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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
94/504

✟「オーバーロード」1/4

Advent

「……なぁ。お前そこで何してるんだ?」


潮風に靡かれる二人の少年が日も没しようとしていた夕暮れ時に出会っていた。


「これは天気を調べるテンテングサという葉っぱでね、この葉っぱが下を向いていると次の日は雨が降る可能性が高くて上を向いていると快晴になるんですよ。」


知識豊富な少年はもう一人の少年に葉っぱを見せた。

その葉っぱは下を向いていた。


「……馬鹿馬鹿しい。そんなことで未来のことが分かったら苦労はしない。」

「まぁ、気休めと思ってもらって構いませんよ。」

「‥‥‥この空を見て見ろ。雲なんてどこにも見えない。」

「まぁ。明日になれば分かりますよ。」

「お前、名前は?」


「僕は、ラルフ=ビョルケル。君は?」

「……俺か。俺はエドガー、エドガー=シマコフだ。」


エドガーとラルフ、出会いの瞬間であった。


その次の日、エドガーは目を開く。

さて、昨日のラルフは雨だと言っていたが、どうだろうか。

最近知り合ったピザファット、フランコたちにこのことを伝えてみた。


「ハーハッハッ!草と天気は関係ねぇだろ!お前騙されてるぜ!」

「天気は雲の量で予想するって爺ちゃんが言っていた。今こんなに晴れているんだ。明日が雨なはずはない。」


二人はそんなことを言っていた。

まぁ、今日が雨でなくて良かった。

エドガー少年はそんなことを思いながら朝の支度をする。

今日は食料を調達しなければならないのだ、雨だとやりづらい。


エドガーは支度を済ませると外へと出かける。


「よぉ!エドガー、一緒に漁に行こうぜ!」

「誰が一番たくさん捕まえられるか勝負だ。」

「…あぁ!どうせ俺が一番だがな。」

「なに?俺っちが一番に決まってるだろ!」

「何言ってる?お前いつも最下位だろう。」


そうして少し沖合までボートを出した。


「よっしゃあ!俺っちの活躍みとけ!」


ザブーー₋₋ン!!


ピザファットが海に潜っていく。


「ふん。アミュレットを使ういい機会だ。」


フランコは水を固体化し、ブロックにして陸まで持っていった。


「ザッと数えて3匹くらいか。」


ブロック内の魚を数えていく。


さぁ、今度は自分の番だ。


エドガーはその身を魚に変える。


水の中を自在に動き獲物を捕らえていく。


「どうだ!俺が一番だ!」


「お前らずりぃぞ!アミュレット使いやがって!」

「お前も使えばいいだろ?」

「お前分かって言ってんだろ!」

「いい使い方があるぞ、お前を餌にして獲物をおびき寄せる。」

「おーい!フランコ、なんてことを」


あぁ、これが俺のいつもの生活だ。


こいつらと競いあい、大人になっていく。


ポタッ、ポタポタ


エドガーの頬に水滴が当たる。


「……雨だ。」


空を見上げる。


さっきまで青かった空は少し曇っていて、周りも薄暗くなっていた。


「おい。何かまずそうだぜ。」

「ボートが流されていく!」


ザァ―――


雨が強くなってきた、嵩が増し水位が上がってくる。

3人のボートが流されていった。


「やべぇ、早く戻らねぇと!」

「真っすぐいけばすぐにつくさ。」


ピザファットとフランコは陸地まで一直線に泳ぎ始めた。


エドガーもそれに続こうとする。

しかし、能力を使い続けていたからだろうか、彼は力が上手く入らなかった。

そして水の中にいるだけでさらに体力が削られていく。


「やべぇ!全然前に進まねぇ!」

「こっちもだ!波に押し戻される!」

「エドガー!アミュレットで助けてくれー!」


「無理だ。もう体力がない……。」

「そんじゃあ、フランコ助けてくれ!」

「助けるって何すればいいんだよ!」

「何か色々出来るだろ!お前のが一番使い勝手がいいじゃねぇかよ!」

「無茶言うな!」


これは本当にやばい、あの時ラルフの言っていたことは本当だったのか。

彼はそう思いながら沈んでいった。


(もうだめだ。体に力が入らない。このまま終わるのか‥‥‥。)


ブクブク


あぁ、体が重い。

ここで俺は終わるのか。


沈んでいく、沈んでいく、このまま地の底まで‥‥‥


嫌だ、嫌だ!まだ死にたくない!


エドガー少年は残った僅かな力で手を伸ばす。


ガシッ


彼の手を誰かが掴んでくれた。

そこから彼の記憶はない。


次に目を覚ました時、エドガーは陸地にいた。


「‥‥‥ここは‥‥‥?」

「お!生きてたぜ!」

「よかった。目を覚ましたんだな!」


彼の目の前にいたのは一緒におぼれていた二人の少年。

それに、もう一人。


「……ラルフ。」


そこにはずぶ濡れのラルフが立っていた。


「ね。言った通りになりましたよ。」

「……嫌味を言いに来たのか?」

「まさか?」


「おい。エドガー、俺っち達はこいつに助けられたんだぜ!」


「何?」


エドガーはラルフの方を見る。


「本当か?」

「まぁ、その通りですかね。」

「何でだ?」

「何でって……たまたまあなた達が海に出ていくのが見えたからですよ。」

「お前の言った事を信じなかった、なのに助けるのか。」

「随分饒舌ですね。目の前に救える命があるんですから助けるのは当然ですよ。」


「それにしても本当に助かった。名前を教えてくれないか?」

「ラルフ=ビョルケルです。よろしく。」


フランコとラルフが握手をする。


それから3人は自己紹介をしあった。


「テンテングサね。そんな便利なものこの辺に生えてんのかよ。」

「何でそんなことを知っているんだ?」

「それは僕のアミュレットが教えてくれるから……。」


「何?お前もアミュレット使いなのかよ。どういう能力なんだ?」

「簡単に言うと僕の頭の中には本があるんだ。この世のあらゆることが乗っている本が。物を見たり触ったりするとね、本が僕に情報を送ってくれるんだ。」

「へぇ。めちゃくちゃ便利じゃねぇか!じゃああれだ!お前のあだ名は博士くんだ!」

「ここにいるのは全員アミュレットを使えるんだね。」

「そういうのも分かるのか?」

「うん。例えばフランコの能力は物質を状態を変化させることだとか、ピザファットは回復能力。エドガーは別の生物に変わることとか。」

「すっげー!当たってるぜ!」


そこからいつもの3人に1人加わった、4人で何かをすることが増えてきた。


「この4人なら誰にも負けねぇぜ!」

「えぇ!誰が来てもみんなを守ります!」


そうラルフは言っていた。


いつからだろう、一体いつから彼は裏切りを考えていたのだろう?



ラルフは森の中を歩いていた。

何かがそうしろと言っているように感じてならないのだ。


(しかしハルトムートさんも連れてきた方が良かったのかな?)


そんな思考も、一瞬で吹っ飛ばされる。


「しかし、どこに連れて行こうとしているんですか?」


口に出してみるが返答があるわけもなく、ただただ足を動かすしかなかった。



「ここは一体?」


ラルフの眼前に果汁が広がっていた。


果汁がラルフの方へと進む。


何か危険を感じ、一歩後退する。

その動きを察知し、果汁はラルフ目掛けて飛んできた。


「うわあぁああああ!!」


ラルフの全身が果汁まみれになった。

そして、そのままラルフの皮膚が溶けていく。


そして全部溶けてしまった。


あぁ、これで彼は死んだ。


だが、それは普通ならの話だ。

この場合普通ではないことが起こった。


ラルフの残骸から本が飛び出してきたのだ。

本から手が飛び出し、ラルフの残骸をかき集めていく。


パラパラパラ


本が捲れていく。

すると手が果汁の方へと伸びっていった。


その手は果汁をぐぃーっと引っ張る。

果汁の抵抗も虚しく、本の中へと引き込まれた。


パラパラパラ

パラパラパラ

パラパラパラ


高速でページが捲られていく


ウアァァァァァ


本の中から呻き声が聞こえる。

ラルフの肉体とザクロの果実が中で融合を果たしていたのだ。


しばらくして本の中からラルフが生まれた。


「はぁー。」


ラルフは本を自分の体の中にしまう。


「あぁ。いい気分だ。」


そういうと彼はハルトムートのところに戻ることもなく、森の奥へと進んだ。

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