❦+Another Story2「太陽は月を照らす」2/4
教会の一室にエドゥが入った。
「話を始める前に一ついいですか?」
エドゥはマーリンにガーブリエーンの願いを伝える。
「エドゥ、申し訳ないけど僕にそこまで出来る力はないんだ。それは直接天使たちに伝えないといけない。だけど、一時的に彼女を弔ってあげることなら喜んで協力しよう。」
エドゥは回収された死体を火葬する。
遺骨を教会の安置所に預け、合掌した。
「それじゃあ、話を始めよう。」
エドゥ、ピザファット、ギラン、グイド、カロリーナ、ポテチ、マーリンの7人の能力者が今後の動きを確認する。
「街を襲った襲撃者の名前はガーブリエ-ン=クシュシュ、彼女は命令を受けて人々を攫っていたと見える。」
「その名前、最近聞いたことがあるネ。AH社とかいう勢力の♢の2番ネ。」
ポテチが教会の資料をとって説明する。
「また、あいつらかよ!」
ピザファットが資料を睨んだ。
「知ってるの?」
グイドが、珍しく食い気味に質問をする。
「一応な。俺っちたちの因縁の相手だぜ。」
エドゥが首を縦に振る。
「話を元に戻そう。彼女に攫われた人々の居場所についてだ。」
その場にいる全員がエドゥの言葉に耳を傾ける。
「すまないが、具体的な場所までは特定できなかった。」
「過去が見えるんじゃないの?」
カロリーナの純粋な眼差しが刺さる。
「もっと正確に言うと分かるけど、分からないんだ。」
「どういうことだ??もっとはっきりと言ってくれ!」
ギランがエドゥを揺らす。
「彼女の協力者が、地下みたいな場所で皆に果物を注入しているのが見えたんだ。だけど、そこにたどり着くまでに彼女は地面を掘って進んでいた。」
「なるほど、それじゃあ掘られた穴を進んでいけば。」
「攫われた皆を助けられるかもしれない!!」
「分かった!教会みんなの力も借りましょう!」
教会の信徒たちが集められ、先ほどの説明がされた。
「穴の入り口を見つけたら、必ず発煙弾で知らせて。穴の奥に何が潜んでいるか分からないから!」
「能力を持つ者を必ずよぶヨロシ。」
「よし!一刻も早く問題を解決しよう!」
おぉ!!!と全員が気合いを入れた。
教会の扉が開いた。
四方八方へと皆が走り出す。
「よし、僕たちも行こう!」
「おっしゃ!行くぜ。相棒!」
「俺はあっちを探す!!」
「じゃあ僕はあっちだ。おじさんを必ず救ってみせる。」
エドゥ、ピザファット、ギラン、グイドが走っていった。
「よし、うちらもはりきってやろう!」
それに続こうとするカロリーナだったが、ポテチがそれを止める。
「待つネ。どうやらお客様みたいヨ。」
ポテチが空を指さした。
その先には蜂型の怪人がいるのが見えた。
一瞬蜂怪人の腹が光る。
「皆!伏せて!!」
カロリーナの警告が遅すぎた。
毒針が信徒たちに突き刺さる。
「マーリンに直してもらわないと・・・。」
カロリーナとポテチはマーリンを探す。
そのころマーリンはライオンの怪人に襲われていた。
「うーん。この姿じゃ、力不足かな。」
マーリンは姿を変え、マルスになり、突進してくるライオン怪人と取っ組み合いをする。
「さぁさぁ、もっと全力で来い!」
空に煙が上がる。
煙の数は4つだった。
「ピザファット、向こうの入り口に行ってくれ、僕はこっちに行く。」
「分かった、だけどよ。気を付けろよ!」
「お前こそ!」
同じころ、ギランとグイドも煙の方に向かっていた。
(レオ、無事でいてくれ。)
(おじさん、今行くよ。)
エドゥは穴の入り口に辿り着いた。
「よし、入るぞ。」
エドゥは穴に飛び込む。
穴は想像以上に深く、滑るように落ちる。
長い穴からようやく出ると、ガーブリエ-ンの記憶にあった施設らしき場所に辿り着いていた。
「おぉ、相棒!無事だったか!」
「ピザ、お前も無事だったんだな。他の皆は?」
「あぁ、それがまだ誰にも会っていないんだ。」
「仕方ない。俺たちだけで皆を助けよう。」
「マジかよ・・・。他の奴来るまで待った方が良いんじゃねぇか?」
「駄目だ。早く助けないと。怪物になってからじゃ遅い。」
エドゥとピザファットは先へと進んでいった。
一方ギランも穴へと入っていった。
穴の先はエドゥ達と同じ施設へと繋がっていた。
しかし、場所までは同じではなかった。かなり開けた場所だ。
ギランは炎の能力を使い、周りを照らす。
「誰だ!!!」
炎に照らされる一つの影。
それはギランの問答に答えることなく奥へと進んでいった。
「待て!!」
ギランはそれを追いかける。
それに追い付き、肩を掴んだ。
それはゆっくりと振り返り、ギランを睨む。
「どうしたのかな。そんなに切羽詰まったような声を出して。」
ギランは手を離す。
(何だ、この感じ・・・。どこかで・・・。)
ギランは頭を抑える。
「どこかが痛むのかね。」
声の主がギランへと手をのばす。
(まさか、そんなはずはない・・・!あいつがここにいるはず・・・・)
ギランの脳裏に浮かぶのは過去の記憶。
燃え盛る村々、浴びせられる罵倒の数々。
そして、極めつきは産みの親からの台詞。
「あんたなんか生まなければよかった。」
(違う。俺がなりたかったのはそういうものじゃないんだ。)
ギランは男の手を払う。
「いや、何でもないんです。すいません。雰囲気が似ていたもので。失礼、先を急ぐので。」
ギランは男から離れようとした。
(顔の形も全然違うじゃないか。あいつは捕まったんだ。ここにいるはずがない。)
平静さを取り戻そうと足早にその場から離れようとする。
「ヒーローにはなれたかい?」
ギランの足が止まる。
(今何といった?)
「何故、それを知っている!!」
「君がまだ若かった頃、まだ脆弱な子供だったころ、いつも私に喜々として語っていたじゃないか。」
「まさかとは思ったが、お前だったのか!!!」
ギランが炎のトーチを握り、男に向かっていく。
「おいおい、そんな邪険にするなよ。力を与えてやったじゃないか。」
「大車輪!!」
男は振られたトーチをすんでのところで避けていく。
ギランは平常心を失い、いつもより荒く攻撃をしていた。
「ふん!」
男が隙をつきトーチを握る。
「バカな!熱くないのか!」
トーチがもの凄い勢いで引っ張られる。
その勢いに負け、ギランは男に引き寄せられた。
「そりゃ。」
男は手刀をギランの手目掛けて切る。
ギランはそれを避けなかった。
その機会を待っていたかのように、掴まれていない方のトーチを男目掛けて振る。
スパ
それほど強い力は入ってこなかった。ただ手で触られたくらいのものだった。
しかし、ギランの腕はいとも簡単にもぎり取られていたのだ。
腕を失い、バランスを崩す。
男目掛けて振ったトーチも当然届かなかった。
ギランは地面に倒れてしまう。
「お前、まさか能力者か・・・!!!!」
「つれないじゃないか。昔のようにエドワール先生とよんでくれても構わないよ。」
エドワールがもぎ取ったギランの腕をこねて丸める。
「何が、先生だ!!この悪魔め!!!どれほどの人々を実験と称し殺したのか忘れたとは言わせん!」
エドワールは大きくため息をつく。
「全く、どいつもこいつも・・・。私の崇高な理念を理解しようともしないで。」
エドワールが熱く力説を始めた。
「そもそもだ。君たち市民の生活があるのは我々の実験もとい科学のおかげだろう?科学は犠牲の上で成り立っている。むしろ、生産性のないお前たちを人々を支える存在にしてやるだけ感謝されるべきだと私は思うがね。」
「黙れ。」
「君はその中でも生き残った逸材だよ。誇りに思い、私にその検体を差し出すと良い。」
「破局噴火!!!!」
ギランは地面を叩き、エドワールの足元から火柱を立てた。
すぐさま距離をとり体勢を立て直した。
片手でトーチを握る。
「全く、ひどいことをする。」
火柱からエドワールが姿を現す。
その皮膚はひび割れ、ぽろぽろと崩れ落ちていた。
(いける!このまま熱し続ければ!)
ギランの体がどんどん燃えていく。
エドワールの亀裂がどんどん大きくなっていく。
「これは一旦退散するか・・・・。」
エドワールがギランに背を向ける。




