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拝啓、悲劇的で素晴らしいゲームのシナリオライター様。私が平凡でつまらない物語に改悪してみせます。  作者: 明。


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第18話 仕返しスタート!

 ランス家の騒動からしばらく経ち、今日はパパ様が遠征に行く日である。


「ルビーたん……」


「パパ様、寂しいけどルビーはパパ様の帰りを待っているわ。どうか、これとこれを持っていって!」


 この日のためにと私の魔力をガッツリ込めて作った中級の魔法書と、アミュレット。アミュレットは攻撃に反応し炎が反射するという優れモノ。

 パパ様は6大公爵でありながら聖武器を使わない。イフリートは強力すぎて森ごと焼け野原にする恐れがあるから。中級魔法書で敵を圧倒する豪炎の公爵が私のパパ様。かっこいー!!


「ルビー……ああ、さっさと片付けてすぐに帰ってくるからね!」


 パパ様を見送る。今まではこの遠征が憂鬱だった。しかし、今回は楽しみで仕方なかった。


 さあ、仕返しのお時間だ!!






 そもそも、何故私に専属メイドや侍女がいないのか。追い払ったにせよ、数人つけるべきである。



 実は、いるのだが働いていないのだ。



 本来、家人について内政を仕切るのは公爵夫人の役割。だが、ママ様は病死。パパ様はママ様を愛していたため再婚せず、そのため公爵夫人の役割はメイド長と執事長が取り仕切っていた。執事長は気のいいおじいちゃんでポッポちゃんにも調査させたが真っ白だった。



 つまり、問題はメイド長。 



 こつこつ証拠を集めたりして準備万端。ワクワクしてしまう。さて、いつ殴り込みに行くのがいいかなぁ。思考を巡らせる。

 

「お嬢様……おまたせ、いたしました……」


「リリ?!」


 メイドのリリが明らかに足を引きずっている。


「大丈夫、です。お嬢様のお食事は……」


「いや、食事はどうでもいいわ!怪我を見せなさい!ララ!私の杖を!!」

「かしこまりました!」


 リリの足は腫れあがっていた。プリーストの杖、買っといてよかった!すぐに治してあげることができた。


「お嬢様……ありがとうございます……。お、お食事を」

「リリが心配でご飯も喉を通らないわ。何があったか詳細に教えて」


「は、はい……」


 階段でワゴンを持ち上げて運んでいた際に足をかけられたそう。


「危な……リリだからその程度だったものの、普通の人なら死んでたかもしれないじゃない!犯人の顔は見た?!」


「はい、その、侍女さんでした……」


 本来高位貴族の子女ともなれば、平民や奴隷ではなく低位貴族の子女を侍女として雇うもの。


「よ〜し!その喧嘩、買った!!行くわよ、リリ!あと、ついでにアリス!!」


「お、お嬢様、お食事は……」

「後で!!」


「アリス、当然獲物の位置は把握してるわね?」


「モチのロンです、お嬢様!自分もめっちゃいじめられたんで、かましてくださ……………お嬢様?」


「ん?」


「笑顔が怖いっす!」



 それはそうだろう!

 絶・対・許・さ〜〜〜〜ん!! 



 あ〜、久しぶりにイラつきすぎて炎が散ってるわ。火事にしないよう気をつけないと。




 侍女の控室のドアを蹴破った。な〜んか最近、身体能力が上がってる気がするのよね。不思議。

 部屋の中では談笑し、仕事をしていない一応侍女として雇われている者達。


「ヒッ?!お、お嬢様……何か御用ですか?」


「はぁ?私の奴隷に手を出しておいて、何か御用??今度は軽いやけどで済ませないわよ?全身大やけどしたくなければ素直に謝罪しなさい!」


 以前私の髪をからかったので軽いやけどをさせたことがある侍女が犯人だった。


「お、お嬢様はその奴隷に騙されているのです!私は確かに先ほどすれ違いましたが……それだけです!」


「………ふむ。『奴隷紋、起動。命令。決して偽ることなく真実を語れ』」


 そう、このために側に奴隷を置いていた。奴隷紋は特定のワードに反応し、主人の命に逆らえない。その特性ゆえ法定でも証拠として使えるのだ。


「『命令オーダー受諾』嘘偽りなくお答えします」


「この女がお前に足をかけた時の状況を詳細に語れ」


「承知しました。先刻のことです。お嬢様のお食事ワゴンを運び、階段で両手が塞がっていた時のこと…すれ違いざまに私に勢いよくぶつかり、落ちる私を笑っていました。なんとか料理は死守し着地した私に舌打ちをして去っていきました」




 おい、足をかけたどころじゃないじゃんか。




 おかしいとは思ったんだよ。足をかけた程度でリリが落ちるはずない。彼女達は、獣人の中でも物理戦闘を得意とした種族なのだ。人族が足をかけたとしても避けるに決まっている。


「つまり、殺人未遂ね。この娘を捕縛なさい!!」


「は〜い」

「やめて、はなして!ど、奴隷など殺しても問題ないでしょう!」


 アリスが瞬時に動いて侍女を捕縛する。


「問題あるわ!!地下牢にぶちこんで!!」


「はっ!お任せください!」


 ララが呼んできた奴隷兵士達がテキパキと抑えつけ、運んでいった。


「さて、お前達もよ。お覚悟は、よろしくて?」


 先ほどリリに怪我をさせた者達だけではない。今夜、バカ共を一網打尽にしてやると決めた。

 うふふふふ、楽しい!私はずーーーっとこの時を待っていたのよ!!


「ヒッ」

「しゃ、謝罪します……」


「今更口先だけの謝罪に何の意味があるの?散々バカにしてくれたわねぇ?でも残念ね……私は正統な後継者なの。ねえ、イフリート」


 美しき蒼炎。炎の公爵家のシンボルカラーは赤だが、イフリートの真髄は超高温の白炎と蒼炎。


「ああ、我のご主人様に逆らうやつは骨まで燃やし尽くしてやろう」


 空気すらも燃えて熱くなる。


「あら、みっともない。その年でお漏らし?汚いからその雑巾で拭きなさいよ。リリ、汚い雑巾投げて〜」


「はい!トイレ掃除用です!」


 羞恥で顔を赤らめてこちらを睨む侍女もどき達。リリは素晴らしいコントロールでその顔面に雑巾を命中させた。後で褒めてやろう!


「ほら、初仕事よ。拭きなさい、ソレが最初で最後のお仕事ね」


「え……」

「まさか……」


「あんた達はクビよ。働いてないのに給料だけもらってたわけだし、路銀ぐらいはあるわよね?ララ、リリ。荷物をまとめてあげて」


 2人はすでに荷物を詰め始めている。う〜ん、仕事ができるわぁ。


「やめ、やめて!」


「あら?お嬢様、この宝飾は……」


「やだ!お母様のネックレスじゃない!!まさか……盗んだの?!」


「ち、ちがいます!そ、それはメイド長が……」


 なるほど?いいネタゲット!


「盗品の疑いがあるから捕縛して地下牢にぶちこんでおいて」


「かしこまりました!」


 アリスが指示して残りの侍女達も牢屋へ連れて行かれた。


「荷物はいかが致します?」


「持っていくのは難しいだろうから、実家に送り届けてあげましょう。商会に連絡して、運搬してもらおっか」


「かしこまりました」


 そして、部屋には備え付けの家具以外、何も残らなかった。

 いや〜!とりあえず1部屋掃除完了!!

 ここから始まるリベンジタイムでございます。ちょこちょこ『何故ルビーはここまで蔑ろにされたか』について出していきます。

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― 新着の感想 ―
これってもしかすると、メイド長の横恋慕が原因? よくある?パターンだよねぇψ(`∇´)ψやっちゃえやっちゃえ〜。公爵家のメイド長だから、お家は良くて伯爵かな。その他の侍女とかもせいぜいがとこ子爵以下っ…
貴族家の所有物を勝手に持ち出したメイド長やメイドたちって、両手を切り落として、実家に送付の上、その実家の方を連座制で処刑が標準だよねぇ。(ルビーちゃん(作者)は、優しいから幼い子供くらいは助けてあげる…
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