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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
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序章「教会VSAH社」4/4

大きな青い鬼、仮面をした女性、蝶の羽のような服を着た女、白く顔を染めたピエロの姿が確認された。




教会で様子を見ていた天使たちに動揺が走った。


「バカな!全員指名手配した能力者たちだぞ!」


「指名手配犯たちが徒党を組んだということか?」




ドラゴンがそれぞれの前に降り立った。


鋭い爪が鬼を引き裂いていく。


「何と!?」


鬼がそのまま地面に倒れていく。


すかさずドラゴンが炎を吐き、鬼の体を灰に変えていく。




「痴れ者め、妾に触れられると思うな!」


仮面の女性がドラゴンの巨体を蹴り上げる。


しかし、ドラゴンは意に介さず前足を上げた。


そして、そのまま上げた足を下ろし、仮面の女性を踏みつける。


その重さに耐え切れず、彼女の体は飛び散っていった。




「そんな、二人も倒されるなど、ありえない!」


ピエロの白い顔が青くなっていた。


ピエロは懐に持っていたナイフをドラゴンに刺そうとしている。


だが、ドラゴンは攻撃を避け、炎を吐きピエロの顔を黒ずみに染め上げた。




「ゆらりゆらり」




この映像を見ていた天使たちの反応は様々であった。


「何だ。全然大したことないな。」


ある者は、教会の絶対的な力を再確認する。


また、ある者はあまりにも簡単にやられたので何か裏があるのではと疑っていた。


「本当に倒せたと思っているのか?」


「映像を見ただろ?それが全てだろう。」


「指名手配までした能力者だぞ。ドラゴン程度で倒せたと思う方がおかしい。」


「どうせ、噂が大きく盛られて伝わったとかその程度だろ。」


口論は激しくなっていった。




「ゆらりゆらり」




蝶が舞う。




「ゆらりゆらり」




「この野郎!前から気に入らなかったんだよ!細かいことばかりぐちぐちと!」


「何だと!お前だって、大雑把すぎるんだよ。」


いつの間にか言い争っていた天使たちの手に武器が握られていた。




「ゆらりゆらり」




「死ね!」


「こっちのセリフだ!」


天使たちが互いを殺そうとしている。




「ア”ク”シ”オ”ン”」


一人の天使が剣を握り振り下ろした。




物凄い風圧が辺りを襲った。


風が止むと、何かが床に散らばっているのが見える。


よく見るとそれは蝶の死骸であった。




「ご”ほ”」


剣を振り下ろした天使の体に切り傷が出来る。




「何だ?何が起きている?」


「力天使様に傷が!」


周囲に動揺が走っていた。




「ッハ!どうやら、向こう側に上手いことやられたみたいだね。」


地上の様子を見る。




ドラゴンは一人も倒してなどいなかった。


それどころか、逆に一方的に殺されていた。




「ホレホレ、早く逃げんと切り刻まれてしまうぞ。」


「さぁ、妾のためにその命をささげるのじゃ。」


「ほっ、やっ。それぃ!」


「ゆらりゆらり」




 教皇に、天使たちが助言をする。


「教皇殿、もはや選択の余地はありませんよ。我々が出なければならない状況にあります。」


「それにこのままでは教会の権威が脅かされます。」


「分かった。レックス、ピルグリム、リヌは敵の制圧。残ったものは教会の防御に徹してくれ。」


ようやく教会から天使が派遣される運びとなった。




3人の天使がこの地に降り立った。


「よ”し”!”行”く”ぞ”!”」


「ッハ!ようやくですね。」


「精一杯頑張ります!」




隠れていた歩兵機械兵が姿を現し、発砲を始めた。


しかし機械の攻撃など天使には通用しなかった。


そのまま3人は、敵の本部へと向かっていく。




道中、輸送機械兵や戦車機械兵の妨害があったが天使たちはものともせず進行していた。




遂に教会とAH社の主力が顔を合わせた。


「私”は”力”天”使”!”レ”ッ”ク”ス”=”ネ”ー”ロ”」


力天使が名乗りを上げる。




「あのー!大人しく投降、、、しませんよね、、、。」


おどおどとした天使が次に声を掛けていく。




高射機械兵がレーザーを放った。


おどおどした天使が盾を構える。


高威力のレーザーを軽々と防ぎきる。




すかさず力天使が剣を構え、薙ぎ払った。


高射機械兵を守る鉄の壁が彼の目の前に立ちふさがる。


スパっと分厚い鉄の壁が分断された。


そのまま勢いよく高射機械兵は真っ二つになる。




「ッハ!面倒事はとっとと終わらせますか。」


3人の天使は機械兵を片づけ、本部の入り口に待つ4人の前へと降り立った。




「く”ら”え”!”」


天使がそれぞれの標的を見定め近づいていく。


その時、眩い光によって天使たちが包まれていった。




光が弱まり、辺りが確認できるようになる。


すると、3人の天使は先程とは違う場所にいるのに気付いた。




力天使は河原にいた。


「ほぉ、儂の相手はお主か!さぁ、存分に戦い合おうぞ!」


力天使の前には大きな青鬼が立っていた。




「ッハ!俺の相手はピエロか。」


「ハッハ―!ようこそ私のSHOWへ!お名前を伺ってもよろしいですか?」


「ッハ!名前など貴様に教える義理はないが、一応、能天使とだけ伝えておこう。」


能天使は、サーカスの舞台に立っていた。




「うぅ、ここはどこでしょうか。」


最後の天使は薄暗い部屋に来ていた。


「なんじゃ、一番弱そうな天使が来たものじゃの。」


仮面の女性がそこにはいた。




地上を見ていた教会は、3人の天使を見失った。


「これで本当に良かったんだろうか。」


ジークリードがため息をついていた。


「大丈夫です。彼らの力を信じましょう。」


ミラがジークリードを気遣う。




青鬼は大きく笑うと、天使に話かけた。


「お主。レックス=ネーロといったかのぉ。」


「そ”の”通”り”だ”。”神”の”見”え”ざ”る”手”。”教”会”の”力”天”使”だ”。”」


力天使、天使のヒエラルキーにおいて第五位に数えられる天使。その名は高潔、美徳を意味する。


「ふむ。儂も自己紹介せねばなるまい。♠のQ、アーダ=フェランド、クイーンといっても女性ではないぞ。」


「フ”ェ”ラ”ン”ド”!”早”め”に”決”着”を”つ”け”よ”う”!”」


「まぁまぁそんな無粋なことを言うでない。どうじゃ戦が終わるまで儂と踊りあかそうではないか。」


「ア”ク”シ”オ”ン”・”エ”ペ”」


レックスが剣を抜いた。


「ほぉ、見たことの無い剣じゃのぉ。」


剣がアーダの硬い皮膚を切り裂く。


「おっと、迂闊に触るもんじゃなさそうじゃわい。」


「終”わ”り”だ”。”」


レックスはそのまま一回転し、剣の勢いを殺さないまま次の攻撃に移った。


「ふん!甘い甘い!」


レックスの剣がアーダの体に当たる前に止まった。


「何”!”?”」




一方、サーカスの舞台に上がっていた能天使はピエロと攻防を繰り広げていた。


「あぁ、能天使様、どうか私に償う方法をお教えください~。」


能天使は第6位の天使。天に背く悪魔たちを滅ぼす役目を持っている。


(ちょこまかと動く面倒な相手だ。とっとと能力を見せろ。)


「ははぁ、はやく能力を見せろといった顔ですね~。」


「ッハ!顔に出やすくて困るねぇ。」


ピエロは笑う。


「もう見せていますよ。」


能天使はハッと辺りを見回す。


視界がどんどん歪んでいたのだ。


(しまった幻術かなんかの類か?)




仮面の女性と戦っている天使は、ずっと盾をもって攻撃を防いでいた。


「どうしたのじゃ。妾の攻撃を受け続けるだけでは勝ち目はないぞ。」


「うぅ、手が痺れますぅ。」


ピタリと仮面の女性の動きが止まった。


「妙じゃの。お主何か企んでおるな。」


「いぇ。わたしただの一介天使なので・・。」


一介天使は第9位の天使。神と人間を繋げる使いとしての役割を担う。


その役割ゆえに、人間とあまり変わらない姿をしている。


そして今戦っている天使は能力もさほど強いと言えるものではなかった。


「止めじゃ、相手にするのもばからしい。」


仮面の女性が後ろを向いた。


その隙を狙って、一介天使は盾を仮面の女性の方へと向ける。


「何の真似じゃ。たかが、盾ごときで何をするというのじゃ。」


仮面の女性は隙だらけだった。


盾に亀裂が走る。


盾から凄まじいエネルギーが噴き出す。


仮面の女性は瞬時の判断で横に避けたが、仮面は割れてしまった。


その姿が露になる。


「その顔は・・・。」


一介天使の目に信じられないものが映った。


「見たな。この呪われた顔を・・・。」


女性の顔は半分腐っていたのだ。


「許さない!この顔を見たものは誰であろうと。」




こうして本格的に戦いが始まっていくのであった。


だが、これまでの出来事は序章に過ぎない。


最初は、教会とAH社の戦いであったが、やがてその他の勢力もこの戦いに参戦していくのである。


そして、その結末は。


それはまた別の機会で語られよう。

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