案件26:魔女狩りの招待状
「よく集まってくれた。呼んだら本当に来てくれるの、社長すごく嬉しいよ」
タウン7。その中央にそびえ立つ〈ペン&ソード〉のホームビルの最上階。
何だか作戦会議の定番スポットになりつつある――というより社長のケンザキがそれを望んでいる節のある社長室に、イトたちはまたも招集されていた。
同席しているのはクラン〈コマンダーV〉のリーダー、ジェネラル・タカダ。外見の年齢としてはケンザキに近く、双方どこか顔見知りのような空気が最初からある。
彼はグレイブ攻略の達成感を台無しにされた第一の被害者だから、呼ばれた理由もわかる。しかし自分たち〈ワンダーライズ〉。これがわからない。
「それはね、君たちが魔女の襲撃を受けて唯一無事だったパーティだからだよ」
こちらの疑いの目をかわすように、ケンザキは先回りの解答を寄越してきた。
「それについて異論はない」とお堅い声を重ねたのはタカダ。
「我がクランのシンカーは全滅。後に攻略隊から聞いたところによると、墓守を撃破し、グレイブ踏破を成し遂げたのはあの魔女だったようだ。とんだぬか喜びだよ」
「ええっ、そんな……」
イトが気遣う目を向けると、タカダは申し訳なさそうに微苦笑を返し、
「いや、彼女は実力でそれを達成したのだから、正しく称賛されるべきだ。その後の彼女の“活躍”を思えば、なおさらにね」
彼が向け直した目線の先で、ケンザキがうなずくのが見えた。多数のモニターが点灯し、惨状が映し出される。
いずれも倒れ伏したシンカーたち。場所は荒野だったりホームのどこかだったりと節操がない。
「ここ数日で、八の大規模クランが壊滅させられた。やり口はシンプル。人が集まっているところに急襲して、嵐のように暴れて去っていく。助かった者は誰もいない」
『うわぁ……』
イトたちは三人揃って絶句する。PKの襲撃には慣れているアイドルでも、ここまでの大惨事は見たことがない。
「これはうちの記者が撮ったSSだ」
新たに表示されたのは、レトロなホウキにまたがった少女の姿。
妖しい薄笑いを浮かべ、あっかんべーをしている。
「うっ、きゃわわ……」
外にハネた濃紺のシャギーショートカット。トロンとした目に、小振りで形のいい鼻と唇。小生意気な悪魔のような顔立ちながら、どこか乾いて荒んだ空気がある。
「その場でマッハでメールを送ったら、SSの使用許可をくれたよ。“かわいく撮れてたらいいよ”とね」
「いい腕ですね。でも、後もう少しローアングルでも……」
「イトちゃん?<〇><〇>」
「ハイィなんでもございませんんん!!」
イトと千夜子のそんなやりとりを見たケンザキが笑いを漏らす。
「前代未聞のパブリックエネミー相手に可愛いとは、イト君のキモの太さには恐れ入る。あの魔女には、いまや十七地区を挙げての討伐令が出ているというのに」
討伐令。
この少女に多額の賞金がかけられていることをイトは知っていた。
“なぜか”バウンティハントのお知らせがメールフォームに届いていたからだ。ホントになんでだ。
賞金を懸けたのは、あのファーストコンタクトの翌日に壊滅させられた大規模クラン二つ。グレイブ前で合同お祭りイベントを開催しようとしていたところを襲われた。イベントは滅茶苦茶、キレるのも無理ないとイトも思う。
いまや十七地区のアウトランドは、突然降ってわいた魔女狩りイベントにフィーバー中と言っていい。交流サイトでは彼女の目撃情報どころかログイン情報にさえ賞金が出る始末。
元よりスカグフでは、「無いイベントは自分たちで作っちゃえ」という風潮がある。このお祭り騒ぎに便乗する者は、形はどうあれ大多数に上った。
「だが、その結果がこれでね」
最初に映された死屍累々の画像に、皆の視線が戻る。
「わたしとしては、絶滅地帯の時のようにクランを越えての協力体制を敷いてほしかったんだが、なかなか聞いてもらえなくて。実は今日もいくつかのクランに声はかけてあったんだ。でも“自前で処理する”ってお断りメールばかりさ」
「個人のPK相手では、それも仕方あるまい」と理解を示したタカダに、ケンザキはどこか不敵な笑みを浮かべ、「そう言っていられるも今のうちだ」との言葉と共に少女のSSの横にテキストボックスを開いた。
「我が社の調べによると、彼女の名前は痣宮ユラ。活動期間は不明。ただ、去年は十五地区と十六地区でPKをしまくっていたことが確認されている」
「よその地区でも活動していたのか……。しかも二つ」
タカダが息を呑む。
「やり口は今回と変わらない。そしてやはり、地区を挙げての賞金首になっている」
「それで、この十七地区に逃げてきたと?」
ケンザキは首を横に振った。
「いや、彼女を狩れる者はついに現れなかった。痣宮ユラは獲物を食い尽くしてここに流れてきたんだ」
イトたちは顔を見合わせる。何だかとんでもなくアグレッシブなPKだ。アイドルの曇り顔が撮りたいだけのスナッチャーとは明らかに一線を画する。
「地区の移動は、有償ではあるがさほど手間はかからない。ホーム物件や現地での交友関係を丸ごと失うことになるが、彼女からすれば、狩る相手のいない場所に留まる方が苦痛だったんだろう。次にここに注目」
ユラの起伏のなだらかな胸元がアップにされる。
「ほう……なかなかわかってるみたいですが、大人の人がそれやるのはキモいですよ」
「イト君と一緒にしないでくれるか。見てほしいのは装備品だ」
すかさず反論したケンザキが、すぐに帽子、そして武器を個別枠にクローズアップしていく。
「最新版とは言い難いが、準廃の対人装備。運用法次第では未だ一級品の数々だ」
紫黒色のミニスカート衣装は、同じ魔法使いスタイルの千夜子よりも意匠が細かく、沢山のアクセサリーで彩られていた。それでいて使い古されたように裾がボロボロになっており、歴戦の強者を感じさせる。
魔女の象徴的な三角帽子には巨大な一つ目がついており、その生々しさからどうやら単なる模様ではなさそうだ。
「なかなかですね……」とイトがうなると、ケンザキが「わかるかね」の嬉しそうな一声。
「ええ。ボロのスカートから通常よりも深い位置でチラ見えする白い足……。これは深いですよ」
「えぇ……」
そして、やはり彼女を語るのに欠かせないのが、三つの武器。
背中に大剣。両腰にロングソードとロッドという三重装備。重装備の騎士でさえこんな構成はしない。しかも剣も杖も宝石でできているような美しさ。雰囲気のあるコスと合わせて、そこらへんで手に入れた数合わせでないことは明白だ。
「ロングソードは“深海石の蒼剣”、ロッドは“果てなき日没の赤光”、そして大剣は“エメラルドグラットン”か……。どれもバザールでは数十億はいく希少品。それを二つどころか三つ。しかし大剣を選ぶとはどういう……」
タカダがうなり、ケンザキが解説を続ける。
「剣と魔法で、誰もが一度は憧れる魔法剣士……と言いたいところだが、一つ注意が必要なのが魔法+剣士ではなく、魔法剣+士というところでね。彼女が持っている武器は魔力補正が特大の剣で、つまり実態は剣を使うウィッチなんだ」
「なるほど。では、戦う際は魔法耐性が肝心ということか」
「うん、対策の一つとなるだろう。しかしそれより厄介なのは、彼女が三つの武器を完璧に使いこなしているということと思われる」
イトは映し出される三つの武器を見つめる。
魔法剣というのもうなずける美しい剣だ。青、赤、緑がぼんやりと光を放ち、黒紫のユラを彩っている。暗い洞窟の最奥で、宝石が詰まった宝箱を開けたら、こんなふうに見えるのではないだろうか。本人と合わせてそんなイメージが湧く。
「スカグフの対人戦は奥が深い。一種類の武器でさえ、極めたといえる者はまだいないだろう。それを三つ……普通はどれも浅く掘って終わるところを、彼女は極めてハイレベルな領域で操っている」
「半端な二重武器は単武器に劣る、とはわたしもよくメンバーに言っている。端的に頭の処理速度が追いつかず、何を持つか迷っているうちに致命打をもらってしまう」
「うん。普通の人間にはまあ無理だろう。彼女は感覚的にそれを制御しているはず。大袈裟に言ってしまえば才能だ。壊滅させられたクランや個人は、それにまったくついていけずに大敗を喫した。ただ一つの例外をのぞいて」
ここで二人の視線が揃ってイトたちに向いた。
「彼女の攻撃を凌いだのは、君たち〈ヴァンダライズ〉だけだ」
「〈ヴァンダライズ〉じゃありません」
「失敬、〈ワンダーライズ〉君。あの時の襲撃は、〈コマンダーV〉が標的だったと痣宮ユラは後に発表している。君たちはターゲットではなかったとは言え、一戦交え、形の上では押し返すことに成功した。彼女の鮮烈な辻斬りデビューに、君たちはもう一つの別の花を添えたというわけなのだよ」
「もしかして、あれから騙して悪いが案件のメールがさらに増えたのって……」
「そういうことだろうね」
どうしてこう、ダマシテサイドの人々は耳が早いのか。何だかどんどん普通の案件が遠のいていっている気がする。
「さて、イト君たちに来てもらったのは他でもない。魔女対策を是非、本人たちの口から聞きたかったからなんだ。その後の戦いぶりを見てわかったんだけれども、ユラが防御に回るということ自体、非常に稀でね。大剣で弾いてから、飛び道具で追撃……。いいコンビネーションだった。初戦の感想としてはどうだった?」
「初戦とか言われても、次なんかないです。でもまあ、感想としては、すごく速くて攻撃が重かったと……」
イトはあの時の感触を思い出しながら答える。
PVPはPVEと違った手応えになるが、スナッチャーの粗野な剣と痣宮ユラの剣もまた別の感覚があった。何かの力がバスターソードを突き抜けてくるような感じ。あれが正に魔法剣の手応えなのだろう。実際、ガードしたのにHPは削られていた。
「同じバスターソード使いとして、彼女の剣の使い方は?」
「いえ、わたし全然そういうのじゃないですから……。あっ、剣が凄く綺麗でした。剣が通った跡がきらきら輝くみたいで」
「千夜子君と烙奈君はどうだろう」
「わ、わたしはイトちゃんが危ないとしか……」
「右に同じ」
「ふむ……。なるほど、いつか来る決戦に備え、今は身内であってもネタバラシはできないと。戦略家だね」
「話聞いてました?」
重くうなずくケンザキに、イトは怒りマークを浮かべてツッコミを入れた。
「さらに――よいかな?―― 言わせてもらえば、痣宮ユラのパーソナルグレイスも定かではない。彼女のことだから凶悪な対人スキルを備えているに違いない。これを踏まえ、我々〈コマンダーV〉は戦略的撤退を取ることにした。魔女狩りには不参加だ。さらなるお祭りを期待しているケンザキには悪いが」
そう言って、ジェネラル・タカダがきびすを返そうとした、その時だ。
コンコン、とノックの音がした。
記者の人でも来たのかと何気なくそちらを向き、イトははっとなった。
ノック音は社長室のエレベーターからなどではなく、部屋の横。つまり窓からだった。
地上数十メートル。はるか地平の先まで見通せる社長室の窓壁に、一人の少女が映っている。
痣宮ユラ……!
社長室の空気がざわりと毛羽立つ。話をしているうちにその張本人が現れたのだ。
黒紫の魔女服に、三種の宝石武器。すでに出回っているというニセモノで安物のコスプレでは断じてない。レトロなホウキにまたがり、どこか擦れた印象のある垂れ目でこちらを見つめながら、彼女は胸の前で小さく手を振ってきた。
「ユラちゃん!」
ケンザキたちが唖然とするのを尻目に、イトは跳ねるように窓際に駆け寄った。
窓に手をつくも、外の音は聞こえそうにない。すると、ウイーンと機械音がして窓の一部が開いた。ケンザキが開けたものらしい。また極めて限定的な用途しかない変な機能を付けたのか。
「ユラちゃん、こんにちは!」
「あれ……。イトちゃん、ボクの名前覚えててくれたんだ?」
ユラはどこか夢でも見ているようなトロンとした声で言った。
「もちろんですよ。うわっ、やっぱり実物は画像より可愛いっ……! 武器もすっごく綺麗ですね!」
「え? えへへ……。わかる? ボクのオトモダチ。世界一綺麗な武器なんだ」
ユラは照れ笑いを浮かべながら、わずかに体を傾けて自慢の装備を見せてきた。
スカグフの武器は容易に非表示が可能だ。しかし装備品はオシャレと同じで、誰かに見せびらかすことに意味がある。その誰かが自分自身であっても全然いい。
フル装備を惜しげもなく見せつけるユラは、確かにケチのつけようもないほど美しく、可愛いかった。
「持ってみる? はい、イトちゃんと同じバスターソード型」
「オフッ……。うわあ、装飾とかすごい細かいですね。刀身もよく見ると中に光の粒が……」
「失礼。何だか、とても親しげな様子だけども……」
ケンザキが呼びかけてきた。気づけば、全員が窓際に集まってきている。
「ユラ君とイト君は前からの顔見知りだったのかね?」
「いいえ」
「違うよ」
イトとユラは揃って首を横に振った。
「しかし、一目見て、そしてさっきの画像を確認して、心から理解しました……! ユラちゃんと友達になりたいとッ……!」
「え、ホント?」
驚いた様子を見せたのはユラだ。素直に目を丸くする。
「はい! だってこんな宝石みたいに可愛い子、放っておけないじゃないですか。もう少し早くうちの地区に来てくれていたらなー。水着イベントに間に合ったのになァァ!」
「え、えへへ……。イトちゃん、ボクのちっぱいなんか見たいの? 変わってるなぁ……でも嬉しい」
熱弁を振るうイトに、照れたように微笑むユラ。
ケンザキたちがぽかんとそれを見る中、千夜子が恐る恐るといった様子で、言葉を入れてくる。
「あ、あの、イトちゃん? さっきのケンザキさんの話聞いてた? その子は……」
片っ端からPKを仕掛けている狂暴なプレイヤー。それはそうなのだろう。
「でもチョコちゃん。ユラちゃんは凄腕のプレイヤーを狙ってるだけで、わたしたちみたいな一般人には何にもしませんよ。実際アイドルにも被害は全然出てないし。だったらユラちゃんは萌え萌えズキュンな女の子です!」
「一般人のつもりなのかね君は……」
ケンザキが何かぼやくのは気にしないとして、今こうして向かい合ってる時点で何もしてこないのが答えの一つ。ファーストコンタクトは問答無用で行き違いがあった。今とは状況が違うのだ。
「じゃあさ、イトちゃん。フレンド登録しようよ。オトモダチの印」
ユラが笑顔で言ってくる。
「あっ、それは……」
イトは困った。するとユラも顔を曇らせ、
「なんで?」
「わたしたち、事務所付きのアイドルなんです。フレンド登録って基本的にNGで。トラブルの元になったりしちゃうから……」
「そうなんだ」
「で、でも、友達になりたいのは本当ですよ。あっ、ユラちゃんのホームはどこですか。わたしたちはタウン6の赤レンガアパートで、フレンド登録してなくても、お互いの家に行けばいくらでも会えま――」
「うん。じゃあ、イトちゃん。戦ろっか」
「へ?」
だしぬけにそう提案され、イトは目を丸くした。ユラは最初の渇いた薄笑いに戻っている。
「だから、ヤろ? 一対一でも千対一でもいいよ。今のところ大した相手いなかったから、ずっと気になってたんだよね。最初にボクの攻撃を防いだ女の子のこと」
かすかに首を揺らし、ユラはうっとりと目を細めた。
「ボクもね、イトちゃんと同じなんだ。最初に会って、今また確認して、わかっちゃった。ボク、イトちゃんとすっごくヤりたいよ。イトちゃんのことメチャクチャにしたいし、ボクのこともメチャクチャにしてほしい。できるもんなら」
「エッッッッ……じゃなくて、えっ、いえ、ユラちゃん。そういうのは」
「ダメなの?」
イトは遠慮がちにうなずく。
「わたしアイドルですから、そういうことには興味がないんです……」
「ボクとしては、だからこそ、なんだよなぁ。戦闘職でもないのに、ボクの攻撃を防いで追撃までしてきたんだ。これがこの地区の普通なのかと思ったら、そうじゃないし。だから君たちとどうしてもまた戦いたいんだよ。不意打ちなんかじゃなく、ガチでさぁ……」
本気で残念がっているユラを見かねて、申し訳程度に話を合わせようとする。
「あの、どうしてもPVPしたいっていうなら、絶対できないってわけじゃないですけど。でもわたし、全然ユラちゃんにかなわないと思います」
「んー……。そういう、片方だけ白けてるのはやだなぁ。もっとお互いの喉笛を求めあうみたいな激しいのがいい」
「えぇ……」
「どうして? あの時のイトちゃんの目は、そういう目だったよ?」
「えっ……。そんな目してました?」
これにはイトが自分で引いてしまう。しかしユラは、その記憶に浸るようにうっとりと目を閉じ、
「してたよ。目が合った瞬間、“あっコイツ”って思ったもん。みんな――そこのおじさんも、ただビックリしてる中で、イトちゃんだけがもう“殺す”って段階の目でボクを見てた。だからつっかかっていったんだ。そしたら弾き飛ばされてさ……。あれからリアルに戻ってもずーっとゾクゾク、ドキドキしっぱなしだよ。はぁ……あの日は体が火照って全然寝られなかったなぁ……」
ユラは頬を赤らめ、自分を抱きしめるように腕を回した。
「どうしてかな。どうしてあの時はそうしてくれたんだろ。ボクの中を満たしてくれたのに。ねえ、イトちゃん……。イトちゃん、イトちゃん……。待てよ……そう……そうだ……。あの時……後ろに誰か、かばってたよね?」
「!!」
嫌な予感がして、イトは顔をしかめた。それを見られた。ユラの笑みが悪い形に歪む。
「女の子、後ろにいたよね? あーっ……そっかぁ……。あの子を守ろうとしたんだ。そっか、そうなんだ」
「ま、待ってください。六花ちゃんは関係ありません」
「いや、あるよ。おおありだよ。アイドル職の頂点、月折六花。十七地区って、今結構ノッてるんだよ? 前の絶滅地帯の事件でも生き残ったし、やっぱり六花ちゃんがいる地区は特別って、わりと聞く話なんだ。それでボクもここに来たんだよ。でも、そっか。イトちゃん、そっかそっか」
一人、壊れた人形のようにうなずくユラ。
次の瞬間、彼女は八重歯をのぞかせて笑い、荒んだ空気を一気に周囲へと広げた。
「決めた。次は月折六花を殺す。メチャクチャにいたぶって、ボロボロに泣きわめかせる」
「ユラちゃん……!」
「だから止めに来て。お願い、イトちゃん」
最後にそう告げると、ユラはホウキで飛び去って行った。
誰もが呆然とする。嵐のように現れ、嵐のように去っていく。
「こりゃあ……すごいことになるぞ……」
ケンザキのつぶやきに、否定の声は上がらなかった。
プレイヤー同士で因縁を作り合えれば虚無期間も余裕で乗り越えられるということか……(気づき)




