❂「青星の民」12/12
クリストファーは静かに、大きく息を吸った。
_/_/クラウド・ナイン_/_/
彼の口から、銀色の煙が放たれた。
それは生き物のように広がり、異形たちの群れを包み込む。
バチッ――バチッ!
音を立てて、煙の中に火花が走る。
そして――
ドォンッ!!
地鳴りのような爆発が巻き起こった。
「「「シェェェェ!!!」」」
化物たちは火に焼かれ、叫び声を上げながら次々と崩れ落ちていった。
砂漠に、焦げた外骨格の臭いが立ち込める。
炎と煙の向こうから、クリストファーが静かに歩み寄ってくる。
鎧に砂塵をまといながら、まるで英雄のような佇まいだった。
「誘導、感謝する。――あれは一体なんだ?」
エドゥは息を整えながら、事の経緯を手短に語った。
砂の中から突然現れた異形、そしてその個体が仲間を呼び寄せたこと。
クリストファーは深く頷く。
「似たような生物が、この周辺でも暴れ始めている。親玉を倒せば、奴らも少しは大人しくなるだろう。」
彼の声には、確固たる自信と冷静な決意があった。
「この件は、我々に任せてもらおう。」
クリストファーはエドゥとカリムに向き直り、真っすぐに言った。
「君たちはレースを続けろ。」
エドゥとカリムは顔を見合わせ、小さく頷いた。
「分かった。ただし――緊急事態になったら、すぐに知らせてくれ。駆けつける。」
「承知した。」
短く、それでいて深い言葉のやり取り。
その背中に兵たちの歓声を浴びながら――
エドゥたちは再びバギーに飛び乗り、
荒野へ、レースの続きへと走り出していった。
§
「青星の民?──初めて聞くな。」
乾いた風が、焼けた地表を撫でるように吹き抜けた。エドゥの背後で、酷使されたマシンのエンジンが呻くような音を立て、蒸気混じりの熱気を吐き出している。金属の軋む音が、荒野の静寂に滲んだ。
その間、エドゥは機体を冷却しつつ、カリムからこれまでの経緯を聞いていた。話題は自然と、無言で焚き火の残り火を見つめていた少女──ナディアへと移っていった。
「あぁ、簡単に言えば、女王の統治にうんざりした人々の集まりだ。」
カリムの言葉に、エドゥは小さく頷いた。無理もない。自分も訳も分からぬままに拘束され、拷問寸前までいったのだ。怒りと不信が、今も胸の奥に燻っていた。
「それで──彼女も同行しても構わないかな?」
カリムの問いに、エドゥが視線をナディアへ向ける。ナディアは微動だにせず、そのまま静かに立ち上がった。
「まぁ、良いが……最低限、闘える力はあるのか?」
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