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第2章 評価されない痛みと、書き続ける意味

(1)誰にも読まれない夜、それでも物語を書く理由


それは静かな夜だった。

更新したばかりの作品を、何度もページリロードする――。


カウントされない閲覧数。

動かない評価ポイント。

届かない感想欄。


「これ、本当に誰かに読まれてるんだろうか……?」


……そう呟いたことは、ありませんか?


「評価されないこと」は、否定ではない

誰にも読まれていないような気がして、画面を閉じた夜。


「自分には才能がないのかも」と思って、数日間キーボードに触れなかった日。

他の人気作家のランキングを見て、「自分の努力って、無意味だったんじゃ」と、胸がつぶれそうになった瞬間。


でも、ちょっと思い出してみてください。


あなたがその物語を最初に書こうと思ったとき、

「評価されたいから」だけで、筆を取ったわけではなかったはずです。


……書く理由は、人それぞれです。


・自分の中にある世界を、誰かに見てもらいたかった

・書くことが、息をすることのように自然だった

・この世界に、自分の創作物を残したかった

・孤独な日々の中で、物語だけが自分を支えてくれた


そうした**「始まりの動機」「書くことの理由」は、評価ポイントには表れません**。それは誰にも真似できない、**あなた自身の創作の“源泉”**です。



《挫折は、“書いている証”だ》

・評価されなくて苦しい。

・誰にも見向きされないと感じて辛い。

……それは、あなたが**「本気で作品に向き合って、本気で作品を愛しているから」**こその痛みです。


むしろ、何も感じなくなってしまったら、それは筆を置くサインかもしれません。

でも今、こうしてこの記事を読んでいるあなたには、

**「書き続けたい」「届けたい」**という気持ちが、まだ残っています。


ならば、挫折は「終わり」ではない。

それは、「次に進む」ための一段階にすぎません。



《“評価されること”がゴールじゃない》

・もちろん、評価されることは嬉しい。

・読まれることは、自信になる。

・感想がついた日は、世界が少しだけ明るく見える。


でも、それが唯一のゴールになってしまうと、創作はすぐに苦行になるんです。

例えば、評価ではなく、“自分との約束を果たす”こと。

それをゴールにしてもいいんです。


・届けたい想いがあった。

・描きたい景色があった。

・救いたいキャラクターがいた。

あなたが書く理由は、数字じゃ測れない。



《あなたは、一人じゃない》

この瞬間にも、数えきれないほどの作家が、

同じように「読まれない」という現実と向き合っています。


そして、その中には――

いずれ書籍化する人も、

プロ作家になる人も、

長く愛されるシリーズを生む人も、

確実に存在するのです。


彼らの多くも、かつては**“誰にも読まれなかった側”にいました。

その「誰にも見つからなかった時間」が、

やがて「読者の心に届く日」**を支える土台になったのです。


◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― ◇―― 



(2)人気作家と無名作家、何が明暗を分けるのか?


Web小説の世界では、日々何百という作品が新たに投稿され、そのほとんどが埋もれていきます。

では、その中で**“読まれる”側に立っているのは、どんな人たちなのでしょうか?**


《人気作家が読まれる理由》

現在、人気になる作品は、最初から**「読まれる下地」**が整っていることが多いです。

たとえば――


①名前が知られている

 書籍化・受賞歴・過去作品の実績などがあり、読者が「あ、この人の作品だ」と安心してクリックします。


②ランキング上位に載りやすい

 初動評価が早く、読者が最初に目にする場所に表示されやすくなります。

 見つけてもらいやすいのは、圧倒的なアドバンテージです。


③SNSや外部導線が強い

 X(旧Twitter)やYouTubeなどからファンが流入。

 新作が出た瞬間に読者が飛びつき、作品が加速度的に伸びていきます。


④フォロワーやブックマーカーが多い

 この人の新作なら読む」という固定ファンが、投稿直後から評価を付けてくれます。


⑤「完結させる」信用がある

 読者が「読み始めても、ちゃんと最後まで読める」と確信していること。

 これが読み始めのハードルを下げてくれます。



実際、「完結すること」は、想像以上に希少なことでもあります。


《カクヨム調査》

・ジャンル:異世界ファンタジー

・公開日:1年間(2024年1月~12月末)

・文字数:5,000~150,000


・総数  9,212作品

・完結数 3,970作品(43%)


カクヨムにおいて、2024年に新規投稿された異世界ファンタジー作品――

そのうち、文字数が5,000〜150,000字のものは、合計9,212作品にのぼります。


では、その中で「完結」までたどり着いた作品は、どれほどあるでしょうか?


2025年6月時点での統計によれば、完結済みは全体の43%(3,970作品)。

つまり、およそ半数以上の作品が、いまだ未完のままなのです。


もちろん、「いまも連載中」という作品もあるでしょう。

けれどこの集計には、「途中まで書いて削除された作品」や「1話のみ投稿後に消された作品」は集計に含まれていません。


つまり――

本当に“最後まで書き切った”物語の割合は、43%よりも確実に低いのです。


だからこそ、「物語を完結させる」という行為は、それだけであなたが**“書き手としての上位半分”に立っている証明**でもあります。



《無名作家が読まれない理由は、作品以前の問題》

逆に、無名作家が読まれないのは、**“作品の中身以前の問題”**であることも少なくありません。


①まず、存在が知られていない

 検索にもランキングにも載らず、投稿してもそもそも読者に“見つけられない”。


②SNSで発信しても届かない

 フォロワー0〜数十人では、いくら告知しても可視性がない。反応もない。


③プロフィールや活動報告が空白

 「どんな人が書いてるのか分からない」と思われ、読者が“読む理由”を持てない。


④過去作が未完・短命で終わっている

 「この人の作品、ちゃんと終わるのかな?」という不安が生まれ、読み始めをためらわれます。



《人気ジャンル・人気テンプレでも、差がつく》

特に「異世界ファンタジー」や「現代恋愛」などの人気ジャンルでは、この傾向がさらに顕著です。


読者がまず探すのは**「テンプレ通りの安心感」**です。

たとえば以下のような王道設定:


・追放からのざまぁ

・転生してスローライフ

・チートで最強

・悪役令嬢の逆転人生

これらはクリック率が高い**“入口”**ではありますが、中身が評価されるかは別問題です。

そして、**無名作家がテンプレで挑む場合、**以下のような壁があります:


・上位表示された**“類似作品”に埋もれてしまう**

・「どうせまたこのパターンか」と早期離脱される

・テンプレの**“期待値”に応える構成力・展開力**が求められる

つまり、テンプレの恩恵を最大限に受けられるのは、これもすでに**「信用」がある作家**なのです。


《それでも、無名作家にできることはある》

……じゃあどうすればいいのか。

答えは、**「信用される作家」になるための下地を、丁寧に整えること」**です。


信頼される土台は、一日ではできません。

けれど、それを**「今日から始められる」**のは、どんな書き手にも等しく与えられたチャンスなのです。

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