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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
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✟「三つ巴の戦い」4/4

ビヨヨーン




影が引っ張られていく。




「種が分かりゃ、簡単な話だったぜ!お前は影そのものだったわけだ!」




ピザファットの手には、全身が真っ黒で2本の角が生えていて、鋭い爪をしている悪魔のような生物が掴まれていた。




「ほらどうだ!どうやら光の中じゃ動けねぇようだな!」




ピザファットはそれを揺らす。




「この野郎!どうしてくれようかぁ!」




ピザファットは悩んでいた、目の前の物をどうするかを。




(流石に野放しってわけにはいかねぇが、殺すまではあんましたくねぇな。何とか会話が出来ねぇか?)




そして彼は目の前のそれと会話を試みる。




「おい。おめぇ、名前はなんてんだ?」




すると、それはピザファットの手の中で暴れ始めた。




「なんだ?喋れねぇのか?しょうがねぇな…。」




それを地面に近づけてみる。




「どうだ?地面に文字は書けるか?」




するとそれはその鋭い爪を地面にたて文字を書き始めた。




ーデ・ズ・モ・ン・ドー




地面にはそう書かれていた。


恐らくそれが名前なのだろう。




「デズモンドか、濁点ばっかで覚えにくいな。待ってろ今俺っちが、いいのを考えてやる。」




ピザファットはまた、使わない頭をフルに活動させる。




(うーん、影か、かげ、かげ、かげたろう、何かちげぇな。)


(かげたろう、かげたろ、かげたう、かげろう‥‥‥。かげろう。いいんじゃねぇか?)




「よっしゃ!」




大声をあげて喜ぶ。




「デズモンド、お前は今日からカゲロウだ!」




ピザファットはデズモンド改めカゲロウを空高く掲げる。




「カゲロウ!もう人を襲うのを止めろ!」




ピザファットの言葉に対し、カゲロウは地面に文字を書き答える。




ーX)ー




「ん?これはどういうことだ?」




文字の意味は直ぐに分かった。


カゲロウを掴んでいた手がなくなっていたのだから。




「おまっ!この野郎。」




カゲロウはピザファットの手に出来た僅かな影を見逃さなかったのだろう。


水を得た魚のように一瞬で力を取り戻しピザの手を切断したのだ。




手から零れ落ちると、近くの影へとカゲロウは潜り込んでいった。




(まずいことになっちまった……。犠牲者を出す前に俺っちがあいつを倒さねぇとなんねぇ!)




ピザファットはその後、カゲロウを探したがその姿を見ることが出来なかった。


そして、夜が明け太陽の光が辺りを照らす。






ゴロゴロゴロ




ゴーレムが起き上がり、口を開けた。


口の中からエドゥとオクタビアが出てくる。




「便利だね。ゴーレムにこんな使い方があるなんて。」


「んふふ、ゴーレムの家で暮らすのも悪くないでしょ。」




オクタビアが水を飲んでいるエドゥに、にじり寄る。




「ねぇ、結婚したら子供は何人欲しい?」


「ゲホッ、ゲホッ。何を言ってるんだ!」


「んふふ、冗談よ。冗談。」




むせるエドゥをよそにオクタビアは急に語りだした。




「私は男の子2人に、女の子はそうね、3人欲しいわ。」


「オクタビア?」


「昔本で読んだんだけど、ドラゴニュート族は空中で契りを結ぶんですって。私もそんな式を挙げてみたいわ。」


「オクタビア。」


「家は海辺の近くがいいわ。それでペットを飼って毎朝散歩するの!」


「オクタビア!」




エドゥの強い呼びかけでオクタビアは我に返る。




「そうね。今は生き残ることを考えないとよね。」


「よし、それじゃあ聖剣の場所に連れてってくれ。」


「……分かったわ。もうここまで来ればあと少しよ。」




エドゥとオクタビアは歩いていく。


森の中は霧が深く周囲の様子ははっきりとは見えなかった。




しばらくして、二人の目の前にはい光が差し込む。


光の方へと進むと開けた場所へと出てきた。




「あれって。」


「えぇ、あれが聖剣。」




遠くに台座に刺さった剣があるのが見えた。




「あそこにあるのが分かってて、何で取りにいかないんだ?」


「昨日も言ったでしょ。実際に行って見れば分かるって。」


「それもそうだな。」




エドゥ達は台座へと向かっていく。






その後ろにはラルフとハルトムーケが潜んでいた。




「あれが今回の獲物ね。」


「どうしますか。彼らを止めますか。」


「無駄な戦いは省くべきよ。能力が分からないうちは特にね。」




ハルトムートが続けて喋る。




「それに会話から察するに、何かしら仕掛けがあるようだし。」




ラルフはエドゥとオクタビアが先ほどからその場で足踏みをして進んでいないことに気付いた。




「なるほど、確かにあそこには何か仕掛けがある!」


「私の能力を使えば、聖剣を奪うことは簡単。」


「では、彼らが聖剣を手に入れるまで待つということですね。」




ハルトムートは首を縦に振る。






エドゥは全速力で駆ける。




だが、目の前の台座との距離が一向に縮まらない。




(こういうことか!)




エドゥはその場で立ち止まった。




「分かったでしょ。どうして皆が聖剣を手に出来ないのか。」


「あぁ、嫌なほど理解した。」




エドゥは隣にいるオクタビアを見て嫌というほど理解出来た。


先程から走っていない彼女が隣にいるのだ。




「地面から駄目なら、上からならどうだ。」




エドゥは重りを外す。




「浮いた!?」




驚くオクタビアを意に介さず、エドゥは宙に浮く。


そしてそのまま聖剣に近づこうとする。




「これならどうだ!」




右手を変化させる。




「気来風獣掌!」




エドゥの姿が一瞬で消えた。




風の勢いを利用し、高速で台座に近づく。




「どうだ!?」




エドゥは地面に着地する。




「駄目みたいね。」




横にいたオクタビアが声を掛けた。




「長老の未来視では、あなたとエルフ族の人が台座の前で争っていたのが見えたらしいの。」


「つまり、何かしらの手段で台座に辿り着くことが出来るのか。」


「えぇ、だからこそ長老はあなた達を逃がさなかったのよ。」


「そう言われても全く分からないな。」


「試すことが大事なのよ。私も手伝うから頑張りましょう。」




それからエドゥとオクタビアは試行錯誤を繰り返していた。








「出来た!」




ナタリーとマクシモヴィッチは一晩寝ずに鎧の整備を行っていた。




「しかし、これは便利なものだな。」


「銃ね。」


「まぁ、何でもいいさ。あの組織を倒せれば。」


「もう教えるのも疲れたわ、それ、あれでもう良いわ。」


「それで、そっちも出来たんだな。」


「え?えぇ、これでこっちで制御しながら鎧を使うことが出来るわ。」


「これからどうするんだ?俺はもう一度奴らと戦いに行くが。」


「止めといた方が良いわ。本当に勝ちたいなら仲間を集めなくちゃ。」


「確かにそれもそうだが、皆を危険から守らなければいけない。」


「あたいの仲間は必ず役に立つと思うわよ。勝てるか分からない戦いをするより、確実に勝てる戦いにするべきよ。」


「分かった。君の言う通りだな。君たちの仲間に合わせてくれ。」


「後悔はさせないわ。少し待ってて。」




ナタリーは携帯を取り出す。




ピロリロリロ


ピロリロリロ




「もしもし聞こえる?」


「うわぁ。本当に聞こえるぜ!」 「聞こえてるよ。」




「あたいたち今、暗殺教団のアジトの近くにいるのよ。」


「マジかよ!」「大丈夫だったのか?」




「やっぱり聖剣がないと彼らは倒せないわ。」


「聖剣?聖剣ってなんだ?」「ピザ。少し黙っててくれ。」




エドゥからナタリーに連絡する。




「今、聖剣の前にいるんだ。」


「凄い!もう手に入れた?」


「いや、まだというか、出来ないって言ったらいいか。」


「どういうこと?」


「剣に近づこうとしても出来ないんだ。」


「そんなことがあるの?」


「あぁ。」


「暗殺教団の一人がリビングデッドなの、だからあの長老が言ってた通り聖剣がないと倒せないわ。」


「ゾンビみたいなもんか…。分かった、聖剣はこっちに任してくれ。」


「頼んだわ。」




ピザファットが会話に入ってくる。




「なぁなぁ、俺っちの話も聞いてくれ。」


「あぁ。」


「あの、ジンって奴がいただろ?」


「あぁ、長老のところにいた。」


「そいつが裏切って長老と仲間を殺してたんだよ!」




「「何?」何ですって!?」




ピザファットの一言でオクタビアとマクシモヴィッチが反応した。




「今そいつは何所にいる?」


「分かんねぇ。俺っちが崖から落としちまったからな。」


「多分だけど、まだ生きているわね。」




「はいはい。皆いったん落ち着いて。」




ナタリーが話を元に戻す。




「戦力を集中させましょう。ピザファットに完成した鎧を渡さないといけないし。」


「まじか!早く欲しいぜ!」




「場所はピザファットのいる場所にしましょう。一番物資が揃ってるはずだし。」


「分かった。聖剣の件を何とかしたらすぐに向かう。」


「相棒、剣と件を掛けたな。」


「……黙ってろ。」




「それじゃあ。敵と遭遇したら出来るだけ戦わずに逃げる。そしてピザファットのところに集合!」




「「「「了解!」」」」




そして、それぞれが電話を切り、それぞれに出来ることを始めたのだった。

脳内設定㉓

マクシモヴィッチ=バビチェフ 種族ーダークエルフー

サルート名「Modern alchemist」

「一つの物質を異なる物質に変換する能力。性質を変化させることは出来るが、質量を変えることは出来ない。」


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