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彼の秘密

最近デフォルトで2000文字を超えるようになりました。


短く書くのは苦手です・・・。

ダークはリシェア達と合流するために走った。


背後からは上級ヴァンパイアが追ってきている。


何度か攻撃を掠めはしたが、今の所、致命傷には至っていない。


先行させた己の植物である薔薇が、血を与えてくれると約束してくれた少女の危機を伝える。


焦りばかりが、彼を支配する。


だが今は、ただ走ることしか出来なかった。




首筋に痛みが走る。


頭が真っ白になる。


ヴァンパイアに噛まれたのだと認識するのにかなり時間がかかった。


リシェアはあまりのショックに膝から力が抜け、へたり込むの踏ん張ることすら出来なかった。


血色の良かった肌は、恐怖からか、それとも血を吸われたからか、白くなっていた。


ようやく霧が晴れて状況が見えるようになった。


だがそのときには、ヴァンパイアはすでにリシェアから離れていた。


「ッ!神よ!滅せよ!レトリビューション(天罰)!」


ケェーナはへたりこんでいるリシェアの真上を通過するように魔法を放つ。


リシェアの後ろに居たヴァンパイアは、血を飲んで悦に浸っていたため回避するのがわずかに遅れた。


左足、左脇を大きく削られながら飛びのく。


「グッ、人間ガッ!!」


今まで余裕を保っていたヴァンパイアが怒りをあらわにする。


茫然としているリシェアに意識を向け、命じた。


「そこのヴァンパイアを殺せッ!」


「なっ・・・まさか!」


ケェーナが目を見開き声を上げる。


リシェアはへたり込んだまま、ぎこちない動きでナハトに銃を構えた。


リシェア自身も驚いて目を見開いている。


必死に止めようとするが、意に沿わない腕に泣きそうになる。


ナハトもあまりのことに反応できない。


森に、ヴァンパイアの哄笑が響いた。


だが、ヴァンパイアは気が付いていなかった。


薔薇の花が己の背後に忍び寄っているのを。


唐突に、中級ヴァンパイアに絡みつき始める薔薇。


同時に、ようやく到着したダークが、リシェアに体当たりをする。


おかげでリシェアはナハトを撃たずにすみ、最悪の事態は避けられた。


もっとも、問題が解決したわけではないのだが。


「みんな無事だね?」


「リシェアが無事じゃ「ありません」「ない!」」


ケェーナとナハトがハモって言う。


「そうだね。ごめん・・・。後もう一つ、謝らなくちゃいけないことがあるんだ。」


薔薇に絡みつかれたヴァンパイアと、まだショックから抜け出せていないリシェアを無視して話を進める3人。


「なんですか?」


「これ以上悪いことなんてあるんですかネ。」


「えーっとぉ。・・・今は振り切ってきたからしばらく来ないと思うけど・・・上級の、おそらくケーニヒのヴァンパイアがこっちに向かってたりします。」


「・・・嘘でしょう?」


「これ以上悪いことなんてあるもんなんだな・・・。」


「ごめんね?とにかく今は、リシェアをどうにかしないと・・・。」


ここで、ショックから立ち直ったリシェアが口を開く。


「あのヴァンパイアの眷属?になったんだからどうにも出来ないんじゃないの・・・?」


「ふっふっふー。あいつは中級のリッターだよ。僕よりも魔力が低いんだ。塗り替えることだって出来るよ。・・・・・・たぶん。」


「不確か過ぎませんかね?それは。」


「と、とにかくやってみるよ!」


ケェーナに冷たくツッコまれたダークが慌てて返す。


そしてリシェアの首筋に唇をよせ、さっき噛まれた場所と同じところに、まるで塗りつぶすかのように牙を埋めた。


じゅるっ、ずずっ。


と、はっきりと音を立てて血を飲む。


ややあって首筋から唇を離す。


「・・・なんか変わった?」


「さあ、私には分かりませんが。ナハト。貴方は分かりますか?」


「魔力が・・・階級が上がっているんだと思う。少なくともヘルシャー・・・上級に属してると思う。さっきとは段違いだ・・・。」


「じゃ、成功かな?これで君は僕の眷属になったんだよ。後ついでに約束も果たされたから。・・・ただ、君はヴァンパイアにならざる終えなくなった。」


「・・・大丈夫よ。仲間に迷惑を掛けないだけましよ。」


その返事を聞いてダークはうなずいた。


いきなり背後・・・中級ヴァンパイアが居る方向で爆発が起きた。


「役立たずが・・・人間の一人も始末できないとはな。」


ダークを追ってきたのだろう、上級ヴァンパイアが中級に向けて放った魔法だったようだ。


「貴様・・・。己の眷属ではなかったのか!?」


突然、ダークが珍しく叫んだ。


リシェアとケェーナは驚いてダークの方を見る。


その視線に気が付いてダークは少しばつが悪そうな顔をした。


「ごめん。」


そんな姿ヴァンパイアが嘲笑った。


「はっ!貴様のような腑抜けにそのようなことを言われる筋合いはない。出来損ないのごみが・・・。ただ魔力が高いというだけで次の『王』の候補などとは笑止!ここで貴様を葬ってくれる!」


「・・・次の『王』・・・?カイトさんが・・・王?」


ナハトが驚き、ダークを見て呟く。


「・・・ごめん。巻き込んだのは僕の方みたいだね。でも安心して?君達には迷惑を掛けないよ。今日は・・・とても良い(・ ・)夜だから・・・」


ダークは陶然と呟く。


空に浮かぶ満月(・ ・)を見上げながら。


つられて全員が上を見る。


ヴァンパイアとナハトはピンと来るものがあったらしく、すぐにダークに視線を戻す。


「貴様、我らが今宵に弱まると知っていて!?」


「それもあるけど・・・。どちらかというと好きだからかなぁ。狂気を呼ぶみたいでさ。だから遊ぼう?君は僕を殺したい。僕は君を殺したい。だから、さ・・・。」


殺し合おうよ?と、笑った。


リシェアは始めてダークにあったときにもこんな風に笑ったなと思った。


冷たく、美しく、恐ろしい。


狂気を孕んだ笑み。


周囲の空気が冷たくなる。


人間が足を踏み入れてよい世界ではなくなる。


ヴァンパイア同士の殺し合い。


狂気の宴が始まるのだった。

うーん、中途半端な終わり方な気が・・・。


でも次回はあれです。


きっとアクションが入れられるようになるはず・・・!

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