❦+Another Story1「神の鎧」2/4
エリアスとザウルが向かい合う。
ザウルは銃口をエリアスに向け、照準を合わせている。
ドドドド
大きな音が鳴り、地面が90度傾き始めた。
「うおっと。いきなり仕掛けてくるねぇ。」
「だから、これをやっているのは私じゃない。」
「俺は与えられた任務を果たすだけだ。真実なんて興味ねぇな。それに。」
ザウルとエリアスは建物の屋根にしがみついていた。
「俺はお前との戦いに決着をつけたいんだよ。Press Start ”Action Game”」
ザウルの周囲にブロック、コイン、アイテムが発生する。
「よっと。」
ザウルは屋根から手を放し、近場のブロックに足をのせる。
エリアスは浮遊して同様にブロックに足を付けた。
「おいおい。お前は受けるからいいが、俺は落ちたらアウトってか。随分不利な戦いだな。」
「よく言いますね。あなたのアイテムに重力10000倍効果のものがあったと思いますが。」
「あぁ、お前のためだけに作ったんだぜ。感謝しな。」
そういうとザウルはエリアスに3発撃ちこんだ。
エリアスはそれをなんなく避け、ザウルに近づく。
「おっと、そう簡単には近づかせねぇぞ。Press Start”Shooting Game”」
ザウルの足元からバイクが出現する。
そのまま、ザウルをのせバイクは空中へと浮かんだ。
ーScore 2000-
ザウルの頭の上に数字が表示されていた。
「おぉ!?何だ、どうなってんだよ!この頭の上の数字は何なんだよ。」
「あなたは、ピザファット!?入って来てしまったんですね。」
ピザファットは、ギャンブル街の探索を終えたところだった。
「それより何だ?あの能力。」
「彼の能力は周囲にゲーム空間を発生させる能力です。この空間に一度入ると主である彼の許可なしに出ることは出来ません。頭の上にスコアが表示されているでしょう。ダメージを与えたり、コインを手に入れるとスコアが上がり、ダメージを受けるとスコアが減ります。スコアが高ければ高いほど、良いアイテムが手に入るってわけです。」
「マジかよ。入ってくるんじゃなかったぜ。」
「いいえ。助かりましたよ。戦力が増えて。」
ピザファットが得意そうにする。
「まぁ!俺っちは最強だからな。大船に乗った気でいな!」
(しかし、ギャンブル街にいなかったとなると、住宅街か、港のどっちかにいるはずだ。エドゥ=ベレン一人で神鎧をどうにか出来る訳がない。早くけりを付けなければ。)
エリアスはピザファットと協力してコインを集めていった。
「エドゥさん!」
「夫人、無事でしたか!」
一方、エドゥは事務所に戻っていた。
「えぇ、何とか。この部屋の家具は全部しまいましたわ。」
エドゥは辺りを見渡す。
「夫人、もう少し耐えて下さい。すぐに解決して見せますから。」
「何が起きているんですか?」
エドゥはこれまでの出来事を夫人に説明する。
夫人は状況を理解すると、ポンっと手を叩いた。
「エドゥさん。お願いがあります。その鎧をこの事務所までおびき出してください。」
「そんな。あなたを危険に巻き込むわけには。」
ウィリーが口を出してきた。
「この空間に閉じ込めれば、少なくとも街への被害は抑えられるはずです。」
夫人がエドゥに頼み込んだ。
「その提案、是非乗らせてもらうわ。」
エドゥに取り付けられたデバイスからナタリーの声がする。
「だめだ。彼女を危険に巻き込むわけには…。」
ウィリーが反論しようとした瞬間、夫人が声を上げた。
「ウィリー、私だってこの事務所の一員なの、皆の役に立ちたい。」
夫人の真剣な眼差しを見て、ウィリーはそれ以上何も言えなかった。
(エドゥ、彼女の身に危険が及びそうになったら、直ぐに外に追い出すと約束してくれ。)
エドゥは頷いた。
「決まりね。ピザさんとエリアスさんに、直ぐ伝えるわ。エドゥさんたちは、それまで何とか耐えてね。」
「分かった。」
エドゥは再び外へと出た。
(足元に空がある。また、傾いたのか…。)
先程と同様に、建物の壁を伝い、鎧を探す。
(うぐぅ。)
急に体が押しつぶされるような感覚に襲われた。
(エドゥ、あそこだ。あれが、神鎧の一部。初めてみた!なんて神々しいんだ!)
ウィリーが指さす方向を見る。
なるほど、確かに神々しい。その鎧は銀色の輝きを放ち、宙を浮いていた。
その姿は、リザードマンというのがしっくりくるようにエドゥは感じた。
ゆっくりと、近づく。
まだ鎧は動きを見せなかった。
(待つんだ。エドゥくん。)
急にウィリーがエドゥを止めた。
(どうした。まだ夫人のことを考えているのか?)
(そうじゃない。だが、何か違和感があるんだ。)
(違和感?)
(多分だけど、向こうはこちらが近づいてくるのを待っている感じがする。)
エドゥはにやりと笑う。
(だったら、丁度良い。俺たちに時間を与えたことを後悔させてやる。)
エドゥは、左手で建物に触れる。
過去の記憶が流れてくる。
重力によって落ちてきた物が神鎧の元へと落ちていく様子が見える。
次の瞬間、時空に歪みが生じた。
極めて高密度で強力な重力により、ブラックホールが生じた。
物体は全てブラックホールに飲み込まれていった。
エドゥは手を放す。
(これは、予想以上の強さだな。)
(うん、動かなくても良い訳だ!)
(ん?何か閃いたのか?)
エドゥはウィリーが少し楽しそうにしているように感じていた。
(さぁ、君の嫌いなギャンブルだ。あれだけの強力な力、連続で使えるとはあまり思えない。もう一度、奴にあの力を使わせ、能力のインターバルを狙って攻撃を打ち込む。)
(なるほど。奴に力が効けば良いが、失敗すれば一発アウトって訳だな。)
ウィリーが頷いた。
(じゃあ、出来る最大のパワーを使おう。気来風獣掌じゃあ、恐らく効き目はない。)
(正気かい?腕が使えなくなるかも知れないよ。)
(ここで、終わったらそれこそ、困るだろ。俺たちの目的は殺人鬼を捕まえることだろ?)
(ふふふ。そうだね。それに、ピザファットの能力なら腕を治してくれるかもしれないしね。)
(俺は最初からそれしか、考えていなかったけどね。)
二人は笑い合った。
エドゥは、散らばる瓦礫を掴む。
「くらえ。」
瓦礫を鎧の方へ勢いよく飛ばす。
ゴォオォォっと凄まじい重力が来るのを感じる。
(やばい、光まで吸われている感じだ。)
エドゥの体が引きずられていく。
(耐えろ!!!)
必死に建物を掴む。
建物ごと、引っ張られていく。
ブラックホールが近づいてくる、否エドゥが引っ張られているのだ。
「はぁああぁぁ!!!!」
エドゥは建物に爪を立て、上の方へとよじ登る。
(だめだ。このままだと。建物ごと吸い込まれる。)
(エドゥ、隣の建物に移るんだ!それしか、生き残れる道はない!!)
エドゥは隣の建物を見る。
幾らか距離が離れていた。
(この重力下で飛び移れるのか?だが、今やらなければ取返しがつかない。)
エドゥは手を伸ばす。
壁から壁へ飛んだ。
ギリギリ縁を掴むことが出来た。
先程まで摑まっていた建物が吸い込まれていった。
すると、ブラックホールは小さくなり、消える。
エドゥは、すかさず鎧を掴みかかる。
街が再び傾きだした。
(エドゥ、早く打て!今なら鎧と事務所の位置が一直線になっているはずだ!!これを逃したら勝機は完全になくなる!!)
エドゥは、手に力を込める。
獣を超えた力、エドガーが使っていた最強で最恐の力。
エドゥの手に鱗が浮かびだす。
ズシズシと右肩が重くなっていく。
獣の手よりも何千倍も質量がある、それは大地を引き裂くドラゴンの手へと変わっていく。
「気来風竜掌きらいふうりゅうしょう。太古の力を味わうがいい。」
エドゥが、手を振り下ろす。
エドゥの腕の骨がヒシヒシと軋む。
同時に鎧は凄まじい質量によって、飛ばされていった。
(あれだけの力なのに、傷一つつかないとは恐ろしい防具だ。)
エドゥは急に地面に横からぶつかった。
(よし、事務所に何とか閉じ込められたみたいだ、街が元に戻っていく。)
エドゥは、街の様子を確認すると事務所に急いで向かっていった。
街の重力が元に戻っている時、港付近では、ピザファットとエリアスがザウルと戦っていた。
「おぉ、元に戻った。何だ、大人しく負ける気になったか?」
ザウルがバイクから降り、地面に足を付けた。
ーScore 16000-
「やった。鎧を閉じ込めたんですね。私たちも早く合流しなければ。」
エリアスがナタリーから通信を受け取る。
ーScore 9000-
「あぁ、とっととやっつけてここから出ようぜ。」
ピザファットは、エリアスの元に駆け付ける。
ーScore 5000-




