11.外れたレール
この話よりマリエル=クレチアン視点になります。
今回はかなり短いです。
繰り返した『世界』
アルセーヌ王子との恋
マルクとの恋
ゲオルグとの恋
シルヴィ=バローとの友情
何度も何度も繰り返した。
そしてやっと『彼』のルートをこじ開けた。
私の最愛の人『ユリウス=グラッセ王子』
この『世界』に『転生』する前に嵌っていたゲームのキャラクター。
サブキャラクターで絶対に落とせなかったキャラ。
彼との物語が描かれた二次創作のサイトを廻って読んでは『主人公』を自分に置き換えていた。
初めて転生した時に彼を見た瞬間、地球という惑星の日本という国で暮らしていた記憶を思い出した。
『ゲームの世界に転生』なんて夢物語だと思っていた。
だけど、実際に私は『転生』した。
そして幾度となくこの『世界』を繰り返し楽しんだ。
でも、恋い焦がれた相手が目の前にいるのに私は彼に近づくことができない。
彼の視線の先にはいつも『彼女』がいた。
グラッセ王国の始祖ユーグ=グラッセと同じ色を持つクレチアン家縁の娘。
いつも彼女が彼の視線を独占していた。
『レオンティーヌ=クレチアン』
クレチアン家の始祖ユーリ=G=クレチアンの能力を受け継いだ娘。
彼の視線を独り占めしている彼女に私は嫉妬した。
彼の隣りに立てるように教養も作法も何もかも頑張った。
それでも彼女には勝てなかった。
彼女がいるから彼は私を見てくれない。
いつしかそう思うようになっていた。
何度目かの『結末』を迎えた時、私は『神様』に願った。
あの人と恋をしたいと。
『神様』は笑って了承してくれた。
「いいよ。君の願いをかなえてあげる。でもね、忘れないで。彼には彼の心があるってことを。君がレールを外れるように彼もまた僕の作ったレールから外れるからね」
新たに始まる彼との恋愛物語に心弾ませていた私は『神様』の言葉を右から左に流した。
もし、『神様』の言葉をちゃんと聞いていたら私は違った『未来』を歩めたのだろうか……




