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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
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❦+Another Story2「薄明光線」2/3

エドゥの予想通り、ジョルジュは起き上がった。


「この!野郎が!!」


乱れる髪を整え、破れた上着を捨て去る。


「よくも、よくも!」


トゲの鞭を持ち、エドゥ達の前に立つ。


そして、容赦なくエドゥに鞭を振った。




ズキ




一瞬だった。


トゲがエドゥの瞼を切る。


傷口から冷たい空気が入って、ピリピリとした痛みが彼を襲った。


「あぁぁああ!!」




「相棒!!!」


その時だった超高速移動の反動で、鎧が脱げたピザファットは激しい怒りを覚えた。


(こいつらのせいでエドガーやおばあちゃん、そして多くの仲間が死に、今相棒まで失われようとしている。俺っちにもっと力があれば。こんな悲劇、断ち切ってやる!!)


ピザファットの体に鎧が再び装着される。




「“大変身”」


鎧の手甲の部分に見たこともない文字が刻まれ、ピザファットの腕を締め付けた。


怒りで彼は気づいていないが、腕と鎧はくっつき始めていた。




「何?また無駄なことを始めるの?」


ピザファットはジョルジュの前に立ちふさがった。


「また、怪我するわよ!!」


鞭が振り回された。




ガシッ。




ピザファットは鞭を掴んだ。


「馬鹿ね♡引っ張れば、またあなたの手にトゲが刺さるじゃない!」


ジョルジュは鞭を引っ張った。


「へぇっ?」


しかし、鞭はびくとも動かなかった。


「こら!放しなさい!」


ジョルジュはもう片方の手から鞭を飛ばした。




ガシッ。




同じように鞭が掴まれた。


そのまま、ピザファットは物凄い力でジョルジュを引き寄せる。


そして。


「げほぉぉぉおおおおおおお!!!」


ジョルジュの腹に一発、拳を当てた。




エドゥは無事な方の目でその光景を見ていた。


(あれは本当にピザファットなのか?)


何か、人ならざる雰囲気が漂っている気がした。




ジョルジュはしばらく何が起こっているのか分からないといった感じだった。


直前に放ったサンドボックスツリーは粉々に破壊され、直で腹に一発もらってしまった。


(何て力なの?)


ジョルジュは何とか体を起こしていた。




一方ギランとエレアノーラの、互角の戦いも続いていた。


炎と氷、このままでは決着がつかないかと思われた。




「さぁ、お遊びはここまでにしましょうか。」


「あぁ!!!漸く体も温まってきたところだ!!」


(それに、向こうの方は俺が行かなくても良さそうだしな!!)




「顕現、火之迦具土神」


「ニブルヘイム」




氷の洞窟が崩れ落ちる。


空は太陽の光で輝く空と、暗闇に包まれた吹雪が吹き荒れる空に分かれていた。


「クラウ・ソラス」


「絶対零度」




ギランの手から激しい光が放たれる。


「一撃必殺!!!」


「氷鎧ひょうがい ーIAFー」




突如、ギランのクラウ・ソラスの刀身を覆う光が弱まる。


カチンと刀が飛んできた氷塊にぶつかる。


不敗の剣に綻びが生じた。




「これはまずいな・・。」


「終わりにしましょうか。」




ギランはレオの方を見る。


「レオ!!能力を解除して彼らを守れ!!!」


「でも・・・ギランさん・・・。」


「早くしろ!!お前が邪魔だと言っているんだ!!!」


ギランは心にもないことを言った。


「・・分かりました。すいません。」


レオは能力を解除する。




「さぁ、お望み通り終わりにしよう!!!!」


ギランの体温は過去最高に高まっていた。


金色のその髪は太陽に照らされ。


真っ白だった服は血で真っ赤に染まっていた。




「サルンガ」


ギランは弓を手にした。




レオはエドゥとピザファットのところに行く。


「ギランさんの指示です。」


そういうとレオは2人を結界の中に入れた。


「おい、あれ見ろ!」


ピザファットが空を指さした。




この惑星の恒星は一つだった。


それは何日も滞在していてエドゥはよく知っていた。


だが、目の前の空には10個の恒星が輝いているではないか。




ギランは弓を引いた。




「おいおい!ここにいて大丈夫なんだろうな!!」


ピザファットはわめきちらしていた。


「分かりませんが、ギランさんを信じましょう!」




光の矢が星をつらぬいた。


地上に炎の塊が落ち始めた。


エレアノーラとジョルジュはその衝撃で吹き飛ばされる。


そして地表の雪が蒸発し、あたりに霧が出た。




 「まずいわ・・」


ジョルジュは残っていた果実をその手にとる。


(一か八かってところね。)


その果実を口に含んだ。




「うぅ、アァアアア」


グチャ。


ジョルジュの腹の中から木が生え始めた。


「うぅうううぅう」


ジョルジュの体はその木の中に埋もれる。


もはやその体は原型を留めていなかった。




木はさらに成長をとげ、大きな人の形をとっていた。


肩に当たる部分から次々と果実が生り、地面に落ちていく。


その地面からまた木が生えてきていた。




あたりに異臭が放たれる。


「おぇ、なんだありゃ。」


ジョルジュとの距離が離れているにも関わらず、エドゥ達の鼻がズキズキするほど強烈なにおいだった。


その木はジョルジュの意志があるかのように、歩き始めた。




炎の塊がジョルジュに直撃する。


「アァアアアア」


「邪魔はさせない!!」


燃え盛る部分をエレアノーラの氷が冷やす。




「射程距離に入ったわ。」


エレアノーラがギランの妨害に入る。


グサッ。


ギランの心臓に刃が突き刺された。


(弓が!!!)


ギランの弓が凍らされた。




そしてギランの動きが止まる。


「最期だから教えてあげるわ。」


エレアノーラがギランに語りかけた。


「この絶対零度の圏内に入ったら、どんな能力も発動できないの。」


ギランは試しに手に力を入れてみる。


彼女の言う通り、何も起きなかった。


ギランの心臓が凍る感触がする。


(あぁ、とうとう死ぬのか。)


ギランは死を覚悟した。




「ゆっくりと眠りなさい。」


エレアノーラが刃を押し込む。


ギランはやがて息を引き取った。




その16年の生涯は決して楽しいものとは言えなかっただろう。


だが、今日というその最後の日にギランはたった一人のヒーローになれたのだ。


思い残すことはない。


後は皆が無事に生きられたら。




「!?」


それは一瞬の灯火のような小さな炎だった。


ギランはエレアノーラを振り切り、最後の矢を放った。


それは空高く上がる。


「この!!、、、死んでる。」


ギランは石のようにその場から二度と動かなかった。




空が赤く輝いた。


最後の炎の塊が地上へと降り注ぐ。


「うぉぉおおおお」


ジョルジュの体にそれらが直撃する。


巨大な樹木が地面に倒れた。


振動がエドゥ達に伝わってきた。




エドゥ達は何が起きているのか分からなかった。


当然ギランが死んでいることも知らなかった。


ただ一人を除いて。




エドゥの前には既にギランの魂がやってきていた。


「そんな、まさか・・。」


「すまない、レオにも後で謝っといてくれ。」


「・・・分かった。何かしてほしいことはないか?」


「そうだな、この力をどうか正しいことに使ってくれ。」


ギランの魂がエドゥの中に入っていった。

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