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自室にて

「……む。」


「おはようございます、ノギクちゃん。

今日も最高のお召し物をご用意していますよ?」


「うおおお、起きていきなり自分の心配せんとあかんとか悪夢やあああ。」


べりっと被っていた布団を引っぺがすと、エルちゃんことエルネラはもはや清々しい程の笑顔で「早く顔洗って来て下さい」と言って、私を洗面所に追いやった。

初めこそ遠慮と礼儀を重視してたエルちゃんも、私がそんな事を気にしない相手だと分かった途端にこれだ。


「エルちゃん、なるべく装飾少なめで…ひらひらのワンピースとかやったら、うち裸で歩きまわったるからな!」


「まあはしたない。淑女の風上にも置けませんね。

どうせ裸になるのならば極上の質感のベビードールを着て旦那様のお部屋に放り込みますからね?」


「それ勘弁。ってか堪忍や。今の発言全部撤回して。」


それは一体どんな罰ゲームやねん!と心の中で盛大に突っ込んだ。

そんなこんなで結局レースやらリボンなどがたくさんついたドレスを持たされ、私は朝風呂へ向かった。


「…お手伝いしましょうか?」


「んー、平気ー、着れるからー。」


ちょうどお湯からあがると声が掛り、それほど着るのは難しい事も無いのでそう答える。

袖に手を通し、その質感に思わずため息をつく。


「…また新しいドレス作ったんちゃん、エルちゃん。」


「旦那様が好きな物を作れと言いましたもの。

ノギクちゃんに似合うと思った物を私自らデザインし、針子を総動員して最高級のドレスを作る。

こんな事が出来るのも、旦那様にお仕えしていたからだわ。

…私はノギクちゃんが旦那様の前に現れてくれた事が奇跡の様に思えるの。」


「…そう言ってくれんのはまあ、嬉しいんやけど。

うちは着れたら正直なんでもいいから、そんな綺麗なドレスばっかり作らんで?

もし本当に必要になった時にライオスが困る事あったりしたら…うち、たまらん。」


その時を想像した時に、果たしてうちはライオスの近くに居るんやろうか。


そんな事を考えていると、扉を開けてエルちゃんが入って来た。


「私はノギクちゃんの友達で、尊敬する旦那様の大事なお客様。

その関係が好転する時、私はノギクちゃんのお世話をこれ以上にしていたいわ。」


「えー…これ以上?ほんまにエルちゃんお世話好きやなー。」


うちはわざと吹き出して笑った。

それに少しだけ悲しそうに笑ったエルちゃん。

…うちが消える時は、いつになるんか分からんけど、まだいまやない。

そう信じる事にして、エルちゃんの手を引いてライオス達の待つ食堂へ向かった。

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