返事
まだ誕生日がきてないからこの16年間。
告白されたことも、したこともなかった俺が目の前のお金持ちで、気が強くて、よく見ると顔も可愛くて。
ヤンキーという点を除けば文句がなかった。
そしてさっきまでヤンキーぽかった態度が一転、
『駄目…ですか?』
上目遣いで、可愛らしい仕草で敬語。
喉から出る寸前だった“よろしくお願いします”の言葉を引っ込め違う言葉を出す。
「ほんとに俺でいいの?」
そう、聞いてみた。
「だって俺は見ての通り根暗で、さっき見たいに虐められてて、おまけに貧乏だし……あの理由だけで付き合うのは釣り合わないかなって…」
『ぅ………っ……』
「え?」
とても小さな声だった。
だから思わず聞き返したのだが。
『嬉しかったの!』
「うわぁ!」
いきなり大きな声出すからビビった…。
『私は小さい時から褒められたり励まされたことがなかった。
勉強とかスポーツとか出来ても親は毎日仕事でいないし…か思ったら死んじゃうし…周りの人からも…遠ざけられていたし…。
そんな思いが積もってるとき生まれてはじめて人から“頑張って”って言われた……。
他の……普通の人からしたらなんにもないことかもしれないけど…私からしたらそれに救われた気がしたの。
だんだん自信もついてきてどんどん上手くいって…。
そして思ったの……あの人に会いたい、恩返しがしたいって。
その思いがだんだん強くなっていつしか好きになったの…。
そこから私は男の人はどんな人が好きなのか、性格はどういうのがいいのかを調べた。
強い人、強気の人、ギャル……それで辿り着いたのがこのスタンス…。
後はこの財力を使って……』
あっれれ〜?おっかしいぞ〜?
前半はいい話だなと思ってたら後半重いぞ〜?
最後財力とか言ってたし……。
…でも話を聞いててわかった。
この子は怖くなんかない。むしろ心が強くて優しい。
…なんか違う感情も強いけど。
それに…
「俺も……俺も誰かにちゃんと必要とされたことがなかったから嬉しいよ」
『!!。てことは…!』
俺はスッと右手を前に出す
「こんな俺で良ければ…よろしくお願いします」
『こちらこそ!』
そして彼女は俺の右手を強く握り返した。
……ギュッ
「痛だだっ!!」
俺は痛さのあまり手を離して仰向けに倒れた。
『す、すいません…嬉しくつい……なんで笑ってるんですか?』
俺は右手を押さえながら笑っていた。
「いや…。なんか俺青春してんな…みたいな?」
『なんですかそれ?あははっ!』
俺も…皆と同じ日常に入れたかな…。