ヴァンパイアの階級
更新が一週間以上遅れて大変申し訳ありません!
リシェアとダークは昼頃に村に着いた。
先にケェーナたちと連絡を取ることにしたので、ダークは隠れて待つことになった。
ちなみにリシェアの装備は既に返してもらっている。
コンコン
「はい、どなたでしょうか。」
「あたしよ。」
「!どうぞとりあえずお入りください。鍵は開いてますので。」
リシェアが戸を開けて入るとそこには、むっつり不機嫌顔のケェーナがいた。
「・・・。何でそんな顔してんのよ。」
「分かりませんか?ああ、分からないでしょうね、貴女には。」
「その言い方ムカつく・・・。・・・何でよ。」
「貴女が居なくなった後ヴァンパイアが現れるし、あなたを助けるために作戦を練らなければと思ってもいたし!なぜ!このタイミングなのでしょうか!まったく・・・。」
「えー、何か納得いかないんだけど・・・。とりあえずごめん。でも、こっちでも大変だったのよ。そっちに現れたっていうヴァンパイアのことも気になるし、とりあえず、昼食でも食べながらお互い報告しあいましょ。あんたたちに合わせたい奴も居るしねー。」
言わずもがな、ダークのことである。
「合わせたい奴?・・・まあ、良いでしょう。では私はナハトを呼んできますので。食事はどこでします?なるべく人が居ないほうが良いのではありませんか?」
「そうねぇ。じゃあ、適当になんか買って、森でピクニックなんてどう?」
「幼稚園児ですか・・・。まあ、いいでしょう。では、食事の用意はそちらに任せますよ?」
「いいわよ。用意が出来たら、教会前に集合ね。」
「はい。では後ほど。」
リシェアとケェーナそれぞれの用事のため、一時解散となった。
場所は移り、リシェア、ケェーナ、ナハトの三人は森の中に居た。
「で、その合わせたい奴とはどなたなのでしょうか?」
「俺は既に予測がつくんだが・・・。」
ぼそっとナハトが呟く。
気のせいか顔色が悪い。
が、誰も気が付かずそのまま話を続ける。
「たぶん驚くと思うけど。覚悟は出来てる?」
「さっさとしなさい。」
「嫌な予感しかしない・・・。覚悟ととかいう問題じゃない気がする・・・。」
相変わらずぶつぶつ呟いてるナハトを華麗に無視しつつリシェアはダークを呼んだ。
「もう出てきて良いわよ。」
「はーい。」
声は頭上から聞こえた。
直後、リシェアの隣にダークが降り立った。
「・・・。」
「・・・。」
ケェーナとナハトはあんぐりと口を開け、唖然としている。
二人は察しが悪いわけではない。
ナハトの方はすでに予測すらしていた。
だが、自分を監禁した者を紹介したいなどというとは思っていなかったのだ。
協会の人間だと思っていたのだ。
驚くのは当然というものだろう。
しかし、当事者のリシェアはそんな二人の心境など露知らず。
ダークのほうはなんとなく察しはするが何かいう気はないようだった。
「どうしたのよ?そんなに驚くこと?」
「そりゃあ驚くんじゃないかな、普通。」
今だ唖然としてる二人を置いてけぼりにして好き勝手に会話するリシェアとダーク。
「あ、ちにみにこいつはダーク・アインザームカイトって言うのよ。ヴァンパイアなのはすでに気づいてるかしら。」
「・・・敵・・・じゃ・・・ない・・・の?」
搾り出すようにケェーナは聞いた。
わなわなと震えているのは怒りからだろう。
「へ?・・・うーん、違う・・・かな?少なくともこいつは積極的に人を襲おうとはしてないもの。」
リシェアにそうあっさりと返されケェーナはぐったりと近くに木に寄りかかる。
「もう・・・勝手にしてください・・・。」
「あの。」
ここで、今まで黙っていたナハトが口を開く。
「アインザームカイト様にお聞きしたいのですが。」
「ストップ。アインって呼ぶかカイトって呼べば良いよ。様もいらない。長いでしょ?」
「は?はぁ、分かりました。・・・では、カイト・・・さん?」
「うん、なに?」
「私にはヴァンパイアがカイトさ、んと私以外に知覚出来ないのですが、どう思われますか?」
「うーん、君の階級だとその程度でもしょうがないから良いんじゃない?でも僕ら以外に後一匹、居るよ?」
「うっ。・・・やはりそうなのですか・・・。」
なぜかへこんでいるナハトを放っておいて、立ち直ったケェーナがナハトに聞く。
「階級とは何なのですか?」
「どうせ俺は・・・。」
「聞きなさいっ。」
「はっ。な、なんですか。」
「ですから、階級とは何なのかと聞いているのですっ。」
「それはねぇ、生まれつきの身分だよ。」
ごにょごにょとやっていたナハトとケェーナにいきなりにゅっとあらわれてダークは口を挟む。
「きゃあ。」
「うわっ。」
相変わらずのニコニコ笑顔にあきれつつリシェアはダークの襟首をつかんで止めた。
「やめなさいよ、いきなり出てくるのは。驚くじゃない。」
「そう?ごめんね?」
ケェーナはまだバクバクしている心臓押さえつつダークを睨む。
「まったく謝られている気がしませんが・・・。まあ、いいでしょう。それよりも、ヴァンパイアにも身分などというものがあるのですか?」
「うん。まあ、君たちが想像する様な身分制度ではないけどね。君たちの言う上級とか中級とかに当てはめると、上級カテゴリーに入るのは頂点のシェプファー、ついでケーニヒ、最後にヘルシャー。中級はナハト君の階級であるリッター、ついでポルティエー。で、下級はケンプファーと、ヴァンパイアに血を吸われ、従順な下僕になったものやその派生の者達の総称でポーンとなるね。・・・メモ取るんだったら後で書いてあげるよ?」
割と必死にメモを取っているリシェアとケェーナにダークは声をかける。
「ちょっと黙っていてください。」
「うるさいわよ。」
が、一蹴されてしまった。
もっとも、ダークの方は気にした様子も無く、ナハトのほうに話しかける。
「そういえばナハト君。君はどの植物を操れるの?」
「えっ、気づいてらっしゃったんですか?」
「うん、このあたりは僕の領域だからね。当然だよ。」
「それもそうですね。・・・ただ、それを言うのはちょっと・・・。」
「じゃあじゃあ、カテゴリーだけ!どうせそれくらいなら見てればわかるし!ね?」
「まあ、それはそうなんですが・・・。」
なおも食い下がるダークにナハトはついに折れた。
「・・・分かりましたよ。木です。俺は木を操ります。」
「へー、そうなんだ!あ、ちなみに僕は薔薇だよ。」
「ああ、なんだかそんなイメージがありますね。華やかですし。」
「そう?」
「はい。」
などと雑談をしているとようやく女二人が書き終わった。
「で、ケーニヒとは『王』という意味ですよね?なぜその上にシェプファーという位があるのですか?」
「それはね、僕らの位が己の力と親の位からくるからだよ。特に重視されるのが力だね。もっとも強い力を持つものにシェプファーという位が与えられるんだ。」
「なるほど。で、貴方の位は?」
ケェーナにそう聞かれたダークの顔が一瞬だけ。
ほんの一瞬だけ強張った。
だが、誰かが気が付く前にさっと笑顔に変えた。
「そんなことよりもさ、君たちの倒したヴァンパイア。どれぐらいの強さだった?」
「ポーンではないようでしたが・・・。何か気になることでも?」
ごまかされたケェーナはむっとしたが、ナハトは何かを察したらしくそのまま話をつないだ。
「うん。君たちが殺したのはケンプファーだから・・・。残ってるのはたぶん中級なんじゃないかな。最悪リッターかも。」
「そうよ、そうそう!でね!まだヴァンパイアが居るのよ!だからこいつに協力してもらおうと思ってんの!」
そういってダークを指差すリシェア。
「・・・なるほど。では、何か作戦でも?」
「ない。」
リシェアはなぜか自信満々に否定する。
あまりにもはっきりと否定されたので、軽くめまいを覚えるケェーナである。
「はぁ。分かりました。私が考えますから、明日、また、こちらに集合という事でよろしいですか。」
「・・・あたしは村に泊まるなってこと?」
「当然です。あなた死んだことになっているのです。そもそも。ヴァンパイアにさらわれて無事に帰って来る方がおかしいのです。ですから・・・」
「あーもう!分かったわよ!全然無事じゃないけど・・・。また森を歩いてここまできますよ!」
頬をぱんぱんに膨らませ、盛大にすねるリシェアにケェーナは冷たい視線を送る。
「ええ、そうしてください。では、また明日。」
「はいはい、また明日ね。」
そうして今日はお開きとなった。
いかがだったでしょうか?
ほぼ会話文なので読みにくいですかね。
そもそも小説って言わなそうですね・・・これは・・・。