4 行商人トーマス&情報収集
細かな設定にずれが無いことを祈る
「トーマスさん、賊はすべて片付きました、もう大丈夫ですよ。」
見るからに商人風の男性が馬車から降りてきた。
「おお、ドレッド君無事でなによりです、一時はどうなることかと思いました、
助けてくれた人が居るそうで、あちらの方ですな、どうもありがとうございます、
行商人をしております、トーマスと申します、この度は窮地をお救い下さり誠に感謝します、
食料にお困りだそうですね、食料はかなり余裕がありますし、街まであと2日の距離でもあります、
どうでしょうか、我々に同行して頂けるのであれば、食料はこちらで用意いたしますし、
街に向かってますので、貴方様の目的とも一致してるようですし、
その方がご都合が宜しいのではないですか?後は、お金になりそうな品物をお持ちだそうですね、
拝見しても宜しいでしょうか?」
これは願ってもない申し出だ。
「俺はベーダーと言う者だ、是非お願いしたい、俺はここが何処だか分らないので助かるよ、
品物は森の中で襲ってきた魔物の素材なんだが、たぶん水晶だと思われる蜂の死骸だ。」
亜空間収納から真っ二つになった、水晶の蜂の死体を取り出して渡す
「これは、クリスタルビーの死骸じゃないですか!希少素材で、滅多に手に入らないものですよ、
クリスタルビーは、魔素の森にしか生息していないはずです、あそこに入ったんですか?」
「気が付いたら、その魔素の森に居たんだ、なんとか脱出して今に至ると言う訳だ。」
「そうでしたか、物は2つに分かれてはいますが、元々細かく分けて装飾に使うので問題ないです、
こちらを売って頂けるんですか?」
「勿論、買い取ってくれるなら、売るぞ。」
(価格とか調べられたらな~あっ!鑑定眼があるじゃないか、今の今までその存在を忘れてた、
スキャニングアイ!)
名称:クリスタルビーソルジャーの死骸
概要:純度の高いクリスタルで覆われた魔法生物、希少価値が高く、高値で取引される、
状態によって価格に差異が生じる。
価値:正確な価格を提示するには、金銭単位の情報が不足しています。
備考:クリスタルの加工は難しく、高位の職人の技が必要。
(....これじゃ意味がねぇ!そういやお金の単位が分からないな、そもそも、ここは何処の国だ?)
「トーマスさん、色々と聞きたい事があるんですが良いですか?」
「ええ、私で答えられることで良ければ、お答えしますよ。」
「聞きたいことは、全部で3つです、
その1、この国の名前
その2、周辺の街や施設の情報
その3、使用されている金銭の単位
です。」
「なるほど、確か気が付いたら魔素の森に居たということでしたね、順番にお答えしましょう、
国の名前ですが、エテルディア王国です、この周辺はアレクシオス辺境伯が治める領地になります、
我々が向かっているのが、グランフォートの街です、南のクレスポートの港町から行商中なんです、
街の施設等は、かなり充実していますよ、宿屋もいくつもありますし、商店や市場も沢山あります、
何と言ってもギルドが多数集まっていますので、五柱神を祭る大きな教会もありますよ、
暮らすのに不便なところは無いでしょう、何しろアレクシオス様の領主館がありますから。」
「領主様の館があるんですね、ギルドが多数あるというのは、どのようなギルドがあるんですか?」
「はい、まず私が所属している商業ギルドですね、派生ギルドで運輸ギルドが併設されてますし、
ドレッド君達が所属している、冒険者ギルドと、魔法や魔道具の研究をしている魔術師ギルド、
職人達の職人ギルド、街を清潔に保つ清掃ギルド、街の治安を維持する衛士ギルド等があります。」
「随分いっぱいあるんだな。」
「それから使用している金銭はこちらになります。」
そう言ってトーマスさんは、紙の束をいくつか取り出してきた
(この国のお金は紙幣なのか!結構細かく作られてるみたいだな、日本の紙幣ほどではないが。)
「エテルディア王国では、紙幣が使用されているんですね。」
「紙幣の存在はご存じだったんですね、ベーダー様のお国でも紙幣が使われているのでしょうか?」
「そうです、紙幣だけではなく、硬貨も使用していますけどね。」
「両方使われているんですね、この国では紙幣だけですね、ですが2種類あるんですよ、
こちらの黒いインクで印刷されている方が、ディアーと言います、
1、10、50、100、500、1000、5000、10000、という八種の単位があります、
今手元に、この一種しかありませんが、青いインクで印刷されている物が、ディアルムと言います、
1、5、10、50、100、という五種の単位があり、10万ディアーで1ディアルムです。」
「なるほど、良く分かりました、ありがとうございます。」
(金銭情報が分かった、もう一度スキャニングアイ!)
名称:クリスタルビーソルジャーの死骸
概要:純度の高いクリスタルで覆われた魔法生物、希少価値が高く、高値で取引される、
状態によって価格に差異が生じる。
価格:クリスタル部分2万ディアー
備考:クリスタルの加工は難しく、高位の職人の技が必要。
(お、価格が表示されてる、他のも鑑定しておくか。)
名称:クリスタルビーワーカーの死骸
概要:純度の高いクリスタルで覆われた魔法生物、希少価値が高く、高値で取引される、
状態によって価格に差異が生じる、内部にハチミツを500ミリリットル保有。
価格:クリスタル部分2万ディアー、ハチミツ2万5千ディアー
備考:クリスタルの加工は難しく、高位の職人の技が必要、
ハチミツは希少価値が高く滅多に市場に出ない。
(なん..だと、ハチミツを持っていた!これ食べれば飢えを凌げたのでは?....やらかしてた、
異常な高値なのは気になるが、トーマスさんに聞いてみるか。)
内心がっくり来つつも気を取り直した
「トーマスさん、蜂は全部で5匹分あるんですよ、その中でこいつだけ種別が違うんです。」
俺は亜空間収納から取り出して見せた
「どれどれ、おぉぉぉ!これはすごい!クリスタルハニーではないですか!
素材のままの姿は初めて見ました、店頭に並んでる物しか見たことはないですよ、
これだけの量なら、2万5千ディアーはするでしょう、お譲り頂けるのでしょうか?」
「うーん、ハチミツは俺も欲しいですね~そうですね、200ミリリットル分残してもらえば、
残りは全部売りますよ。」
「ありがとうございます、商談成立ですね。」
トーマスさんと握手を交わして、お金を受け取った。