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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❂熱砂の挑戦者たちー超大陸バンギア北東部「ローゼ砂漠、ルマーヤ」ー
503/505

❂「Walking on thin ice」2/12

その姿は、まるで砂漠に舞い降りた幻の鳥のようだった。

両手に構えた二振りの刃が、煌めきの中で交差する。


_/_/──双牙裂刃そうがれつじん──_/_/


「ワッシャー!!」


声とともに、鋼が交錯する一閃。空を切る音さえ聞こえなかった。ただ次の瞬間、サンドワームの巨体に幾重もの斬撃痕が走り、無残にも崩れ落ちた。

一瞬、時間が止まったかのような静けさ。

そして、舞い散る砂と血の霧の中に立つナディアが、何事もなかったかのように刀を収める。


「……これでいい?」


その声音には、誇張も、誇示もなかった。ただ事実を伝えるような静けさがあった。


「ああ、充分だ。」


エドゥが口元を引き締めながら答えた。彼の心には、ただ一つの言葉が浮かんでいた──“信頼”だ。


§


やがて、砂煙も落ち着き、マシンのエンジンが静かに目を覚ます。計器が青く光り、出力ゲージが安定の数値を示していた。


「エドゥ、あれを見てくれ!」


カリムの声に、エドゥが顔を上げると、遠くの丘の上にゴールの標識が見えた。旗が揺れ、係員が手を振って誘導している。微かにスピーカー越しの声が届いた。


「──第2ステージ、ゴール地点。バギーはこちらへどうぞ。」


マシンは静かに走り出し、誘導に従って停車した。


「2ndステージゴール、おめでとうございます! 順位は電光掲示板にてご確認ください!」


陽炎に揺れる掲示板を見つめながら、三人は目を凝らす。

23位 エドゥ=ベレン

24位 カリム=バディア

……


「まだまだ、優勝は狙えるな。」


エドゥが口元で笑う。


「ああ……ただ、アイスマンたちがまだ来てないのが少し気になるが……待ってもしょうがない。先に進もう。」


§


「さぁ、ここで第3ステージの説明です。」


ハルナの明るい声が、冷たい風にかき消されるかのように響いた。


「第3ステージは氷雪ステージ〜〜。」


眩しい光が画面いっぱいに広がった瞬間、エドゥの目に飛び込んできたのは一面の白。先ほどまで足元を焼き尽くしていた灼熱の砂が、いつの間にか凍てつく白銀に姿を変えていた。

エドゥは思わず目を細める。


「……ここ、本当にさっきと同じ場所なのか?」


空気が違う。肌を刺すような冷気が、装備の隙間を縫って身体の芯まで入り込んでくる。

吐いた息は白く、風に流されてすぐにかき消えた。


「急激に寒くなってきましたね。」


ナディアが肩をすくめ、軽く震えながら呟いた。

彼女のローブの裾が風に翻り、まるでその身ごと氷の世界に引き込まれていくかのようだ。

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