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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
✟眠れる聖剣と神秘の森ー超大陸バンギア北西部最奥部「神秘の森 カティー二ャ」ー
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✟「腐った果実」2/4

(危なかった。オクタビアが能力者じゃなかったら今頃どうなっていたか。)


エドゥは立ち上がる。


彼の体内に入った毒は既に無毒化されていた。


なにやら気分が優れていくのを感じ、エドゥは奇妙に思っていたが、そんなことを考えられる余裕は無くなっていた。


エドゥの目に飛び込んだ光景が、それを許さなかったのだ。




「ナタリー!!上だ!!」




彼女の頭上に現れた影。


箱の形をした化け物が、ナタリーを呑み込んだのだ。




「あれは!」


「何か知っているのか?オクタビア!」


「話している時間はないわ、エドゥくん!鍵が閉まる前にナタリーちゃんを助けないと大変なことになるわよ!」




そういうとオクタビアはゴーレムを動かし、箱の化け物の口をこじ開けようとする。




「何か、まずいってことだけは分かった!」




エドゥもゴーレムと一緒に箱の口を開かせる。




「いいわ、開き始めた!ナタリーちゃん!隙間を作るからそこから出てきて!」


「わ、分かったわ!」




箱の中からナタリーの声が聞こえる。


エドゥとオクタビアによる超能力のおかげで、箱が開き始めた。




「まだ。もう少し。あとちょっと開かないと出てこれない。」


「く、もう少しか!」


「まずいわ!箱が閉まり始めてきたわ!」




箱が二人に対抗し、口を閉じ始めた。




ググググ




凄まじい力で口が閉まる。




「駄目だ!持たない!」


「何て力なの?ナタリーちゃん離れて!閉まるわ!」




エドゥとオクタビアが押し負ける。


箱はその口をしっかりと閉じた。




カチ、カチ、、、ガチャン。


鍵のかかる音がした。


箱が影に吸い込まれていく。




「こうなったら、箱ごと破壊する。」


エドゥが手を変化させる。




「無駄よ。あの箱は壊せないわ。」


オクタビアがエドゥの手を下げさせた。


「やってみなくちゃ分からない。」


「もし、出来たとして中にいるナタリーちゃんが無事で済むと思うの?」


「そ、それは…。」




遅かった。ナタリーを入れた箱が姿を消した。


エドゥが能力を解除する。




「くそ、どうすれば良いんだ‥‥‥。」


「ナタリーちゃんは、奴らのアジトに連れていかれたのよ。」


「じゃあ、今から奴らのとこに乗り込めば!」


「えぇ、でもそのためには聖剣がないとダメよ。」


「結局やることは変わらないのか。」




エドゥが地団駄を踏む。




(俺に力があればこんな状況にはならなかったのに!)




「エドゥくん、急ぎましょう。まだ、終わったわけじゃないわ。私の頼もしい仲間が暗殺教団を追ってるの、彼女のことは一先ず彼に任せましょう。」


「分かった。急ごう!」




エドゥはオクタビアの案内で、聖剣の場所へと向かっていくのであった。






一方、聖剣の秘密を知るダークエルフの男を追うAH社、クラブのメンバーたち。


ラルフ=ビョルケル、ハルトムート=バーケ、宮本 蒼士。


彼らはある違和感を感じていた。




「ん、おかしいですね。」


「どうした?何か動きでもあったか?」




ラルフが能力を発動する。




「奴らの動きをデータ化して閲覧しているんですが、大勢がある一点へと向かっているんですよ。」


「聖剣か……。」


「目が片方しか使えないので、細かくまでは見えませんが。」




ラルフが瞼に手を当て、悪態をつく。


そして、宮本が剣を腰に携えた。




「ラルフ、ハルトムート。万が一があってはいけない。お前達はその場所を調査してくれ。拙者は、引き続きあの男の行方を追う。」


「はい。」


「わかったわ。」




ラルフとハルトムートが動き出した。




「さて、今回はどのような猛者が現れるか。楽しみだ。」


宮本は笑う。


彼は自分の顔に手を当てる。




(笑っているのか。何年振りだろうか?ゾクゾクしている。拙者はこの場でこそ‥‥‥。)






「見つけたぞ!」「俺が一番乗りだ!」




聖剣の元へと向かうエドゥ達に暗殺者が次々と襲い掛かる。




「灼来風獣掌!」


「邪魔よ!」




炎の風とゴーレムが襲い掛かる暗殺者たちを次々と薙ぎ払う。




「エドゥくん!待って、誰かいる!」


しばらく歩いていると、オクタビアがエドゥを呼び止めた。




「シーラ、バレちゃった!」


「‥‥‥大丈夫、既に仕込み終わってるよ‥‥‥。」




双子の暗殺者が、エドゥ達の前に現れた。




「こんなところで、足止めされるわけにはいかない。戦わないで、突破する。」


「そんなこと出来るの?」




エドゥはオクタビアを抱える。




「あらあら、大胆ね。」




オクタビアは嬉々としてエドゥにしがみついた。




(気来風竜掌のエネルギーを利用してここから離脱する。ウィリー準備してくれ。)


(おぉ、いきなり話しかけないでくれ。びっくりするじゃないか。)


(時間がないんだ。急いでくれ。)




エドゥは竜の手の重さに耐える。




「気来風竜掌!!」




エドゥ達は、強力な風に飛ばされる。




「あら、逃げられちゃった。」


「…成功したね。おねぇちゃん。」




双子はハイタッチをする。




「えぇ、あれだけ吸い込んだなら後は能力の範囲内に彼を入れればいいだけ。」


「…次会ったら、即死だね。」


「そしたら二人で洗礼を受けよう!」


「…うん、二人で…永遠に生きるんだ…。」






「う、なんとか、撒けたか?」


エドゥとオクタビアは地面に不時着していた。




「それにしても凄い力だったわ。ますます惚れちゃいそう。」


「冗談はよしてくれ。先を急ごう。」




オクタビアに手を差し伸べる。


彼女は何かを言いたげな表情をしていたが、エドゥは気が付かないふりをした。






「なぁ、だれか・・・。いねぇのか?」


牢屋に閉じ込められていたピザファットは退屈していた。




「おーい、誰か暇なやついねぇの?」




返事がない。




「見張りいなくていいのか~?逃げちまうぜ~。」




やはり返事がない。




(俺っち、もしかして舐められてんじゃね?)




ピザファットは檻を蹴り始めた。




「おーい。本当ににげるぞ~!」




音は確実に響いている。


が、誰もピザファットの様子を見ようと来るものはいない。


まるで、自分以外がいない世界に連れてこられたかのように感じた。




「泣けるぜ。俺っちのカリスマはこの程度のものなのか‥‥‥。」




ピザファットはその場に寝て大の字になった。




「くそーーーー!とっとと、ここから出しやがれ!俺っちはこんなところで終わるような男じゃねぇぞ!」




その場で叫びに叫ぶ。


だが、状況は何も変わらなかった。




「おらっ!!」




柵を叩く。




「そりゃ!!」




今度は蹴る。




「よいしょっと!!」




その巨体から全身の力を放ち、柵にタックルをしていく。




バキッ




その重さに耐え切れなかったのか、遂に柵が壊れた。


ピザファットは牢屋から抜け出す。




(こんなに大きな音がしてんのに誰一人気にかけねぇってのはやっぱり異常だぜ。)




ピザファットはそろりそろりと歩き出す。




ぴちゃぴちゃ




液体が滴り落ちる音が聞こえる。




(なんだ?湧き水でもあんのか?)




音のする方向へ歩く。


彼の目の前には予想外の光景が広がっていた。




ぴちゃぴちゃ




滴り落ちたのは赤い水。


既に動かないものから流れ出ていた。




「おいおい、なんだこれ?どうなってんだよ?」




ピザファットは走った。


もうこっそり歩いている場合ではないと感じていた。


何かヤバいことがここで起こっているのだと、分かった。



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