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黒衣のソース使い  作者: 霙霰雹霞霧靄露雫
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閑話 4 コルト村の人々&運命を変えた男

悪党には厳しく善人には優しく

なんて言ってるが秘密基地が欲しいだけだ



俺達は食うに困っている

だからと言ってやっている事の正当化なんて出来ねぇ

でももうこれしか道はねぇ

俺達の村は貧しい漁村だ

クレス湾の中にあり境界壁で区切られたため村の拡張もままならない

立地条件が悪い為に漁の効率も悪く畑の面積が大きくとれない

日に日に暮らしは困窮して行った

しかも海賊が横行するせいで沖には出られず

またシーサーペントが増えたせいで魚が減っちまった

だから村の連中と話して村一番の船で悪行に手を染める事にした

俺達は海賊『流蛇の牙』だ

遠征に出る食料をかき集めやっとの思いで出航した

村の期待を背に大海原へと進んで行く

波に揺られる事三日、ついに獲物を見つけた

相手は単独で航海する商船のようだ

これはチャンスだ

「皆獲物が居たぞ~配置に付け~」

「「「「「おうさ~」」」」」

俺達の船には大砲は積んでない、そんな高価な物もってるわけがねぇ

だが銛を撃ち出す捕獲用の装備ならある、こいつで船を固定して近づき乗り込んで積み荷を奪う

皆腕っぷしには自信がある、これでも大物と渡り合う事も何度かならあった

こっちの数は10人だ、海の上での戦闘ならお手のもんだぜ

目標の商船に近づこうとした時だ

ドォン!ドォン!ヒューーー

「やべぇ大砲撃って来やがった~避けろ~」

ドバシャンッドバシャンッ!

「あんなのありかよ、商船ってみんなあんな装備持ってんのか?」

「回頭しろ、あの商戦には手を出すのは危険だ」

「おう」

俺達は尻尾を巻いて逃げる事にした

「くそっ単独の商船だと思ったら、とんでもないのに出くわした」

「単独なのは海賊相手にも勝てる見込みがあるって事かもな」

「だがそうなると俺達で勝てる奴なんて居るのか?」

「さっきのは特別だったんだろう?あれほどのがそうそう居てたまるか」

ゴゴンッ!

「うわっ!何があった!」

「船底に何か接触!魔物かもしれん警戒しろ!」

ドンッドンッ!

「やべぇマッドシャークだ!逃げろ!」

「最大速度で波に乗せろ!」

ギギギーー

ザザン~ザザン~

「離れたら銛を撃ちこめ」

ドシュッザポンッ

「くそ外した!」

「姿が見えなくなった、潜ったか、あいつは危険だこのまま逃げよう」

「銛の1本や2本じゃ倒せないしな、しかたねぇ」

「くそ~うまくいきぁしねぇ」

「いったん浅瀬に向かうぞ、日が傾いて来た」

それからしばらく後、丁度良い小島の影で夜を過ごす事にした

「....おい」

「なんだ?」

「アレ...なんだ?」

「どれだ?...!?」

ガタンッ

「なんだありゃ、おい、アレなんだよ」

「みんな、来てくれ、アレを見ろ!」

俺達はとんでもない物が遠くの海に浮かんでるのを見た

それは巨大、そう巨大な船が海に浮かんでいた

大きさは100メートル程もある、見つかったらやられる

この海には俺達が触れちゃいけねぇモンがある事を知った

皆も、もう理解したようだ

海賊なんぞしてたって暮らしていけねぇって

話し合って海賊は止める事になった

しょせん俺達みたいな素人が手を出して良い稼業じゃなかったんだ

折角作った海賊旗だけど畳む事にした

だが村の皆になんて言えば良いんだ

「仕方ないだろう、俺達みたいな素人じゃどうにもならん世界だったんだ、村長にも話してまっとうに暮らして行こう、まじめに頑張れば何とか生きて行けるはずだ」

「そうだな、今回の遠征でそれが嫌と言うほど分かったよ」

村へ進路を取りつつ俺達がそんなやり取りをしてた時だった


「ちょっと聞きたいんだが、お前達は海賊か?」

ガタンッ!

船尾の方から突然声を掛けられた、何時の間に、どうやって?

俺達は混乱した、ここは海の上だぞ、周りには何もない海しかないんだ

しかもやべぇ、こいつ全身真っ黒の姿に手には光る剣を二本持ってる、逆らったら全員死ぬ

「...いえ、俺達は漁師でさぁ、さ、最近魚が取れなくて苦労してるんだ」


「そうか、海賊じゃなかったか、時にその海賊旗はどうしたんだ?」


「っ!こ、これは...先ほど拾ったんでさぁ、綺麗な旗だったので拾い上げた所なんだ」


「そうか、だがそれは海賊旗だろう?海に落ちてたって事は沈んでる可能性があるが、生き残った海賊が居た場合それを持ってるお前達が狙われるかもしれんぞ、捨てた方が良いぞ」


「ご忠告ありがとうございやす、すぐに捨てさせてもらいます」

俺達は海賊旗を海に捨てた、それしか選択肢は無かった

「さてと、お前達は漁師だそうだな、最近苦労してるとか言ってたろ、村がどこら辺にあるか教えて貰えるか?」


「知ってどうするんでさ?俺達の村は凄い貧しくて、明日食う分にだって困るほどの村ですぜ」


「とりあえずこの辺の地理を把握しておきたいと思ってるんだよ、どこら辺なんだ?」

それから大まかな場所を教えて反応を見る

何がきっかけで怒らせるか分からない、とにかく逆らっちゃだめだ

黒い男は場所を聞いた後何やら思案してるようだ

その後、俺を村まで案内しろと言ってきた、なんだって?なぜ村に来たがる

俺達が海賊に身を落としたのを知ってるのか?村まできて確認するのか?それはまずい村の皆が殺される

なんとか理由を付けて村への同行を阻止しようとしてた時だった

よりにもよってシーサーペントが襲って来やがった!

「うわ~やべぇ何とかしろ!銛を撃て!」

そう言った時だった

黒い男がブレたように動いたかと思ったらシーサーペントの頭が胴体から切断された

そしてすぐに掻き消えた、どうなってるんだ?もう何が何だか分からん

黒い男は案内してくれたらさっきのシーサーペントをくれてやるぞと言ってきた

俺達は無言で見つめ合った、あれだけの獲物を持って帰れば村は助かる

皆うなずきあった、覚悟は決まった、村を守るために何としてもこの人を、いやこのお方をお連れしよう

村へ向かう途中食料事情の改善策だとか、護岸工事だとか、畑の拡張だとかの手を貸してくれると言う話になった

何故そんな得も無い事をしてくれるのか聞いた所


1、お前達の村の場所が良い位置だった

2、こんな海のど真ん中で出会ったのも何かの縁だろう?

3、食うに困ってる奴が居るなら手助けするのが冒険者の務めだろう?


とこんな感じらしい

この方はB級冒険者のベーダーさんと言うらしい

村の名前を聞かれたがそんなものは無いと答えると

名前が無いと呼びづらいからコルト村にしろと言ってきた

俺達にそんな権限は無いから村長に言って欲しいと伝えた

数日掛けてやっと村まで戻って来た

ベーダーさんには迎える準備があるんでちょっと待っててくれと言って船に残って貰った

村人を集め今回の事の説明をした

ベーダーさんには俺と村長と女衆を束ねるマリの3人で対応する事になった

解体場には大きなシーサーペントを何処からか取り出し解体しておくように指示された

魔石だけ欲しいそうなのでそれは後で返却する事になった

話し合いは意外にも数分で終わった、全面的に受け入れると決まった

何しろ俺達には後がねぇ、断る理由も余裕も無い

そこからは俺達は目を疑うような速度で村が作り変わって行った

結局名前はコルト村になった

新しくなったコルト村はとても寂れた漁村とは思えないほど立派な村になった

建物も綺麗で住みやすく、新しく整備された畑は特に理解が出来なかった

どうやったら畑が2段構造になるんだよ、しかも日がちゃんと隅々まで当たり作物に悪影響は無い

外敵から村を守る防波堤の設置、湾内での魚の養殖場、きちんとした新しい船

もう村人全員ベーダー様に感謝しかねぇ

一方のベーダー様は自分のための施設を勝手に置かせて貰うと言って色々とやってるみたいだった

俺達には何が何やら分からなかったし、深く知ろうとは思わない

生け簀にはすごく綺麗な魚モモイロビウオを大量に貰った、これを養殖すれば食うには困らない

しかもこいつはうまいんだ、これで俺達の村は救われる

村人一同海岸に集まりベーダー様に感謝を告げた

本当にありがとうございました


村魔改造再び完了~

次話は本編に戻ります


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