第31話 ワイルドな公爵様
ルークス君の騎竜は普通の騎竜より臆病とはいえ……6大公爵は騎竜に乗れない可能性が出てきた。
「ううう……残念……」
「あのその……ルビー様は恩人ですし、卵を1つお譲りします!幼少期から育てたドラゴンなら怯えることもないですから。フレア公爵領の気候ならドラゴンも暮らせるでしょうし」
「いいの?!」
「えー、いいないいな〜!うちにも欲しい!!」
「い、一応ドラゴンの生育方法は公開してませんし、そもそもウインド公爵領は寒いので無理です。ドラゴンが生活できる環境じゃないです!」
「えええ……じゃあフロストドラゴンとかは?!」
「あんなやべえドラゴン飼おうとすんな、ボケェ!」
「ええ?冬の味覚よ?年に5個ぐらいは卵採ってるし」
「た、食べるんですか?!」
「美味しいわよ?濃厚で」
「ひええ……」
ルークス君とパパ様がドン引きしている。フロストドラゴンって……大型の危険種だよね。フリージア先生ワイルドすぎる。そして美味しいのか。ちょっと気になるけどマナーモードになるピクシードラゴンくんを見てやっぱりやめようと思った。
卵……楽しみ!まだ乗れる方法が残っていた!
「うわ?」
「きゅっぴ!」
ピクシードラゴンちゃんに持ち上げられとる………。力持ちなのね。もしや乗せてくれてるつもり?
とりあえずお礼にバナナをあげたら喜んでた。
「……ピクシードラゴンは割と凶暴で懐かないんですけどね……」
「餌係と思われているだけでは?」
「きゅ〜」
ピクシードラゴンちゃんが首を振る。違うのか。
「人間に対してここまで可愛く媚びた鳴き声したりしませんよ、このドラゴン。普段はもっとふてぶてしイテッ!やめろこの!」
ピクシードラゴンちゃんの痛烈な体当たり!しかしルークス君耐えきった!!的が小さいから捕獲もできない。なかなか敵としたら厄介かも。
「普段の声が気になる」
「ゲッゲッゲ」
「おお、思ったより地の底みたいな低音なのね」
わざわざ聞かせてくれてありがとう……という気持ちを込めてよしよしした。
「きゅぴ」
「………ピクシードラゴンって知能高いのね」
「うん。ルークス君が悔しがると思ってわざとルビーに甘えてるねぇ……」
「お前〜〜〜!」
「ゲッゲッゲ」
う〜ん、悪そうな笑い(笑)
ルークス君、遊ばれてるなぁ。なるほど、普段はこんな感じなのかな。
「ぜぇ……くそ、もっと強くなってやる……!」
「頑張れ〜。そういえばパパ様、お願い聞いて」
「ん?なんだい?」
「ルークス君ち……ランス公爵家と事業するんだけどね、先ずうちにドラゴン停留所を数カ所作りたいから許可が欲しいの。それから、国外便もいずれやりたいから」
「はーいはいはい!私も協力するぅ!」
思った以上にフリージア先生が乗り気だ。
「いいんですか?」
「もちもち!私とガーちゃんが手を組めば、皇帝陛下もイチコロよ!」
何故だろう、見たこともない皇帝陛下が頭を抱える図が頭に浮かんだ。気のせい……だよね?
「はぁ、なんでお前が勝手に決めるんだ。まあいい。ルビーが望むなら構わん」
「パパ様、ありがと!!」
よっしゃ!これで行動半径の拡大もできる!今はまだそこまで手が回らないけど、いずれは他国へのアプローチも必要だったからね!交渉材料としてもいいし、足がかりにもできるだろう。
「ええと……?」
「あ、そういえばちゃんと紹介してなかったね。こちらはフリージア=ウインド公爵様だよ」
「えっ?!」
「フリージアで〜す。公爵だけどあんまり仕事してませ〜ん」
「いや、仕事はしましょうよ」
「ダメな大人の見本だな」
「あっ、えっ?ご、ご無礼をお許しください……」
「弟子と友人が厳しい〜!別に無礼でもないわよぉ。うっかり墜落させちゃってごめんね」
フリージア先生はもう少し反省したほうがいいかも。後で旦那さんにもお手紙書いておこう。
「きゅぴ」
私の視線にピクシードラゴン君が頷く。うむ。頼んだよ。報酬はクッキーかな。
「お詫びってわけではないけど、ウインド公爵家は全面的にドラゴンタクシーを支援するわよぉ!」
「では、停留所の予定地をいくつかあげてもらっても?寒冷地は避けていただきたいです。ドラゴンは寒さに弱いので……」
「どの程度までなら平気かしら?降雪地は避けるとして……せっかくだし見に来てよ!ルビーちゃんも来る?」
「私はまだやることがあるので……」
領地の膿がまだ残っている。時間をかけずに除去しないとね。ウインド公爵領に興味はあるけど、また今度遊びに行く約束をした。
ルークス君は騎竜くんもろともフリージア先生に連れ去られた。ルークス君、強く生きろ。とりあえず正式契約予定の来週までは生きていてくれ。
「……あいつはまったく……」
「ねえ、パパ様。残りの膿を全部出しちゃおうよ。まだいるでしょ?運良く生き残れたと勘違いしてるのが」
やはり私は天使などでないのだろう。私もパパ様も、悪い笑顔のほうが似合うのだから。
ルークス君は振り回す系公爵と縁があるのでしょうか……。ここまで目立たせる予定ではなかったのですが、なかなか思うように動いてくれません(笑)




