❦+Another Story2「太陽は月を照らす」4/4
「レオ、レオ!」
必死に呼びかけた。
レオの目が静かに開く。
「大丈夫か?」
「う、俺は?」
「何があったか覚えているか?」
「何かを食わされて、怪物になってそれで、、、死んだはずじゃ。」
「体を今朝の状態に戻したんだ。何か体に違和感はないか?」
「何だろう。強い力が内側から溢れている感じがします。」
「!?手遅れだったか。」
ギランが警戒を強めた。
「いや、怪物のような力じゃないんです。こう、死んだ瞬間に大きな手で包まれたような感じがして・・。暖かい力が溢れているような感じ何です。」
ギランはレオの言っていることがよく分からなかった。
死んだ瞬間に力を手に入れたのなら今朝の時点ではその力を手に入れているはずがない。
(何かの手違いがあったのか?それとも口では説明できないことがおこったのか?)
色々考えて見たが、結論が出なかった。
(でも、とりあえず。大丈夫そうで良かった。)
ギランはレオを見る。
先程までの苦しそうな状態に比べ、今はかなり穏やかな表情をしていた。
それだけでとても嬉しい気持ちがこみあげてきた。
「ギラン、ありがとう。あなたのおかげで僕はとても救われた。」
レオの放ったその言葉はギランの胸の奥深くまで届いた。
炎を操る能力でいつもギランは失敗を繰り返してきた。
守るべきものすら焼き尽くすそれのせいで、人々は彼に憎悪や恐怖の目を向けていた。
だが今度は違う。
ようやく彼は自らのその能力で守るべきものを守り通したのだ。
今彼に向けられているのは感謝だ。
ギランの目から涙がポロポロとこぼれた。
あぁ、自分は少なくとも今この瞬間、ヒーローになれたのだ。
その頃、エドゥとピザファットは施設の奥へと進んでいた。
「相棒、何か薄暗いな。」
「あぁ。」
二人が話していると、目の前から光が差し込んでくる。
光の方向へ進んだ。
すると、開けた外へと出てきたのだ。
「ここは、森か?」
中央に巨大な木があり、その周りを小さな木で囲んでいるのがよくわかる。
「この木に生った果実、間違いない。記憶に出てきた怪物を作るものだ。」
「ってことは、もしかして本丸か?」
「そうかもしれない。気を付けて進まないとな。」
2人が話していると、声が響いてきた。
「どこのおバカちゃんかしら。あたしたちの庭園に紛れ込んだのは♡」
二人は警戒し、辺りを見回した。
「下だ!」
エドゥの声と共に地面から鋭い木の根が飛び出す。
エドゥは華麗に避ける。
「ピザファット、行くぞ!!」
声を掛けるが、返事が返ってこなかった。
ピザファットの方を振り返る。
彼は串刺しになり、宙に浮いていた。
エドゥはため息をつきながら根を外し、ピザファットを地面に降ろす。
「おーい、大丈夫か?」
「すまねぇ、ちょっと待ってくれ。」
ピザファットの傷の修復が始まる。
エドゥはその様子を見て、少し違和感を感じた。
(こんなに時間がかかってたか?)
ピザファットの傷が完全に治ったのを見ると、エドゥは手を伸ばした。
「大丈夫か?」
「え、何が?」
「いや、何でもない。」
(気のせいだったか?まぁ、治ってるんだから問題ないか・・・。)
気を取り直して、周囲を警戒する。
「これ以上この場にいると、痛い目見るわよ♡」
声が近くに迫ってくるのが感じ取れた。
「おうおう!来るなら来いってんだ!隠れてないで出てこい!」
ピザファットが叫ぶ。
「ふー分かったわ♡」
木の陰から声の主が姿を現した。
(女・・・いや声の様子だと男か?)
目の前に現れたのは記憶に出てきた今回の騒動の主犯格の一人。
AH社♣の9、ジョルジュ=ボンランピ。其の人であった。
2人が構えていると、ジョルジュは後ろを向き去ろうとする。
「待て!」
エドゥが追いかけようとしたその時だった。
にょきにょきと皮膚から芽が生え始めた。
「これは!?この技は!?」
ピザファットとエドゥは既にこの状況を見たことがある。
ここに来る前、ある島で。
決して分かり合えたわけではない、分かり合う前になくした同胞。
その同胞に生えていた植物。
「お前が!!!エドガーを!!」
ピザファットが激昂した。
いつもの様子とはかなり違った。
「あまり暴れない方が良いわよ♡、その木は生命力を吸って成長するの、活きが良い子からすぐに死んでいくわよ。もっとも、何もしなくても死ぬけどね。」
ピザファットにもエドゥと同じように皮膚から発芽していた。
だが、ピザファットはお構いなしに前進する。
エドゥは彼が恨み骨髄に撤するのは無理からぬことだと理解している。
しかし、無策で突っ込むのが得策でないこともまた知っていた。
必死になって彼に言葉を投げかけようとするが芽が声帯を圧迫し上手く発声が出来ぬ。
もう自分には固唾を呑んで見守ることしか出来ないのか。
そう思っていた。
ピザファットは鎧を装着する。
「変身」
そして、ジョルジュの顔目掛けて渾身の力を込めた一撃を放った。
だが、その攻撃は当たることはなかった。
ジョルジュの手から伸びたブラックベリーの茎につけられた、サメの歯のように伸びる長いトゲが彼を押し戻したのである。
鎧に深い傷がついた。
「このままでもあなた達は自滅するけど、ガーブリエ-ンを倒した子たちだものね、油断は出来ないわ♡」
ジョルジュの体から次々とトゲ付きの茎が生えてきて辺りを包み始めた。
エドゥ達は逃げ場を失う。
(くそ、何とかしないと・・。)
エドゥが前に一歩踏み出そうとする。
次の瞬間。
エドゥは前へと進めず、こけそうになった。
何とか体勢を立て直し、元の位置に戻る。
理由は足元を見れば一目瞭然だった。
片足に根付いていた芽が地面へとその根を伸ばしていたのだ。
足を地面にくっつけられ身動きが取れない。
「ピザファット、少し冷静になれ!一人で戦うな!」
ピザファットはジョルジュ目掛けて一直線に向かっていく。
鎧にトゲが食い込み、中のピザファットの体を傷つけていた。
「火炎撃 鳳凰」
ゴォォと木が一瞬のうちに燃え上がった。
延焼し、周りを囲んでいたブラックベリーの茎が灰になる。
「これは!あの子ね♡」
ジョルジュが燃え盛る炎の先から近づいてくる影を見つめる。
炎が引き、ギランとレオの姿が現れた。
「お前らの企みもここまでだ!!」
「次から次へと・・・!今日はお客様が多いわね。」
(良かった!炎の能力なら植物を使うあいつは不利だ!何とかなるぞ!)
エドゥは足に張り付いた根に何とか火を近づけて、外した。
この時、既にエドゥやピザファットの体に根付いた芽は成長し、大きな幹が体から生命力を吸っていた。
(早く、倒さないと・・・。)
エドゥは膝をついているピザファットの元へと向かった。
「ピザファット、ギランと協力してあいつを倒そう!立てるか?」
「あぁ、わりぃ。ちょっと冷静さが旅行に行ってたぜ。」
「あぁ、いつもの面白くない感じの方がお前らしい。」
「っておい!」
こちらは2人と2人、合計4人。
対するはジョルジュ一人。
エドゥ達が圧倒的有利な状態だった。
「何してるの?」
突然、冷ややかな風が吹く。
そこに現れたのはエレアノーラ=ネイサンだった。
炎によって感じていた熱さが一転し、真冬のような寒さが訪れる。
「マジかよ。」
ピザファットの声がうまく入らないぐらいエドゥに緊張感が走っていた。
脳内設定その⑲
ガーブリエ-ン=クシュシュ 種族ー妖精ー(退場済み)
カース名「Holodomor」
「口に入れたあらゆる物をエネルギーに変換する能力。強力な呪いにより彼女はワームへとその身を変質させた。」




