第五話プロローグ アナザーストーリーHARADA
中学過程クラスのテスト最終日の朝。私、原田智之はベッドすぐ横のまばゆい光が差し込むカーテンをバッと勢いよく開け放ち、朝一番の日を浴びた。
私は俗に言う中二病なる病気らしいのだが詳しい症状はわからない。私に特にこれといった変化もないのだ。
そんなことを考えながら朝食にかぶりつく。
ん、なぜこのようなものが準備されて・・・!!?
「やあ、原田智之君♪」
一人暮らしの狭いアパートの一室、カーテンを開け放ったとはいえ光が差し込みにくい場所がある。玄関だ。その方向から声が聞こえる。
「な、何の用ですか」
『彼』に対してはいつも敬語だ。どうも私は彼に戦わずして負けてしまっているようだ。彼の前に立つといつも足が震えてしまうのだ。
「あいさつに来ただけさ、おはよう♪」
「・・・・・・!」
「おいおい、そんな睨まないでくれたまえよ。同じ" 人間 "のよしみで、さ?」
「何が人間ですか、この悪魔が」
「まあ君が僕のことをどう呼ぼうと勝手だけど君・・・あの子達には何も吹き込んでないよね?」
ニカァッと笑ったのが明かりがなくてもわかる。
「な、何も言ってませんよ」
またしても声が震えてしまった。"あのとき"と同じだ。
「そうか、それならいいんだよ。じゃあね、メガネくん♪」
『彼』はただそれだけを言い残し私の部屋から出ていく。