第四話「人生の中で世界が一変する瞬間ってだいたい高校時代」
第八章
「それで新星くん。君はこの隻眼の闇に一体なんの御用かな」
頭のお医者さんが必要かなと一瞬ケータイを出したが少年に止められた。何だその哀れみの目は
「なにか用があるとは・・・」
「フッ、照れずとも良い。この漆黒の堕天使にわからぬことはない。存分にこのDI○に悩みを打ち明けるがいい!」
さっきから名前がいちいち変わっていることはさておき早速訊いてみる。
「あなたは私と同じ現実の世界から来た人だと聞きました。何か詳しいことは知りませんか」
「・・・・・・・・・・・・」
ハラダさんは口をつむぐ。そして顔がサーっと青ざめていく。
「ハラダ・・・さん?」
少年が心配そうに彼の顔をのぞくが以前変わらず口をつむいだままだった。
「知りたいか、若き者たちよ。知りたければ単位を獲得するんだな。私の口からは言えない・・・」
なにか事情があるのか、ハラダさんはそれ以上は口にしなかった。
「すまぬが帰ってもらえぬか、魔力低下により、気分が悪い」
ハラダさんはそのまま部室奥のソファで寝込んでしまった。
私達はハラダさんの体調をこれ以上悪くさせないため、部室を後にした。
そして放課後、私は少年と呪いの女の子を引き連れ、図書室へ向かった。
「ん〜、さすがにめぼしい資料は見当たりませんね」
「まあそんなカンタンなことなら苦労しないでしょう」
[そうですね]
「でも、さすがに死ぬまでネットの世界は嫌よ」
「そんなこと、僕だって承知の上で協力しているんです。ホント、どうしましょう。どうしたら元の世界に・・・そういえばハラダ先輩が単位を取ればわかるとか言ってましたよね」
「つまりは私が頑張ればいいと?私の頑張り次第だと?」
「そういうことになりますね」
しかたない。次のテストは二ヶ月後・・・。そこで結果を出すしか・・・。
第九章
一学期の中間テスト前日、私は小学課程から中学過程にテスト方針が変わり少し混乱している中でのテスト勉強に励んでいた。
以前のテストの際、少年と呪いの女の子も一緒に勉強していたせいか小学六年生の過程まで昇進しており、お互い苦労の連続だった。
今更だが私も現実世界に等身が近くなってきていた。勉強過程の昇進があると体が成長するらしい。どういうシステムだこれ。
「次のテストは明日、私達はテストをする感覚は大して変化はありませんが、久美子さんは大丈夫ですか」
「大丈夫もなにも、私はもともと高卒なのよ。中学過程のテスト方針なんて慣れっこよ」
[高卒?]
呪いの女の子は私が外の人間とは知らないらしく首をかしげた。
「あぁ、それはともかく!頑張らないとクラスが落ちますよ」
「クラスが落ちる?」
「はい、この世界に来た人間は点数を落とすと学年を落とされるんですよ」
「そんな大事なこといまさら言うの!!?」
「まあ今まで何の問題もなかったしいいじゃないですかwww」
他人事みたいに言いやがって・・・。
「まあ実際他人事ですしw」
心読まれてる!?
「まあいいわ、みんな明日頑張ろうね」
「[はい!]」
そしてテスト結果発表の日、私は一人中学のテスト返却受付へ向かう。そして、自分の目でしっかり確認する。
国語76点、数学65点、理科82点、歴史59点、英語78点・・・そこそこだけど赤点ではない!
その日の放課後、私は校長に呼び出された。
きっと、ハラダ先輩が言っていた「単位を取ればわかる事」なのだろうか。
「失礼します。何の用でしょうか・・・」
校長はゆっくりとこちらを向く。
「やあ大澤久美子くん、はじめまして」
その顔は20代前半そうに見え、目は少し垂れている。髪は茶色のストレート、タレ目以外は私の好みな感じだった。
「君に、伝えたいことがあるんだ」
校長はニコッと不気味に笑い、口を、開く。