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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
98/504

✟「反逆への兆し」1/4

Signs of treason

「……棒!」

「……棒 ! 」


薄らだが声が聞こえる。

今自分は何をしていたのだろうか?

……あぁ、そうか。


確か暗殺教団に襲われて、自滅したんだった。


「相棒!」


パチリと目が開いた。

天井の明かりが眩しい。


「おぉ、よかったぜ!相棒。おい皆!相棒が目ぇ覚ましたぜ!」

「よかった!オクタビアの怪我もなんとかなりそうよ!」

「お前ぇは大丈夫か?」

「問題な……い。」


マクシモヴィッチが起き上がろうとして、倒れる。


「おいおい、大丈夫かよっておい!どうした、その手!」


ピザファットがマクシモヴィッチの袖をまくった。

腕が影のように真っ暗になっていた。


マクシモヴィッチの額から異常なほど汗が出ていた。


「はぁはぁ。やはり、何かされたか。」

「カゲロウか!」

「そいつに影を奪われた。」

「ん?何言ってんだ?」


ピザファットは明かりをマクシモヴィッチにあてた。

すると、彼の腕が光に照らされ、消えてしまったのだ。


「どうなってんだ?」

「これは俺の推察だが、奴は俺と入れ替わろうとしている……。」

「じゃあ、お前が影になって向こうが本物になるってことか?」

「恐らくそうだろう。この黒い部分がさっきより大きくなっている。俺が消えるのも時間の問題かもしれない。」

「じゃあ早く影を取り戻さねぇと!」

「まぁ、慌てるな。一晩ならもつ。」

「んな悠長な……。今からでも行くべきだぜ!」


「ピザファット、それはちょっと無理よ。」

「ん?どうしてだ?」

「気付かないか?さっきから外にいる連中を。」


ピザファットは窓の方を見た。


「arrrrrr」「arrrrrr」「arrrrrr」「arrrrr」「arrrrr」


「っわ!なんだよあれ?」

「分からんが、いきなり現れた。あれに噛まれるなよ。噛まれたらあれと同じ姿にされる。」

「……あれはゾンビって言うんだ。」

「相棒!知ってるのか?」

「あぁ。俺がいた地球って星にあれとよく似たものが……いた。」


ふとエドゥは違和感を感じた。

今まで何とも思っていなかったのが不思議なくらいだ。


ピザファットはエルフ族、マクシモヴィッチとオクタビアはダークエルフ族。

設定の僅かな差があるとはいえ全て地球の神話や創作物上の種族だ。


ナタリーは以前ウィリーがドワーフ族と予想していたが、別に髭が生えているわけでも力が強いわけでもない。自分の見解だと好奇心旺盛で幼いわけだから、どちらかというと◦ビットとか◦ーフリングに近いわけだが。


それにしてもこんな一致が偶然起こるものなのか?

まぁ、今こんなことを考えていても仕方ないか。


そう思いエドゥは話を元に戻す。


「ゾンビは光に弱い……(はずだ。)」

「そうだな。実際にあいつら周りをうろついてるだけで、この小屋に入ってこようとはしねぇもんな。」

「そういえば、ここは何所なんだ?」

「何所って言われてもな。その辺にあった小屋としか言いようがねぇよ。」

「そうか……。」


「まぁ、そういうわけでもう今日出来ることはない。明日もう一度あそこに戻ってあいつらを追い出す、たったそれだけだ。俺たちがやるべきことってのは。」

「ちょっと、待って。闇雲に向かって言っても今日みたいにやられるだけよ。何か対策を練るべきよ!」

「嬢ちゃんに賛成するぜ。」


作戦を立てるべくオクタビアを除いたエドゥ、ピザファット、ナタリー、マクシモヴィッチの4人が席につく。


「とりあえず危険な奴らは、あの双子と影を操る奴だな。」

「待て、あそこにあいつらの仲間が来る可能性も捨てきれない。」

「待った。あいつら何人仲間がいるんだよ!」

「何人かは分からないけど……。」


4人は今までであった暗殺教団のメンバーと能力を共有しあった。


まずは、影を操るデズモンド。


「やっぱり倒さねぇといけないよな。」


ピザファットがぼそっと言った。


「当たり前だ。あんな邪悪な姿した奴をどうして生かす?」

「ちょっと待てよ。可愛いだろ?」

「なんの話をしてるの?」

「カゲロウの姿だよ!嬢ちゃんは見てねぇか?」

「見てないわ。早すぎて見えないもの。」

「じゃあ、相棒は?」

「まだ一回も見たことないな。」


パンパンとナタリーが仕切りなおす。


「あのカゲロウ?は、多分エドゥが一番相性が良いと思うわ。」

「そうだな、炎の超能力使えりゃカゲロウを影から引っ張りだせる。」

「分かった。その影の奴は俺が相手する。」


次に能力がよく分かっていないパンドラボックス。


「俺っちはそいつを知らねぇ。」

「よく話を聞いたことがある。」


マクシモヴィッチが話を切り出した。


「能力はよく分からないがあの錠が閉じると誰も開けられないらしい。」

「うん、あたいが閉じ込められた時もエドゥとオクタビアが何とかしようとしてくれたんだけど、びくともしなかったの。」

「あぁ、能力がよく分からないぶん警戒が必要だ。」


次に出たのは双子の暗殺者の話題。


「あの紫の嬢ちゃんに触れたところがよ、粉みたいにサーッて崩れていったんだよ!」

「緑の方が何か金属を操る能力みたいだ。」

「あたいが見た限りだとその金属は鉄ってことで間違いないわ。」

(つまり磁力に関係した能力ってわけか。)


エドゥは口に出さず他の3人の会話を聞いていた。


「緑の方はマクシモヴィッチが一番相性が良さそうね。」

「あぁ、その鉄とやらを別の物に置き換えればいいわけだ。」

「すごい!よく「鉄」って言葉が出てきたわね!」

「あまり馬鹿にするな。覚えようと思えば覚えられるんだ。」

「じゃあ今戦おうとしている組織の名前は?」

「……」

「って全然だめじゃねぇか!」


などと会話があり。


「紫の嬢ちゃんはそうなると俺っちが良さそうか?」

「そうね、あと戦えるのはピザファットだけね。」


最後にハーシュの話が出た。


「俺が戦ったのがわんさつなんちゃらの恐らく司令塔だ。」

「もう訂正も面倒ね。」

「話を続けようか。」

「あぁ、俺っちももう疲れた。」


どうでも良いだろうと言わんばかりにマクシモヴィッチが話を続ける。


「奴の能力は分からないが、一つだけいっておく。」


彼が一息つく。

周りの3人も固唾を呑んで彼の話を聞いた。


「奴は不死身だ。出会ったら逃げるしかない。」


それからしばらくして作戦会議は終了する。

電気は消さずに全員が床についた。



そして夜が明ける。


ポタポタ


ポツポツポツ


カンカンカン


ザーッザザァー


「最悪だ。滅多に降らないくせに今日に限って!」

「何だ?うぉ!雨かよ!やべぇじゃねぇか!」


「arrrrrr」「arrrrrrrr」「arrrrrrr」「arrrrr」「arrrrr」「arrrrr」「arrrrr」「arrrr」


窓の外を眺めると昨日より多くのゾンビが徘徊していた。


「どうする?」

「流石に一日伸ばすのは無理だ。」


エドゥはマクシモヴィッチの方を見る。

彼の体は影の侵食が大分進行しているようだった。

首元まで黒くなっている。


「突破するしかない。」

「ナタリーとオクタビアはこの小屋で待っててくれ。」

「待った。嬢ちゃんのアシストないと俺っちは上手く戦えねぇぞ!」

「それは大丈夫!昨日のことがあったから、離れててもモニターできるように調整ておいたわ!」

「さっすが!」


「よし、それじゃあ三つ数えたら一気に飛び出すぞ!」

「皆、気を付けてね!」

「「「あぁ!」」」


「3」


「2」


「1」


バンッ


扉が開き3人が飛び出した。


「灼来風獣掌!!」


エドゥが炎を放つ。


「arrrrr」「arrrrr」「arrrrr」


ゾンビ達が光を恐れて離れていく。


「流石相棒だぜ!よっしゃいくぜ!」


エドゥ達はこうして、里まで一気に駆け抜けていった。

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