屋の中をウロウロしていた。

どんなに考えたところで何もアイデアは浮かんでこない、それどころか考えていると、このままでもいいんじゃないか?やっぱり俺には何か才能があって、いつか自分を必要としている世界が自分にコンタクトを取ってくるんじゃないか、そんな事が頭の中にあふれてきてしまう。

一般の凡人のダメ人間だった。


いつものように頭の中をあえて空っぽにして、何も考えないようにしながらバイトに行くために新宿東口に出た、

すると先日自分に声をかけてきた龍崎が周りをキョロキョロ見ながら前方100メールぐらいのところに見えた、自分は龍崎を避けるように人影に隠れながら少し大回りしてバイト先をめざした。

龍崎は若い男と話こんでいた、自分にしてきたようにバイトの勧誘をしている、その後もバイトに行くたびに龍崎を目撃するようになった。

龍崎 光、名前は立派だが見た目は、だらしなくてどう見ても龍崎 光って名前があってない、もう自分の事なんて忘れていると思ったが常に龍崎を避けて歩いた、


今日も龍崎をさけて歩いて信号待ちをしていると、肩をたたかれた。

新宿東口で肩を叩かれるってことなどめったにない、誰もが歩いてる人に興味を示さず目的地を目指し、ひたすら歩く、何千人、何万人いると思われる新宿東口の人たち、すれ違っていく人たちに興味なんて全くない、どんな人生?どんな人間?なにも興味がない。


恐る恐る振り向くと龍崎が笑顔で立っていた。

「この前の話考えてくれたかな?」

「。。。。。。っえ??」

龍崎は自分の事を覚えていたのだ。

「ホストだよ、一緒に働かないか?」

「ちょとバイトがあるのですみません。」

逃げようとしたが信号がまだ赤だった。

「キミさ、ホストに向いてると思うんだよね、将来に目的がないなら少しでいいからホストの世界を見てみない?」

俺は自分の事を龍崎が覚えていたことと、キミはホストに向いてると言う言葉で動揺してしまってオドオドしていた。

龍崎は笑顔でこちらを見ている。

信号が青に変わって龍崎に会釈をしてその場を立ち去った。


バイト中も龍崎の言葉が何も入ってなかった頭の中を埋め尽くしていた。

キミホストに向いてるよ、キミホストに向いてるよ、キミホストに向いてるよ、


バイトをこなしているといつものように先輩に怒鳴られる、何で怒られてるのかもわからない、いつもは受け流して早く時間が過ぎればいいと思っていたが、今日は少し違った、先輩に怒鳴り返してしまった。もちろん拳でぶっ飛ばされた、そしてその場から逃げるように店を出ていた。自分でもこんな感情になったのは初めてだった。


はぁ~、なんでこんなことしてんだろ、自分の行動に後悔した、ものすごい小さな後悔、今月の給料取りに行けないよな、、


殴られて上手く開けられない顎をさすりながら

ベットで横になって天井を見ていると、あの言葉が浮かんできた、

キミホストに向いてるよ。

俺は何か才能があって俺を必要としてくれる世界がコンタクトを取ってくる、もしかしてホストの世界が俺を必要としているのか?

どんな感情だったか忘れたがアイホンを持って龍崎に電話していた。


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