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閉塞感を吹き飛ばせ  作者: 柿井優嬉


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「はあ?」

 生徒相手に、ぞんざいな言葉を発してしまった。というのも——。

「ですから、今度やる国の学力テストを辞退したいんです。前もって言っておけば、たとえわずかでも、その費用を無駄遣いをせずに済むんじゃないかと思いまして」

 中学校の教師である私の受け持ちのクラスのコがこんなことをほざいたからだ。

「いや、辞退って、なんで? ……あ、どうしてなの?」

「だって、あれ、やる意味あります? 時間もお金も無駄だと思うんですけど」

「……無駄ではないでしょう」

 何言ってんの? このコ。

「そうですか? そりゃあ、使いようによっては多少は役に立つでしょうが、コストパフォーマンスが悪いですよね?」

 そうか。今どきのコはコスパやタイパと何でも効率重視で、映画を早送りで観たりするっていうもんな、って、私も三十歳になったばかりでまだ若いけど。それにしてもテストをコスパって、しかもそれを教員に口にするって、異常でしょ。

「ちゃんと受けないと駄目だよ」

「まあ、そうですよね。先生の立場ではそうおっしゃるしかないですよね。たとえ私と同意見でも」

「同意見じゃありません。もう一度言うけど……」

「わかりました、先生のご意見は。ただ、受ける気はありません。それだけお伝えしておきます」

 そうして目の前の三沢さんは、職員室の私のもとから立ち去っていった。

 ……ほんと何なの?

 走っていったのではないし、本来ならば引きとめて、訳を訊いたり、考え直すようさらなる説得を試みるべきなんだろう。だけど、言うことを聞くようには思えず、見送るしかできなかった。

「ハアー」

 何なんだろう、もー。


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