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よほろ軍談記   作者: 鈴木カラス
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第2話 「怒りの歴史」 その8

 帝国内へと侵攻するシャルル王子の『旅団』に対抗すべく、皇帝カール五世は五〇〇〇の兵を集めてハンブルク大公アーバインに『旅団』討伐の勅命を下す。アーバインはこれを受け、私兵団『巨人兵団』を含む八〇〇〇の人員を集め、合わせて一三〇〇〇の大軍をもってハノーバーへ向け進軍を開始した。

 皇帝より預かった五〇〇〇の兵に一〇〇〇の荷駄人足を付けて後詰めとし、自らは戦闘部隊五〇〇〇と輜重部隊二〇〇〇を率いて南下。『旅団』に習って用意した大規模な輸送部隊を活用し、アーバインは大軍を分散させずに移動させ、『旅団』の得意とする電撃作戦による各個撃破を封じた。

 ハノーバーに駐留する『旅団』の作戦会議では、数で上回る帝国の軍勢に対し籠城作戦をとる案が大方の意見であったが、ローランドはあえて野戦での決戦を主張。それも伏兵を隠すような場所すらないブレーメン郊外の平原を選択する。

 後詰めを含めれば戦闘員だけで三倍、総数でも倍以上の差がある相手との平原での決戦はあまりにも無謀であり、この時ばかりは諸将の誰ひとりとしてローランドを支持する者はいなかった。しかしそれでもローランドは飽くまで野戦にこだわり、必勝の策があると豪語した。そしてついにアラン伯が折れ、『旅団』はハノーバーを出立。ブレーメン郊外にてハンブルク公の大軍と対峙した。

 大陸最強と謳われるハンブルク公の私兵『巨人兵団』一〇〇〇騎を含む八〇〇〇の軍勢はしかし、ローランドが地中に仕掛けた『()』という新兵器によって陣形を大きく崩されると同時に大混乱に陥り、その最中ハンブルク公をランツクネヒトの伍長、赤髪あかがみハリアーによって討ち取られてしまう。

 かくして未明に始まった戦闘はわずか半日ほどで決着がついた。『旅団』側はフッサール率いるランツクネヒト隊が三〇〇人以上の死者を出してほぼ全滅したほか、合わせて一〇〇〇人ほどの死傷者を数えたが、帝国側はハンブルク大公アーバインが戦死、彼の率いた『巨人兵団』も壊滅するなど三〇〇〇人以上が死ぬ甚大な被害を出した。その様子を見ていた後詰め部隊の指揮官で皇帝直属の臣下でもあるギュンター伯は、戦わずして兵をハンブルク近郊まで引き上げ、帝国側の事実上の敗戦が決まった。

 ハノーバー奪回を目指した帝国の大軍を返り討ちにし、三人目の五大公アーバインを敗死させたことで王国側の勝利は決定的なものになった。

 

 大陸暦一五二五年、初夏。帝国皇帝カール五世は勅使をハノーバーへと派遣し、『旅団』との停戦交渉に入るのだった。戦争が終わる。誰もがそう思った……。

第3話へつづく。

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