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サガミの家に来る配送物

 時刻は夜、今日も依頼をこなして帰りの時間が夕飯を作るには遅くなったので外食(ギルドハウスの食堂)を済ませてきた日の事。 サガミとシルクは自分の家に帰る前に、自分達の部屋の郵便受けを覗いてみると、そこには大量の手紙が詰め込まれていた。


「・・・父さん、これ・・・」

「・・・はぁ。 また一気に送ってきたんだね・・・こんなのを繰り返してたら、郵便受けが壊れちゃうよ。」


 そう言ってサガミは郵便受けに入れられていた手紙を全て取り出して、そのまま部屋に戻る。 そしてどかりと手紙を机に置くのだった。


「どうするの? これ。」

「・・・今日はもう遅いから明日にしようか。 いくつかは不在届だろうし。 ギルドハウスにはその後・・・いや、どうせ不在届の荷物を取りに行かないといけないか。」


 仕事疲れの事もあってか、サガミは一刻も早く寝たかったので、サガミとしては珍しく、お風呂を簡素に済ませてすぐに眠ってしまう。 それだけ今回の依頼が大変だったことを伺わせるのだった、 シルクもそれは分かっているので、いつものポジションに入って、サガミと共に眠りにつくのだった。



「まずは仕分けからかな。」


 翌日の朝早くから昨日机に置いてあった手紙の束を見るサガミとシルク。 見るものが見たら、そんなにもなにを溜め込んでいたんだと言われそうだが、別にサガミは手紙を溜める癖等はない。 「一気に送ってきた」とはそう言う意味で、送られてくる量が1回で大量に来たりするのだ。


「ボクも手伝う?」

「んー。 それじゃあ仕分けし終わった手紙をすぐに見れるように開封しておいてくれるかな? 中身は大体知っているから。」


 そう言うとサガミは早速手紙を確認していく。


「えーっと・・・これとこれとこれは勧誘だから普通に捨てる。 これは・・・武器屋の新商品情報かぁ・・・後は・・・別ギルドからの依頼? こんなのまであるんだ。 内容は後で確認するとして・・・」


 そうして机に置いてあった手紙を確認すること10分。 シルクが開封を手伝っているお陰か、手紙の内容物を粗方確認し終えて、サガミは右と左で量を確認してため息をつく。 ちなみにサガミから見て右が最終的に捨てるもの。 左が郵便物や手元に残しておきたい書類と具合だ。 そして右の方が左の倍近くの量になっている。


「使えそうなものを引き抜いてもこれだけあったんだねぇ。」

「父さん、そんなに手紙来る。 なんで?」

「1人で依頼をこなしていた時に、勉強会やら、大会やらになんだかんだで参加していたからねぇ。 とはいえこっちの右側は余計な勧誘とか買わない物のチラシとかだけど。」


 サガミは束になった右の手紙を叩く。 この中にはカルト的な宗教勧誘の手紙だったり、サガミを個人的に恨んでいる人物からの手紙だったりする。


「シルク。 炎でこの手紙は破棄してくれる? あ、部屋の中ではやらないでね。」

「分かった。 窓、開ける。」


 そう言ってシルクは窓を開けて、束になっている手紙を放り投げると、すぐさま炎の息吹で手紙を灰と化した。


「これからは手紙とかの紙の処理は・・・いや、あんまり頼ると駄目かな。」


 堕落しそうな自分を戒めながらも、サガミは手紙を持って、外に出たのだった。



「ん? おう、サガミ。 今日は遅かったな。 お前にしては珍しい。」


 サガミ達はギルドハウスに着いてから、いつも通りユクシテットの元に向かった。 そして数枚の手紙をユクシテットに見せる。


「おおう。 不在届が相変わらずだな。」

「とりあえず全部手続きするので、これ全部お願いします。」

「お前なぁ・・・見つけ出すこっちの身にも・・・いや、それはお前に言っても仕方ない事だ。 家賃の滞納が無いのはいいことだが、そろそろ個人宅でも持ったらどうだ?」

「そんなの建てても僕は家には基本的にいませんよ。」


 大きな家にする事はないだろうが、サガミは多分、新たな物置き場にしかしないだろうなという考えがあるため、家は建てないように考えていた。 あとは簡易的物なら自分で作った方が速いという意味合いも兼ねているが。


「まあいいさ。 いつもの席で待ってろ。 30分くらいで全部出してやる。」


 そう言ってすぐにユクシテットは奥に引っ込んでいった。


「他にも荷物はある。 30分なんて出来るの?」

「・・・あの人、僕の荷物だけある程度分別してるんじゃないかな? 絶対まとめて来るだろうと思って。」


 そう言う意味では時間を取られるわけではないのでありがたい話ではある。 そしていつもの席に着くと残りの手紙も広げる。 今日はクランメンバーも依頼に出払っているようで、この場にはいない。


「残りはどうするの?」

「基本は割引券とかだけど、この中で行くのは道具屋と料理のお店くらいかな。 武器や防具は「超能生成」が出来るようになってからはあんまり行ってないし、みんなに渡そうかな。」

「それがいい。 宝の持ち腐れは良くない。」

「後はほとんど可燃物だったしねえ。」


 そんな会話をしつつ、サガミは次に受ける依頼に目星を付けるために掲示板で時間を潰していると、ユクシテットが何枚かの封筒といくつかの小包を持って現れる。


「とりあえずこれとこれとこれにはお前のサインを書け。 後はこっちで処理する。」

「ありがとうございます。 ユクシテットさん。」

「はん。 同時に送られてくることもそうだが、こんだけ試験を受けて合格免状を貰ってる奴も冒険者にはいないだろうよ。」

「そうですかね? 僕は僕のやれることをやってるだけですが?」

「その量が異常だと言ってるんだよ。 同時期で無いにしろ、ここまで一気に免状が送られるわけあるか。 これでまだお前を認めないような頭の固いお偉方も、目色を変えるだろうよ。」

「随分ととげのある言い方をしますね?」

「お前が自分で選んだ職業に対して鼻で笑う輩なんか、鼻を明かしてやらんきゃ気が済まん。 このままAランクにでも挑戦するか?」

「Bランクになってまだ半年も経ってないのに出来るわけ無いじゃないですか。」

「お前ならやりかねんがな。 ここでの用事が終わりならこのまま依頼に行くか?」

「いえ、今日はさすがに休みます。 というよりも、こっちを消費しなければいけないので。」

「ははは、そうかそうか。サガミも普通に休む時がきたか。 こりゃ本格的にそういったやり方を取らんといかんか?」

「ユクシテットさん。 たまに冗談じゃないこと言うの、止めてもらえません? やりかねなくってしょうがないんですが。」


 ため息をついて、サガミは見せてもらった免状を受け取りつつ、ギルドハウスを出るのだった。



「それにしても、どうしてこんなに僕のところに来るのかな? 大体は数回しか行ったことのないお店ばかりなのに。」

「戦略的な呼び込み。 もう一度来てもらうために、必死。」

「普通の人よりも、冒険者の方が足を運んでもらえるとは思うけどさぁ・・・」

「それにここにあるお店、ただ入店しただけじゃないんでしょ?」

「・・・僕が使役しているとはいえ、凄い洞察力。 これも竜の血を率いてるからかな?」


 そんなことを言いつつも、目的の店まで歩いているサガミとシルク。 ギルドハウスからはそこそこ遠いものの、いや、遠いからこそサガミは足を運ぶ価値を見いだせる場所だったと確信している。


 着いたのは日が暮れていないのにも関わらず暗い路地裏の先にあった店。 看板がかかっていないが、店の灯りは付いている。


「父さん・・・」

「心配しなくても大丈夫。 怪しい雰囲気を出しているのは表だけだよ。」

「それでも駄目だと思うんだけど・・・」

「でも止めはしないんでしょ?」

「人が住んでいる所、父さんが行く場所。 危険な場所は最初から踏み込まない。」

「よく分かってらっしゃる。」


 使役している身ながらよく見てるなと、(シルク)の成長に心でじんわりとしているサガミは、店の中に入るのだった。


 中に入るとそこには、色鮮やかに輝く宝石がズラリと並んでいた。 外と中の明るさが見違えるほどに。


「んー? 誰かと思えばお前さんか。」


 奥に佇んでいたのは少々やせ形の初老。 初老と言ってもそれは見た目だけで、年齢的にはそこそこ若い・・・とは本人談である。


「どうもこんにちは。 また余計な人達にガサ入れされてないです?」

「お前さんが依頼を達成してくれたお陰で信憑性が生まれてねぇ。 面倒な者はしばらく来とらんよ。」

「全く、そもそも僕だって最初は疑問に思ったんですからね? ()()()なんて聞いたこともないアイテムを採取してきてくれなんて書いてあったんですから。」

「だが本物だったとお前さんが証明してくれたからな。 まだ認知度は低いが、それなりに利益にはなっておるよ。」

「魔宝石?」


 聞き慣れない言葉に、シルクは首を傾げた。


「ここに並んでいるのは普通の宝石じゃなくってね。 微量ながら魔力が入ってるんだ。 色んな条件が揃わないと採れない代物らしいんだけどね。 それでこの人はその魔宝石を触って、魔力がどれだけあるのか、そもそも魔宝石なのかを判別できるスキルを持ってるんだってさ。」

「元々は職業が「触診」だったんだが、世の中そんな簡単には触る機会なんて無いから、鉱物関係を触り続けたら身に付いたのさ。 昔は自分でも取りに行けたんだが、なにぶん身体を弱めてな。 こうして売ることしか出来んのさ。」

「でも父さんもそれが分かっている。 それはなんで?」

「依頼に行く前に僕もその魔宝石について知りたくって、この店に来た時に片っ端から「目標索敵」で見ていったらいつの間にかある程度見分けがつくようになってね。」

「あそこまでガン見してから依頼に行って、ちゃんと採ってくるんだ。 大したタマだよ。」


 初老はクックッと笑っていた。


「また足りなくなったら、依頼させてもらうよ。 今度は個人的にねぇ。」

「他の人に頼んでよ。 この手紙だって、僕が魔法を使わないのに、割引券のような形で送ってきて。」

「ちゃんと見分けれて、採掘を出来る人間なんか、現状お前さん以外におらんのでな。 それに魔宝石は普通に相手に渡すのにも十分に役に立つぞ。」

「特になにもなさそうならそれでいいよ。 それじゃあね。」


 そう言ってサガミはシルクを連れて、店を後にした。


「ねぇ父さん。 どうやってあの魔宝石、本物だって認めさせたの?」


 シルクがそう聞いてきたので、サガミは少し考えた後に

「僕の「超能生成」は、ある程度の鉱物なら自在に変形させることが出来るんだけど、あの宝石はスキルを発動してもうんともすんとも言わなかったんだよね。 さすがに魔法までは生成出来ないからって言うのが、僕の中の結論だったからかな。 本当の理由は分からないけど。」


 そう言って自分達の家へと足を動かすのだった。

短く書くつもりがそこそこ長く書いてしまった・・・

いつもこれぐらい筆が乗ってくれたら苦労はしないのですが・・・

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