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夢の中にて

うちが今日見た夢は、初めてライオスの所に来た時の夢やった。

白い高い天井から視線を外すと、金の髪と銀の瞳を持ったイケメンがホッとした様に椅子に座っていた。

どこかうちとは違う所が「これはライオスや」って認識して、また会話が始まる。


ティセスの町の話しを聞き終え、ライオスは関空の話しに困った様に頭をかいた。


「まあでも、夢やったらじきに覚めるやろうし!!

それまでお世話んなってええかな?」


「それはもちろん構わないが…夢、か。

いやまあ夢に思うのも無理は無いが…。」


変わらず頭をかいているライオスは「俺はライオス。この屋敷の主人だ」と簡単な自己紹介をした。

どっかにおるうちがまた「知ってる」とこぼすが、二人には聞こえてないっぽい。

もしかしてこれ、うちが幽霊とかになってんのかな?


「先程思ったんだが、君はこの国の生まれではないだろう?」


「うん!多分ちゃうと思う!だってうちの所ってこんなおっきいお屋敷とか主とか無かったし。

て言うかそれそもそも国の問題と思うんやけど…お兄さん日本語上手やねえ?どっかと日本のハーフ?」


首を傾げるうちとは正反対に首を傾げて「はーふ?」と呟いた。


「例えば…色味的にイギリスと日本とか?」


「イギリス…聞いた事が無いな。」


「ええーっ!!頭悪いうちでさえ覚えてたイギリスをーっ!?

ほんじゃフランスとか韓国とかはっ!?」


「いや…どちらがどんな所なのかも想像がつかないよ。」


首を振るライオスに、うちは一つ頷いた。


「…これは世界そのものがうちの居たところとちゃうんかもしれへんな。」


「君の居た世界の名はなんと言うんだ?

ここはラマーズと言う。」


「うちの居た場所は地球って言うねん!やっぱちゃうかったんか!!

と言う事は…え、始めて聞いたなそんな場所…。」


うんうん唸ってる自分に「そりゃそうや、習ってないもん」と小さく付け足す。


「え…コレ夢から覚めた時夢で片付けられへんかったら歴史的大発見ちゃう…?」


「歴史的大発見…ああ、確かにそうかもしれないな!」


きらきらと銀の瞳を輝かせるうちとライオス。

それに「言い始めたんはうちやけどっ、そんな訳あるかいなっ!」と突っ込んだ。

そもそもライオス年上やねんから、そう言う所は冷静に突っ込むとこやろう!

自分が冷静になればこう言う角度からの突っ込みも出来るのかと自分に少し自惚れる。


「いやしかし、事実君が地球と言う場所から来たとしてもだ。

それを証明出来る物があるのか?」


「え?」


一瞬に不安そうになった私に慌てて「別に疑っている訳ではないぞ」と先手を打つ。


「確かに…持ってたスーツケースもボストンバックも空港に預けてたから持ってないし、そもそもパスポートもボストン中入れっぱなしやし…おおう、携帯まで無いやんけ!!

うちのナナメ掛けもどっかいってるやん!うちのお菓子達がっ!!」


嘆き始める自分自身に今度は呆れた。

いや…気持ちは分かるで…旅行の前の日に千円分お菓子代としてつぎ込んだからな。


「まだうまい棒三本しか食べて無いのにーーーーーっ!!!」


そこかいな!!!


またも自分に突っ込んだ。

しかも最も安い9円駄菓子で嘆きなや!!!


「さ、災難だったな…。」


「災難も災難!!その後に待ってたクッキーとドーナッツとか、いや待て、空港内やったら食べてもいいってかかさんに許可貰ってたスルメとかジャーキーとかも!!!

うちまだ食べて無いのにーーーーーーーーっ!!!」


「クッキーやドーナツならこちらにもあるぞ。

スルメ、ジャーキーなども…確か聞いた事がある。」


そう言ってあやすライオスに「ほんまに!?」と食ってかかる。

その後メイドさんに持って来させたドーナツを頂いて、うちの機嫌もすこぶる良くなった。


「ライオスさん、そんでうち思ったんやけどな?」


両手に花、いや…両手に大きなドーナツを持ちながら、首を傾げる。


「なんだ?」


「うちのこの夢ってさー、いつ覚めるんやろうな。」


「…………」


答え様の無い質問をされて、ライオスは思わず黙り込む。

…出来ればその質問をせんかったらいいなと思ってた。

多分ライオスは、うちのこの問い掛けに答える時に腹括ったんやと思う。


銀の瞳が揺れているのは、多分難しい事いっぱい考えてるんや。

そんで、その伏せた視線の先には、自分の考えがあるんやろう。

その時うちは呑気に「ととさん達と連絡取られへんかったら、うちまだ迷子のままなんかなー」と考えていた。

その横では今後の事を本気で悩み抜いているライオスが居るのに。


うちは地球に帰れるんか、それは…否。

どういう風にこの世界までの道が繋がったんかは全然分からんけど。

でも奇跡がそう頻繁に起こるもんじゃない事くらいうちにだって分かる。

それを考えてライオスは「この家に住めばいい」と言ってくれた。

うちが事の重大さに気付いたんは、その言葉のもう少しだけ後やった。

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