最終話 「聖体拝領」 その8
「にわかには信じられん……」
「確かに長の親兄弟を知る者はいない」
「だが、長きにわたるルマンとの戦いにおいて、我ら部族は傍流にあたる者たちも多く参戦した」
「部族間同士で結束せねばならぬ時もあったことは事実だ」
「それによって、完全な純血が保たれたとは言えぬだろうが……」
「なんにせよブラインが受け入れた相手に間違いはない」
「そうだ。娘までもうけたのだ」
「巫女であったブラインが部族を裏切るなど!」
「お前が我らの言葉をよどみなく話すことも、ガウェインの縁者であることも認めるとしても……」
「……なにがおかしいのだ!?」
「なるほど、なかなかどうして。厳格な原理主義ゆえに大陸人から蛮族呼ばわりされた者たちも、長しだいでこうも変わるものかと。いや、その純粋さゆえに操られたとは、是非も無いことだ」
「こやつ!」
「黙って聞いておれば何様のつもりか!」
「お前こそ北西人の犬ではないか!」
「お主たちは奴の左肩を見たことがあるか? そこに彫られたものを、一度でも目にしたことがあるか? それを見てもなお、かつての巫女の選択を信じるか? 当然知っていたであろう女が、巫女という役目を裏切り隠し続けた事実と、お主らを欺き続けた時間を許せるか? 誇り高き『北の部族』の勇士たちよ」
「なにがある?」
「とはいえ、肩を見せろなどと聞かぬことだ。無論、力ずくでなどもってのほか。奴に覚られた時、同時にお主らの命運も尽きる」
「なにがある!!」
「……白貂。盾と白貂だ、同胞たちよ」




