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拝啓、悲劇的で素晴らしいゲームのシナリオライター様。私が平凡でつまらない物語に改悪してみせます。  作者: 明。


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第12話 部下の家族がちょろすぎた件

 そんなわけで、使ってない離れをアリスティードの家として貸すことに……しようと思ったが拒否られた。


「こんな豪華なとこ無理っす」


「仕方ないわねぇ……」


 結局、使ってない使用人用の別棟を使うことに。敷地内にあるのだが、屋敷から遠いので今は使われていない。


「埃が……ゲホッ」


「皆で掃除しますから、ここがいいっす!!」 


 使われていなかっただけあり、ホコリがすごい。幸い壊れているところはないようだが、病人も居るのによくないのでは?


「ええ?離れでよくない?」

「ここがいいっす!!あんなきらびやかなとこで寝れねぇっす!!」


 ワガママなメイドである。




 挨拶も兼ねてとアリスティードの家に行ったら、理由がわかった。廃墟にしか見えない。今にも崩れそうな家……いや、小屋?に8人も住んでいた。これなら埃まみれでもきちんとした屋根のある別棟がいいに決まっている。離れが豪華と言った意味もわかった。ここに比べれば豪邸だろう。


「お客さ………!?」


 出てきた可愛い子供に逃げられた。


「…………獣人?」


 可愛い子供には可愛いもふもふなお耳がついていた。


「あ〜〜〜………はい」


「え、アンタも?」


「まあその、ハーフなんで普段は隠してますけどぉ……」


 おお、ピョコンと可愛い耳が出てきた。何の獣人なんだろ。


「え、可愛い……」


「いやまあ。確かに自分はめっちゃ可愛いっすけどね?平気なんすね、お嬢様」


 可愛い自覚があるのか。ムカつくな、コイツ。


「何が?」


「獣人」


「うん。パパ様から言われてるもの。獣人は魔法は不得手だけど身体能力がすごい。フレア公爵領の貴族は軽視しがちだけど、討伐なんかで活躍してくれるしきちんと敬意を払うべきっだって」


「……な、なるほど」


 それに、ガイアスのお母様もたしか兎獣人だった。獣人にしては珍しく、魔法も得意だったけどね。綺麗で優しくて可愛くて私のことをとても可愛がってくれて……………いや待て。ということは、ガイアスってもしやウサ耳になれる………?


「お嬢様、顔怖い」


「今、大変なことに気がついた」


「何?」


「秘密」


 アリスティードがずっこけた。

 次会ったとき本気でねだろう!ぜっっっったい可愛い間違いない!ウサギさんのお耳触りゅううう!!!


「お嬢様顔怖い!なんなの?!」


「ちょっと決意したとこ。それはそれとして、なんでアンタの弟妹はこっちを遠巻きに見てるのよ」


 可愛い子達が隙間からめっちゃチラチラしてる。なんか怯えてるっぽい。


「あ〜……お嬢様、おやつは?」


「あるわよ」


「与えたら一瞬でなつきます」


「……大丈夫なの?アンタの弟妹……まあいいわ。お菓子をあげるからいらっしゃい」


「おかし」

「くれるの?」

「にーちゃ、もらっていい?」

「おかし」

「ください」

「おかち……」


 瞬時に寄ってきたのだが、手が汚いので渡すのをためらった。


「あ〜んしなさい」

『あ〜ん』


 1人ずつクッキーを口に入れていく。


「さくほろ……」

「こうきゅうなおあじ……」

「びみ」

「おいちい」

「うまうま」


 クッキー1つでちびっこたちは私を受け入れたらしい。ニコニコしながらクッキーをねだってきた。ぐうかわ!!


「お〜し、チビども!おやつは終わりだ!母ちゃんと家具を新しい家まで運ぶぞ!」


『お〜!』


 お母様、歩けないのかしら。

 うちから借りてきた大きな荷車に家財道具を載せていく。獣人だからか、アリスティードは力持ちだ。


「アリス!なんの騒ぎだい!!」


「引っ越すんだよ」


「ひっこしぃ?!」


 言ってなかったんかい!仕方ない、ここは私が権力で………?あ、アリスティードのお母様がこっち見た。


「…………こちらの強そうなお嬢様は?」


「ルビー=フレアと申しますわ。急な引っ越しでごめんなさいね。アリスティードが有能だから、敷地内に引っ越すよう無理を言ったのよ」


「そんな……わ、わかりました!引っ越します!!」


「にひ」


 コイツ……最初から私に説得させるつもりだったな?まあいいけど。

 さて、移動は私のシャドウムーブで一瞬だ。アリスティードの家族は固まっている。そりゃびっくりするわな。


「とりあえず掃除手伝う?」 


「いや、お嬢様にそんなんさせられねぇっす」


「お母様の病気はなんなの?」


「わかんねえけど、数年前から歩けなくなって……メシもパンくらいしか……」


「ちょっと失礼」


 アリスティードのお母様に症状を聞き、ハンマーで軽く膝を叩くと反応がなかった。


「今の何?」


「検査よ、脚気の。医者ではないから何とも言えないけど、症状からして栄養不足の可能性が高いわ。肉とか豆とか食べさせてあげて。なんならシェフに」

「肉と豆っすね?そっか……母ちゃんいつもチビ達に自分の分まで肉食わせてたから……」


「……肉と豆だけでなく、バランスよくが鉄則よ。雑穀のリゾットとかいいわね。肉も豆も、トロトロに煮込んであげて。要は、長期的に体を作る材料が足りなくなったってことなの」


「あ、ハイ……」


「お母様、よくなるといいわね」


 





 そして数日後。


「お嬢様、お久しぶりです!」


「………うん?」


「すんません。母ちゃんがどうしてもお嬢様にお礼を言いたいって聞かなくて……」


「元気になってよかったわね……?」


 え?脚気ってこんな数日でよくなるもんだっけ……?いや、ならない。絶対ならない。獣人って回復力もすごいのね。


 すっかり元気になったアリスティードのお母様、スーリアさんは私のメイドになってくれた。アリスティードが男だとわかってからきがえとかお風呂を頼めなくなってたので本当にありがてえ……。情けは人の為ならずってきっとこういうことね! 


 そしてスーリアさんの医療費がなくなり経済的に改善した結果かわゆいちびっ子たちの毛並みも良くなり私が癒されている。ちびモフは正義!!猫たんが寄ってきてくれなくても私にはこの子達がいるわ!癒されるぅ!

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― 新着の感想 ―
脚気はビタミン欠乏症の一種だから、補給されればある程度は回復しますよ。 壊血病などのように傷ができる状態だったりすれば、それらが回復するまで時間がかかりますけど。
もふもふは尊いd( ̄  ̄) もふもふ最高!もふもふ万歳!! 後はネコ科獣人が出てくれれば…はっ、アリスがチェシャ猫だとしたら、もう登場してることになるのかな? ツンデレ系少年にウサ耳とは、大変良いご趣…
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