表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
5/7

【第5話】とどめ

 もやもやした意識の中、腕に伝わる感触。柔らかく、手応えがあり、温かく、生ぬるい。自分の身体は冷めきっていて、なおかつ火照っている。そうとしか言えない。大きく息を吐き、ゼーレを貫いた手を抜き取る。血はない。さっきと何ら変わらない。地面で唸りながら痙攣しているゼーレにぽっかり空いた穴からは、霧のような光のような何かが溢れている。しかし、まだ生きている。死んでいない。

 息の根を止めなければ。

 そう思うと、身体の中を巡る何かが1ヶ所に……喉の辺りに込み上げてきた。集まる集まる、凶暴な力の塊。膨れ上がり、膨れ上がり、閉じた口からまばゆい光が漏れ出す。つま先立ちの獣脚でゼーレの肩を踏みつけ逃げられないようにする。そして手でゼーレの顎を掴む。憤怒の色を目に浮かべるその顔に、口を大きく開ける。エネルギーはもう集まっている。浴びせるだけでいい。唸り声が聞こえる。僕の口から聞こえる。

 勝者の唸り声だった。

 ゼロ距離で放たれたそのエネルギーは、ゼーレの頭部を吹き飛ばすのに十分過ぎる威力だった。ちりぢりの光の粒と化し消えていくその身体、僕は無意識にその中心にある一回り大きな光の玉を見つけ、わし掴みにした。そして、僕がされたように、荒々しく、それを、喰らった。

 そこに僕の意思はない。勝手に身体が動いていた。

 楽しい楽しい束の間の夢のように。


 けれどこれは悲しい悲しい終わらない現実なのだと、僕は知る事になる。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ