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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
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序章「教会VSAH社」3/4

ジークリードを批判したともとれる言葉にミラが声を荒げる。


ー下賤の者よ、無知を自覚し、頭をたれよ。ー




しかし、頭を下げるはずの天使はピクリとも動かなかった。


「ッハ!教皇殿のことになると、いつもの冷静さが失われるみたいですな!」




「ベガ!ノア!こいつを追い出せ!」


ミラが妹たちに強い口調で命令する。


しかし、妹たちは姉が冷静でないと思い、どうすべきかと顔を見合わせていた。


ー妹たちよ!声に従い、敵を排除せよ!-


妹たちの体が勝手に動いた。




空は輝き、地面から水が溢れ出す。




隕石が降り注ぎ、津波が起こり、教会の建物を襲った。




その時!




その時、奇跡が起こった!




一人の男の手が、突然現れた剣を握っていたのだ。


男はそのまま剣を一振りする。


その勢いや、凄まじく。


降り注ぐ隕石を粉々にし、荒れ狂う波を吹き飛ばしたのだ。




「み”ん”な”!”落”ち”着”く”ん”だ”!”教”皇”様”の”御”前”で”あ”る”!"」


男は剣を捨て、自分の席へと戻っていく。




こほんとジークリードが咳払いをする。


その場にいた全員が頭を下げ、次の言葉を待った。




「レックスの言う通りだね。皆落ち着こう。敵の戦力がまだ未知数だ。如何にこちらが強かろうが、相性の悪い相手をぶつけられたら面倒だ。」


ジークリードが話を続ける。


「しかし、向こうの防御が手薄になっている今のうちに攻めたいのもまた、事実。」




「や”は”り”私”が”出”よ”う”!”」


ジークリードが手で制止する。


「万一だ。万一、君がもしくはここいる誰かが負けたら、教会の評判が悪くなる。ここにいる皆はそれだけ世間に対して影響力があると思ってもらいたい。」




「ッハ!評判も結構ですが。あまりにも奥手すぎやしませんか?これぐらいの敵、俺一人でも壊滅させてやりますぜ。」


「はいはい!私もそう思う!」




「僕も君たちの実力を疑っているわけじゃない。ただ、能力には相性が必ずある。それは忘れないことだ。


慢心が身を滅ぼした例を僕はいくつも知っている。」




「でも、いったいどうするんです。何もしないわけにはいかんでしょう。」




「新しい兵を今から作る。大量に作れ、一度に大量に召喚出来る兵を。」




そういうとジークリードは左手を空高く上げる。


原子がその手に集まっていった。


ジークリードの手には、球体が握られている。


その球体に右手で触れると、球体の中から猫が生まれてきた。




「アイトワラス。そう名付けよう。」


アイトワラスが球体から次々と飛び出していく。


そのまま、それらは召喚の魔法陣に向かっていった。




ジークリードの額から汗が垂れていた。


「ひとまずこれで様子を見よう。」




 地上にアイトワラスが降りたった。


その猫の体が変異する。アイトワラスは巨大なドラゴンになった。


ドラゴンが横一列になり進軍する。




先刻、AH社の本拠地から逃げ出してきた兵士たちが機械兵に囲まれていた。


彼らは必死の抵抗で歩兵機械兵を散らしていた。




ドラゴンが到着する。


すると、ドラゴンたちが炎を吹き始めた。


歩兵機械兵が高温によって溶けていく。




放たれた銃弾がドラゴンに直撃する。


しかし、その強固な皮膚によって貫通はしなかった。




擲弾機械兵が足場を崩す。


ドラゴンたちはその翼をはためかせた。


それらには足場は必要ではなかったのだ。


そのまま、一直線に進んでいき、その進路を塞ごうとする者を悉くねじ伏せていった。




もはや地上からの攻撃は無意味であった。


AH社の本部から輸送機械兵が飛んでやってくるのが見える。


空中での戦いが始まった。




ドラゴンの吐く炎を避けながら輸送機械兵が攻撃をする。


航空機から擲弾機械兵が飛び出してきた。


そのまま、ドラゴンの体に跳びついていく。


激しい爆発によって、一体のドラゴンが地上へと落ちていった。




「ッハ!見ろ!我々を出していれば、今頃は・・・。」


「教皇様の判断に異論でも?」




「止”め”る”ん”だ”。”」


ミラと先程の天使の間に流れる不穏な雰囲気を察して、一人の天使が二人を制した。




ドラゴンは何体か撃墜されはしたが、輸送機械兵を撤退させるほど奮闘した。


いよいよ本拠地へと入り込む。


破壊されている砲兵機械兵、高射機械兵を治す整備兵(Mechanic)が忙しそうに働いていた。


当然戦車も整備されていた。




ドラゴンを砲撃、レーザーが襲う。


負けじとドラゴンは炎を吐き、抵抗する。


両者の実力は拮抗していた。




砲台を焼き払うべく、ドラゴンが空高く飛び砲撃を避けつつ接近する。


高射機械兵のレーザーで、数体撃墜される。


だが、一体の高射機械兵で狙える数は限られている。


ドラゴンは次々と、砲台機械兵をブレスで、焼き払っていった。


砲台機械兵は全て、砲身が溶解し使い物にならなくなった。




ドラゴンは、次に高射機械兵を狙う。


しかし、工兵機械兵(pioneer)のクレーンが高射機械兵の周りに鉄の壁を建てていき、ドラゴンのブレスを防ぐ。


鉄の壁に数体のドラゴンが張り付いた。


そのまま至近距離で、ブレスを吐いている。




急に、数体のドラゴンの動きがピタリと止まった。


その体は金粉に包まれていたのである。


やがて、ドラゴンの体は金へと変わり、重力によって地面へと落ちていった。


ドラゴンのうち数体は戦車機械兵の相手をしていた。


鋭い爪が、戦車の車体を切り裂いていく。


戦車が砲撃を放った。


ドラゴンの腹に砲弾が直撃する。


皮膚が抉れ、ドラゴンから悲鳴が上がる。


怒り狂ったドラゴンが、闇雲に火を辺りにまき散らしていく。


戦場に火の海が広がる。




AH社の会議室に、フィルマンぺと社長が入ってきた。


中にいたのは、♠の上位陣で強力な能力を操る猛者ばかり。


フィルマンぺの♣の階級の遥か上、全員二つ名がついていた。


二つ名がつくものは全員、その過去に与えた世界への影響により教会から危険視される存在である。


ジョルジュと共に行動をしているエレアノーラを除く12名が椅子に座っている。




「兄者よ、腕が鳴るのぉ。早う、戦場に赴きたいものじゃ。」


「待つのじゃ、弟よ。儂らは志を同じくする同輩。大将の指示なくして勝手に動いてはならぬ。」


2人の屈強な戦士が今か今かと指示がくるのを待っていた。




「それはそうと、あのいけ好かない雪女の姿が見えぬが。」


仮面をつけた女性が辺りを見回している。




「エレアノーラは、別件だ。」


黒色をベースに、金の装飾が施された軍服を着た男、黄金卿が口を開く。




「ふん、外されたということはあの女もそれまでということであろう?やつと妾の立場が変わるのも時間の問題じゃな。」


「そうとも限らないぞ、奴の仕事が成功すれば、大量の能力者の仲間が手に入る。そうなれば、お前と奴の差は広がるだろうな。」


「何!?」


仮面の下の表情はどうなっているのか、想像に難くない。


黄金卿はわざと煽るように喋っていた。




「・・・」


社長を除けば黄金卿の唯一上の階級に位置する女性が、黄金卿の方をじっと見ていた。


(不気味な女だ。いつも機械のように動かないくせに。)




そんな上位陣のピリピリした雰囲気とは対照的に残りの7人は呑気にしていた。


「ハーイ!ご注目。今からこのコップを触らずに、動かしちゃいまーす!」


「ヤッピー!My Pipeを見ている皆!ユララだよー!今日の企画は~」


「どうせ、俺なんか・・・。」


『』ボロボロ


「ゆらりゆらり」


「痛っ、踏まないでください。」


「ゆ/く/と/ね」




まとまりのない集団を前にしてフィルマンぺは萎縮していた。


ただ、あまり注目されたくないと思っている。




やがて社長が話を始めた。


すると、先ほどまでの騒ぎが消え、全員が話を聞く姿勢をとる。




社長の話が終わると、全員が持ち場についていった。




AH社の本部の扉が開く。


その中から数人が外に出てきた。




「ふむ、兄者も暴れたかっただろうに。儂らが、出払ったらすぐに戦が終わってしまうわい。」


「当然じゃ、妾一人でも余裕なくらいじゃ。」


「ゆらりゆらり~。」


「さぁさぁ、お立会い。これよりご覧頂くSHOWは、巨大な竜退治でございます。」



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