プロローグ
ああ、まただ。
また助けられなかった。
目の前で血を流して命の灯を消していく彼女。
いつからか、同じ時間を繰り返していることに気づいた。
そして知った。
彼女が己の運命に無意識ながらも何度も抗っていることに……
それでも『神様』とやらは無慈悲だった。
彼女ではなくもう一人の自称『ヒロイン』と名乗る少女の願いばかり叶えていた。
「ならば、そなたが彼女を救えばよかろう」
何度目かの目覚めの時、不意に届けられたメッセージ。
「そなたが救いたいのは『彼女』か『己』か……楽しませておくれ」
私は『神の箱庭』にいるのだろう。
気まぐれな『神様』の悪戯に参加するのもいいかもしれない。
何度も繰り返される時間。
何度も何度も経験する『彼女の死』
私はもう『彼女の死』は見たくない。
彼女には笑顔が似合うのだから。
太陽の下で満面の笑みを浮かべる彼女を再び見たい。
だから、神様。
あなたの悪戯に参加します。
神様曰く『メインイベント』さえ壊せば彼女は生きられる……笑顔でいられると。
いつ、どこで、誰が何をするのか把握できている。
多少のずれはあれども必ず起こる出来事だから忘れることはない。
さあ、神様。
始めましょう。
私とあなたの遊戯を……
勝利を収めるのは……