❦+Another Story2「薄明光線」1/3
Angel stairs
薄氷の女神と彼女が人々から呼ばれるようになってどのくらいが経っただろう。
ある都市が彼女一人のせいで氷漬けとなった。
その都市は分厚い氷の壁に覆われ、太陽の光が全く届かず。
そこに住んでいた人々は全員もれなく、凍結されていたという。
教会からの使者はこの都市に入ることも出来ずに立ち往生していた。
指名手配にされてから彼女の姿を見たものはいなかった。
それが今この場に姿を現した。
「生きて返さないから。」
冷ややかな声があたりに響く。
「おいおい、何かやばそうなのが出てきたぜ。」
エドゥはその言葉に頷いた。
先程の植物使いとは遥かに雰囲気が違う。
異様な何かが漂っている感じがした。
エレアノーラが息を吹きかける。
「まずい!!全員俺の後ろに来い!!!」
ギランがトーチを取り出した。
2人は慌てて走る。
雪が一瞬で降り積もった。
緑だった庭園が白一色に染まる。出入口は完全に封鎖された。
「火炎撃 鳳凰」
炎の鳥がギラン達4人を包み込む。
「まずいな・・・。二手に分かれて戦うか?」
「あの雪女を何とかしなければ、まともに戦えないぞ。」
「僕とギランさんがあの雪女を相手にするのはどうでしょうか。」
「レオ、ただでさえ立ってるのがやっとなのに、ダメだ。」
「ギランさん!!僕も役に立ちたいんです!!お願いします!!」
ギランは少し考える。
「分かった!!その代わり絶対に無理をするなよ!!」
雪が降り続ける中、炎の鳥がエレアノーラの方に飛び出した。
「小癪な!」
空気中の水分が凍り、剣の形をとる。
そのまま鳥を真っ二つにしようと、振り下ろされた。
「レオ!!」
氷の剣を受け止めると、隙を狙っていたレオが横から飛び出した。
(一瞬だけでいい!この人の力になるんだ・・・。)
「くらえー!!!」
エレアノーラ、ギラン、レオの3人を結界が包み込んだ。
「これは!?」
エレアノーラの視界からギランとレオ以外の存在が見えなくなった。
「どうやら、向こうは成功したみたいだな!相棒!」
「あぁ、これでだいぶ楽になった。」
エドゥ達の会話を聞き、目の前にいるジョルジュは眉間に皺を寄せた。
「あら、エレアノーラの強さを見抜いたのは褒めてあげる♡、でも私を坊やたち二人でどうこう出来ると思う?」
「いけるぜ!相棒!あの炎の兄ちゃんが来るまで持たせることが出来れば!」
「あぁ、俺たちは時間稼ぎさえできればそれでいい!」
「ホホホホ!」
ジョルジュは高らかに笑った。
「忘れてないかしら?坊やたちに植え付けた種がまだ残っていることを。」
エドゥ達は自身の体を見回す。
確かにジョルジュの言った通り、再び芽が出始めていた。
「こんなもの!」
ピザファットが芽を引っ張る。
「イテテテテ!!」
「無駄よ。その樹は神経とか色々なものにくっつくんだから。」
「相棒!こいつは俺っち達で何とかしないといけなさそうだ!」
「ピザファット、鎧の傷は大丈夫か?」
「大丈夫だ、中まで食い込んでいたけどよ、トゲは抜いたし、傷は完治だ!」
「よし、ハイパーループはここぞってときに使ってくれよ。」
「あぁ、分かってるって。」
ジョルジュが背伸びをする。
「あら、相談はもういいのかしら?」
「お前なんか俺っち一人で大丈夫だっつぅーの!」
「マジか、じゃあ俺は向こうに行くか。」
「だが!!相棒にも見せ場が必要だ。というわけで2人でお前と戦うことにしよう!」
「あの暑苦しい坊やじゃなければ誰がかかってきても一緒よ♡」
「相棒!決め台詞だ!」
「決め台詞?」
「何か、カッコいいセリフを、どうぞ!」
エドゥは深呼吸をする。
「さぁ、お前の罪を・・・」
「パクリだな。0点」
「・・・。」
「次までにイイ台詞考えろよ!」
ピザファットがジョルジュ目掛けて走った。
「あぁ、クソ!」
エドゥが続いて駆けだした。
二人でジョルジュを挟む形で攻撃をする。
「ヒマラヤン・ブラックベリー」
ジョルジュの手から再びトゲ付きの茎が飛び出した。
彼はそれを鞭のようにしならせて向かってくるエドゥ達を牽制する。
「相棒!何か良い手はないのか?」
「近づけないと、必殺技が打てない!」
一方結界の中にいるエレアノーラとギランも激戦を繰り広げていた。
「スノードーム」
降り積もった雪が彼らを包み、洞窟を作る。
ギランの炎が中を照らしていた。
「レーヴァテイン」
炎の大剣が振り下ろされた。
エレアノーラも氷の大剣を振り降ろす。
氷と炎がぶつかりあった。
互いに砕け散る。
二人の実力は拮抗しているようだった。
「スノーマン」
今度は大型の雪だるまが作り上げられていく。
「灼熱連打!!」
炎のトーチが倒れてくる雪だるまを右左と交互に殴打する。
「どんどんいくぞ!!!」
ギランの熱が上がっていく。
天井に出来たつららが落ちる。
「ギランさん!上!」
「よっと!大車輪!」
つららをはじき溶かしていくギラン。
エレアノーラの追撃が続く。
(うん、全然温まらない。長期戦になると厄介だな。)
ギランは自らの体に炎をともらせる。
「ほらほらどうした!!かかってこないのか!!」
「ほらほら、どうしたのかかってこないの?」
ジョルジュは鋭い鞭を振り回していた。
「この野郎!」
ピザファットが鞭を掴もうとする。
「ほい♡」
ジョルジュは瞬間的に鞭の速度を上げる。
ピザファットの腕の装甲をスパっと切り、トゲは彼の腕の血管まで侵入した。
「いってー!!」
すぐに怪我をした部分を手で押さえる。
「どうすりゃいいんだよ・・・。」
ピザファットは言葉を吐き捨てるように言った。
「辛いでしょ。楽にしてあげるわ♡」
ジョルジュの肩から枝が広がる。
そこからラッパのような花が下向きに咲き出した。
「エンジェル・トランペット」
「何だ?ありゃ?」
「分からん。だけど、まずそうなことは分かる。」
ファ―ン、と音が鳴る。
一瞬、キラキラとした塵が見えたような気がした。
「気来風獣掌!!」
風でその粉を吹き飛ばす。
それはエドゥ達の生存本能だった。
「相棒、奴に重力を掛ける。」
ピザファットは機械を取り出し、1番のボタンを押す。
ーProjection Gravity Falls-
画面に、上記の文字が現れた。
ピザファットの鎧にデザインが浮かび上がる。
「いくぜ!相棒!」
「あぁ!」
ジョルジュは花の攻撃が無意味だと悟ると直ぐに次の攻撃を考える。
「ん!?」
だが、エドゥ達が先手をとった。
ピザファットの鎧の力で、ジョルジュは動くことが出来ない。
エドゥは重りを外した。
空高く飛び、右手を龍の手に変化させた。
ピザファットも同時に超高速機能を作動させる。
「ハイパーループ」
重力場の中に二人が入った。
「くっ!!こんなので負けるわけには・・・!!」
ジョルジュが足を上げようともがく。
「逃がすな!!」
超高速でピザファットはジョルジュの顔を向けて蹴りを入れる。
エドゥは落下し、必殺技の構えをとる。
「おりゃあああああ」
「気来風竜掌!!!」
「ぬぉおおおおおお!!!!」
ジョルジュは体に木を植える。
「サンドボックス・ツリー!」
激しい音が鳴り響き、種子が飛ぶ。
その鋭い種子はピザファットの足、エドゥの手に刺さる。
だが、二人はそのまま攻撃をジョルジュにあてた。
ジョルジュが吹き飛ぶ。
「やったか!!」
「最後の抵抗のせいで、威力を完全に乗せられなかった!!多分起き上がるぞ・・。」




