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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
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✟「三つ巴の戦い」2/4

ナタリーはダイヤモンドを手に乗せて重さを確認する。




「俺の超能力ってのは原子の種類を変化させるだけだ。重さは元のものと変わりゃしない。」




バッとナタリーは、体を起こす。


彼女の脳裏に衝撃が走った。




「性質はどうなの?」


「そっちは見せかけじゃない。ちゃんとしたダイヤモンドの性質だ。」




「じゃ、じゃあ!この土からアダマンチウムを作ることも出来る!?」


「あぁ、出来ると思うぞ。」




ガシッ




ナタリーはマクシモヴィッチの肩を掴んだ。




「凄いわ!つまり加工しないで、小さなアダマンチウムが出来る!」


「だが、珍しい金属に変換するにはそれなりの時間と体力がいるがね。」




パンッ




ナタリーは両手を合わせて彼に懇願する。


「お願い、これくらいの量が欲しいんだけど……。」




彼女は紙を取り出してマクシモヴィッチに渡した。




「こんなに必要なのか…。」


「えぇ、どれくらいで出来る?」


「4時間だ。それぐらいかかる。もちろんタダでとは言わないだろうな。」


「あたいの体が目当てなの?」


「ハハハ。面白い冗談だ。俺が欲しいのはそんなんじゃない。」


「なら何が欲しいの?お金?」


「違う。あれだ、あれ。」


「あれって?」


「あれはあれだよ。あの・・・あれ。」


「あれあれ言ったって、分かるわけないじゃない!」


「あの何か、飛び出す奴だよ。」


「これのこと?」




ナタリーは鞄から箱を取り出した。




ビヨヨーン




箱から蛇のおもちゃが飛び出す。




「違う違う。何か直角の奴だよ。」


「それじゃあ、これかな?」




ヒュンヒュン




ナタリーは鞄からブーメランを取り出し投げた。




「違う。あの化け物に向けてたやつだよ!」


「あぁ、銃のことね。」


「それだ、多分。」




ナタリーは今度は銃を取り出した。




「それだ。…それにしても良くそんな小さな鞄に色々入ってたな。」


「あぁ、これはウィザルマケイアに行ったとき、知り合った人に貰ったものなのよ。」


「ウィ?・・・まぁ何でもいいか。とにかくその・・」


「銃ね。」


「それの仕組みを教えてくれ。あいつらとやり合うにはもっと上手く能力をつかわないとだめだ。」


「分かったわ。じゃあ、契約成立ね。早速お願いできるかしら。」


「あぁ、その代わりしっかり約束は守ってもらうからな。」


「えぇ、もちろん。」




マクシモヴィッチは砂を握る。


砂が光始めた。






彼らの遥か上に残っているハーシュと宮本はこうしている間にも戦っていた。




「おかしい。そろそろ魂が出ても良い頃だが。」


「何を言っている。あの男は錬金術を使うのだろう?逃げようはいくらでもある。」


「それもそうかな。まぁ、問題ない。逃げようがこの森にいれば、いずれ死ぬ。」


「ほぉ、それはこれと関係があるのか?」




宮本はハーシュに虹色の果実を見せた。




「何、それをいったいどこで……。」


「お前が大事そうに懐に隠していたのが見えたからな、隙をみて盗んだのさ。」




ハーシュは懐をまさぐり、はっとする。




「いつの間に…。」


「今は亡き同胞からの情報によると、神樹はこの世界とは別にある、神々の世界のものらしい。その木に生る果実は神性を帯びていて口にしたものに力を及ぼすとか。彼は、それを利用し怪物を作り兵を増産していた。まぁ、邪魔され失敗に終わったが。」




宮本はジョルジュを思い出しながら語る。




「教会が"禁断の果実"と指定したものは6つ。"リンゴ"、"マルメロ"、"ブドウ"、"ザクロ"、"バナナ"、"イチジク"。我々が手に入れたものはリンゴとマルメロ。これらは同一の木から生ったらしい。そしてお前が持っているのはザクロの実だ。これらの違いは何だ。お前は何かを知っているのか?」


「さぁ。我らは"山の老人"以外の話に興味はない。それより気を付けた方が良いぞ。」


「…これは。」




ザクロの実から液が漏れ始める。


液が床に広がっていく。




シュー




嫌な音と共に、床が溶け辺りに異臭が立ち込めた。




「ふんっ。」




宮本はザクロの実をハーシュへと投げつけた。




「おっと。お気に召さなかったかな。」


「あぁ、どちらかというと柿の方が好ましい。」


「それは残念だ。」




宮本とハーシュは再び衝突する。




「もう止めだ。」




ハーシュが宮本の刀を受け止めた。




「何?どちらかが果てるまで勝負は終わらせない。」


「聞こえぬか。あの御方が目覚めようとしている。恐らくあと2つの高潔な魂で足りるだろう。」


「だからどうしたというんだ。」




宮本は刀を引き、ハーシュの手から刀を解放した。


そして、右手首を曲げハーシュの首を斜めから切り落とす。




「分からんか。お前のような強者を狙う必要はない。必要なのは2つの魂なのだ。魂は平等に取り扱われる。


つまり……。」


「弱い奴を狙った方が効率的だと。」




ハーシュが自らの首を繋げる。




「その通りだ。大人しく老人の糧になればよかったものを。」


「待て、戦わないならそれでも構わん。こちらが一方的に貴様を切り殺してやる。」


「お前はこの舞台にふさわしくない!!速やかに退場させてやる。」




ガガガガガガ




「しまっ!」




宮本の一瞬の隙をつき、ナタリーを連れ去った箱が口を開く。


そのまま箱は宮本を呑み込んだ。




「邪魔をするな!」




呑み込まれた宮本は箱を内側から切り刻む。




「やはり、危険な奴だ。」




ハーシュは上から箱を押さえつける。




「パンドラボックス!鍵を閉めろ!」




ガチャガチャガチャ、ガタッガタッ




箱から宮本の刀が飛び出した。


刀がハーシュに刺さり、押さえつける力が一瞬弱まった。


それによって箱が少し浮き上がり、鍵がかけられない。




「この大人しく退場せんか!」




ハーシュが思い切り刀を押し込める。


宮本は勢いに負け、箱に押し込まれた。




「閉めろ、パンドラボックス!!」




カチカチカチ、ガチャリ




パンドラボックスが鍵をかける。




「よし、こいつを外まで運んで来い。そしたらいよいよ儀式を執り行う。デズモンドに森を封鎖させろ。」




パンドラボックスは影に入り、移動した。






再び一人になったハーシュはザクロの実を眺めている。




「もういいだろう。充分時間は与えた。」


「100年前は多くの者が洗礼を受け、あと少しのところで邪魔が入った。」


「今回はたった3人だが、まぁいいだろう。楽園に入ってからでも数は増やせる。」




ブチュ




ハーシュはザクロの実を握りつぶした。


果汁が辺りへと広がっていく。




床が溶けていった。




「さぁ、今日いよいよ"山の老人"が復活を遂げる!さぁ世界を壊し、新しい世界を始めよう!」




果汁は暗殺教団の拠点を覆いつくす。


その場にいた生命は息絶え、死の世界が広がっていた。




「いいぞ!どんどん広がれ。」




果汁は山から下り、下の森へと広がっていく。




「おい、なんだアレ?」「嘘だろ、もう儀式が始まったのか?」


「そんな!俺はこれから洗礼を受けるんだぞ。」


「馬鹿野郎!早く逃げろ。」




暗殺者たちの足元に果汁が広がる。




「あぁあああ!!」




足についた果汁は瞬く間に全身に広がり、その体は溶かされていった。




「木に登れ!木々を伝っていけば助かるはずだ!」




生き残った者は木に登る。




「よし、これなら助かる。」


「待て、何か様子がおかしいぞ。」




果汁が手の形に代わり、空へと飛び出していった。


そのまま、空中で果汁は四散する。


雨のように果汁が降り注いだ。




「駄目だ!木の上はまずい。」


「どうすんだよ。地面にも広がってるんだぞ!」


「走れ!森を抜ければまだ助かるかもしれない!」




暗殺者たちは、迫りくる果汁から逃げながら出口に向かっていく。




「おい!ここにあった出口がねぇ!」


「嘘だろ。本気で俺たちを生贄にするつもりなのかよ!」




暗殺者たちの眼前に巨大な壁が立ちふさがっていた。


前方の壁、後ろからは果汁が迫りくる。




「この!絶対に許さねぇ!呪ってやる。この身は、お前達の楽園に蛇となり生まれ変わるだろう!」




壁には爪かなにかで引っ掻いた血の跡があり、足元にはタンパク質の海が広がっていた。




果汁は更に広がっていく。

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