調成師 サルガミット
こんにちは、風祭 風利です。
また突拍子もなくですが、新小説を出しました。
今回は「外れ職」関係でハイファンタジーを考えてみました。
小難しい話は後書きに書きますので、どうぞ見ていってください
この世界、ラームグルーヴには、ある年齢を越えると、ステータスに応じた「職業」が複数提示される。
例えば剣を使うのが長けているなら「剣士」が主だが、派生として「剣道家」という、相手の弱点のみを突く戦い方をする者もいる。
職業はあくまでも道しるべ。 その先をどうするのかは己次第だと、ラームグルーヴに住む子供達はみな、そう教わってきた。
そしてそんな子供達もその年齢になるまでに様々な訓練を、学校の授業の一環として学び、その年齢である15歳になれば職業を選ぶことが出来るようになる。 電子端末のようなものを貰い、そこに表示される職業を選んでいくのだ。
大抵の場合は一番上に来る職業を選ぶことが多い。 それが一番の適正職業だからである。 そして下に行くにつれて、適正はあるものの、相性の良し悪しで優先度が下がっていく。 なのでほぼ即決のように一番上を選んでいくが、ただ一人そうではなかった人物がいた。
サルガミット・コーナン。 彼もまた他の者と同じように職業を見て、即決はしたものの、一番上に存在している「生成者」という職業ではない、別の職業を選んでいた。
「・・・本当にこれでいいの?」
サルガミットの目の前の職業を与えてくれる聖女にそう訪ねられるが、サルガミットは
「僕が決めたことですので。 僕なりに頑張りますよ。 お願いします。」
サルガミットは頭を下げた。 聖女も困惑しつつも指定した職業を明記する。 これでサルガミットは晴れて「調成師」という職業になったのだった。
それから2年の月日が経ち、17歳となったサルガミットは、今日も冒険者の集うギルドハウスへと足を運んでいった。
ギルドハウスには様々な事が行われる。 冒険者の依頼掲示板はもちろん、取り引きやパーティーの編成。 裏には訓練所のような場所もあるサルガミットの住む町「オーミュ」の中でも屈指の大きさを誇るギルドハウスになっている。
「さてと、家の備蓄も無くなってくるし、そろそろあの依頼の消化でもしてやりますかね。」
そう言いながら依頼掲示板の前にいる有象無象の冒険者の間をすり抜け、目的の依頼書を2、3枚ほど取った後に、受付へとそれを持っていく。 受付にはスキンヘッドにバンダナ、グラサンという、いかにも厳つい見た目のおっさんがいたが、構わずに受付の紙をサルガミットは置いていく。
「うん? よお、サガミ。 相変わらず今日も張り切るなぁ。」
「おはようございます。 ユクシテットさん。 今日はこれでお願いします。」
ユクシテットと呼ばれたその人物は、依頼書を確認する。 ちなみにサガミと言うのはサルガミットのアダ名で、学校時代からのアダ名でもあった。 彼を知っているものは大体がこの名前で呼ぶ。
「確認した。 今のお前にとっちゃ、こんな楽な依頼・・・いや、目的はここに生えてる植物だな?」
「ええ、そろそろ家の在庫が切れそうなんで、依頼の消化ついでに、採取して来ようかと。」
「はっはっはっ。 こんなのくらいで一緒に依頼をこなしてくる事なんかないだろ! お前の実力はここにいる奴らは大抵は知ってるんだからよ。」
そう笑いかけるユクシテット。 それを言うのも無理はない。 サガミの「調成師」とはどんな職業なのか検討もつかない、言わば「外れ職」とも自負されていた。 しかし実際に何人かは「調成師」になった人間はいる。 それでも省かれたりはした、という経緯もあり、調成師はごく稀に見かける程度になっていた。
そんな時代にサガミは自ら「調成師」に志願した。 始めこそ色々と言われていたものの、この2年で彼の努力が認められると、まだほんの一部ではあるものの、調成師の見方が変わってきたのだ。 ユクシテットはそんなサガミを1からずっと見てきたので、実感は湧いてくる。
「ま、お前のワーカホリックは今に始まった事じゃねぇがな。 受託印は押した。 とりあえず行ってこいよ。」
「はい。 それでは行ってきます。」
そうして依頼内容のデータが入った指輪を付けて、ギルドハウスを出ていくのだった。
「あ、あったあった。」
町から数時間依頼用の馬を走らせた草原の中にある黄色い花をつまみ上げる。
「普通ならこいつは草原の草の中に紛れ込むように生えているから見つけにくいんだけど、僕の「目標索敵」にかかれば、どうってことは無いね。」
「目標索敵」とはサガミの職業「調成師」の中のスキルのひとつで、一度調べた植物や動物、鉱物ならある程度どの辺りにあるかが分かるスキルで、熟練度によって性能は上がっていく。
職業にはそれぞれ見合った「スキル」というものが発現する。 「剣士」ならば、相手との距離を見切る「間合い」、「魔法使い」ならば敵の魔力を吸い上げる「魔力吸収」など、職業らしいスキルが手に入るし、使えば使うほど性能は上がっていく。
ただし発現させるには条件をクリアしなければ、文献などでスキルの存在は知っていても、実際に発現するかは本人次第なのだ。 つまり発現条件が揃っていても発現しないこともあるということだ。
そんなわけでサガミは先程採取した花を積み終えて鞄に入れていると
「プシャー」
サガミの背後に黄色く頭が尖ったスライムが現れる。
「さて、そろそろ仕事に取りかかろうかな。」
そう言ってサガミは腰に据えていた2つの短剣を構える。 彼は「調成師」なので、戦闘分野はあまり得意ではないが、ステータスの都合により、彼の戦闘スタイルは「二刀流」となっている。 二刀流と言っても、持っている武器の刃は短いので、短剣を2つ持っているスタイルになる。
「討伐対象の「スピアスライム」。 昔はそこそこ苦戦したけど、もうお前は僕の敵じゃない。 それに「敵観察」のスキルの成長で、お前の情報は全部分かってる。」
そう言って剣を構えるサガミ。 「敵観察」は目の前の敵を観察し、調査報告を出来る。 そしてその情報はスキルを通じてサガミの情報網に入ってくる。 ちなみにサガミのスキルは「目標索敵」も「敵観察」も熟練度が上がり、大抵の目で視れる物は知っている判定になっているのだ。
サガミと敵対するスピアスライムは頭のとんがりをサガミへと突き刺していくが、それをサガミは華麗に避けていく。
「1、2、3・・・1、2、3・・・」
サガミはその間にリズムを刻んでいく。 これがサガミの「敵観察」の特徴で、相手の攻撃のパターンを読むことが出来るのだ。 勿論これも何度も「敵観察」を使っている内に熟練度が上がったものである。
「1、2、3・・・そこっ!」
そうしてスピアスライムがジャンプしたところに合わせて、右の剣を突き刺す。 すると見事にスピアスライムが串刺し状態になった。
「スピアスライムは3回こっちを突いてきたあとに跳ぶクセがある。 ただその跳び具合までは読み取れなかった。 だからこうなるのを待っていた。 でもスライムというのは一応核が存在していて、そこを壊さないと倒せない。 だから」
そう言って串刺しにしている剣を変形させた。 先程までは業物だったものが、内側から爆発するような形に変わったのだ。 その攻撃を浴びたスピアスライムは爆発四散した後に、ぼとぼとと欠片を落とすのだった。
「倒し方としては残虐かもしれないけど、今は僕だけだから誰にも咎められないさ。」
今行った事がサルガミットの、調成師の最大の特徴であるスキル「生成」である。 生成は物質から物質への作成に長けていて、変形させるのは勿論、別の物体に変化させることも可能だ。
ちなみにサガミはこの2年間で色んなものをスキルで作成してきたので、彼のスキル「作成」は進化し続け、今では「超能作成」にまで進化している。 これのお陰で彼は「原子」からでも物質を作り出すことが可能になっているのだ。
このように「調成師」とは「調べること」を主とし、それを元に「作成」する職業なのだ。
「ええっと、後の依頼はこの先だね。」
そうして次の場所に向かうべく、馬車を走らせるのだった。 ちなみにギルドハウスで貰った指輪のお陰で、サガミが倒したスピアスライムの事は報告済みとなっている。 つまり全部の依頼をクリアしてからでも改めて報告することは構わないということだ。 便利な世の中である。
そんなこんなで丸二日かけて討伐兼採取を終えたサガミは、報告と報酬の為にギルドハウスへと足を運んだのだった。
「よおサガミ。 依頼の報告はもう済んでるぜ。」
「いつもありがとうございますユクシテットさん。 今回の採取はかなり捗ったので、報告と帰省が遅くなりました。」
「ま、お前はよっぽどの事がない限り死なんと思ってるから心配してねぇよ。 また無くなったら行くんだろ? こいつらは定期的に駆除しないと、次から次に湧いてくるからな。 依頼は堪えないんだ。」
今回サガミぎ倒したモンスターは繁殖力の高いモンスターなのである。 なのでサガミにとっても好都合な依頼とも言える。
「お前さんにゃ報酬金以上のものが手に入ってるから、気にはしてないだろうがな。 ほら、依頼書分の報酬だ。 全く、お前はある程度貯金もしてるんだからたまには休め。」
「お言葉ですがユクシテットさん。 これは僕の性分ですし、僕が「調成師」になった時からの、自分なりの戒めですので。」
「分かってるよ。 お前に何を言っても無駄なことはな。 しかしスピアスライムか・・・」
「? スピアスライムがどうかしました?」
「ちょっとした職業訓練を終えてちょっとしてすぐに似たような依頼に1人で挑みに行った時に、ケツ抑えながら依頼完了の報告していた頃とは大間違いだなと思ってな。」
「ちょっ!? それいつの話ですか!?」
そんな声が木霊するギルドハウスは、今日も賑わいを見せていた。
この物語は自ら「外れ」と言われた職業を選んだ少年の、成せる力を使って、自分を高みへと目指していくお話である。
「いや、僕は最強とかに興味は無いからね?」
いかがだったでしょうか。
自分としてもあまり流行りのジャンルに近いものは書かなかったのですが、一度書いてみてもいいかなと頭の中で浮かんで、今回投稿してみました。
いつものごとく、見切り発車の小説ですし、正直な話あまり面白くない小説になってしまうかもしれませんが、気力が続く限りは書いてみようと思います。
今日から1週間は毎日投稿を約束致します。 その後の事はそのときに。