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「うるさい」
と、その一言で一瞬の時の狭い世界を自分の物に出来る一喝。
さて、この一喝はどれだけの効力があるだろうか。
もちろん大声で叫び回るのは迷惑だが
話してはいけないという決まりはない。
世の中、規範をつくるのは
「怖い人」
「声が大きい人」
その一喝にどれだけ納得するかだ。
その一喝に反発する者はそういない。
自分は巻き込まれたくないという理由だ。
だから考え方を変えるだけで世界は自分の者に出来る。
世界は実に簡単だ。
難しく考えすぎなんだよ。
ありえないぐらいの世界の構造にはみんな気付かない。
表があって裏がある。光があって闇になるのだから。
何の不思議な事ではない。
世界が成り立つのに自然な事なのだから・・・。
ただ、今世界では4つの勢力で成り立っていると言われているが
もう、すでに成り立ってはいなかった。
今、世界は急速なスピードで混沌に進んで行っている。
混沌の世界
ChaosOverSoulWorld
世界はもう終演を迎えていた。
誰もが気ずかないうちに・・・。
ただ
知る者は一人いた。
相川夏唯
その一人。
世界の終演をその目で見ようとしていた。
――――
「黒岩のおっさん、あんたは何をしたかったんだ?」
今、世界は混沌の渦に包まれている。
海の水は汚染され
魚介類は死に
森は枯れ
植物が育たない。
しまいに
電気も通らなくなり
今日本では無法地帯になっていた。
犯罪勃発の中、人殺し、自殺、強盗、拷姦
まるで、人々の欲望が弾き飛んだかのようだ。
月が朱い夜、
暗闇は黒くはなく
朱く光り輝いていた。
あの時、あの出来事以来・・・月は朱く光り、夜があかくなるようになった
朱く光る真夜中は不気味さえ覚えてしまう。