❦ 「太陽の子」4/4
禁断の果実の実験は難航を極めていた。
果実を摂取したものは誰一人としてまともな形をとれなくなってしまうのだ。
それはリンゴであろうがマルメロであろうがだ。
「果実の種類でも違いがありそうね。」
「パッと見だけど・・・」
エレアノーラが口を開く。
「マルメロの方が強力な感じがするわ。」
「私もそう思うわ。」
二人は実験を続けていく。
「濃度を下げれば、上手くいくんじゃない?」
「やってみましょう!」
何日かたった頃。
「おぉ、これは!!」
「出来たわ。」
「原液の1/100倍ね。記録しなくちゃ。」
被検体番号XX0259と名付けられたソレはゆっくりと立ち上がった。
「フザケヤガッテ!!!オレヲモトノスガタニモドセ!!!」
いきなり腕をのばし、ジョルジュに掴みかかろうとする。
「-エンジェル・トランペットー」
ジョルジュの体から美しい植物が生える。
その植物から粉が出てXX0259の鼻に入っていった。
「さぁ、楽園へようこそ。」
「じゃあ、あなたがレオを助けてくれたんですね。」
「まぁ!!!そうなっちゃいますね!!!」
レオの村に来たギランはすっかり馴染んでいた。
ギランと今話しているのは村の娘。
名前はマルセラ=マリン。
ギランはレオの態度から彼の思い人であろうと何となく理解していた。
レオの村は何か名所や特産物があるというわけでもない、これといった特徴のない村であった。
ある一点を除いて。
「ギランさん!スライムとガブリンが谷から上がって来ていて・・対処をお願いします。」
「分かった!!直ぐに向かおう!!」
この村の付近にはTe Deumと呼ばれる知能の低い生物の住処がある。
今の時期になると活動が活発化し、村になだれ込み、被害を与えることがある。
レオの村には能力を持つ者はおらず、いつ襲われるかとびくびくして生活していた。
だが、今回は違う。レオが連れてきた「英雄」がいる。
「虹色炎舞ー降神の儀ー」
トーチを振り回す。
「レオ!!!スライムもガブリンも体の中に入り込む。いったん体内に入ったらアウトだ!!!生きているものだけ連れてこの場から離れるんだ!!」
レオに指示を送り、トーチを振り回す。
「さぁ。全員でかかってこい!!」
ギランは炎を振り回し、スライムとガブリンを振り払う。
(スライムはゼラチン、ガブリンはガス。どちらも熱には弱い。だが、数が多いな・・・。)
「大車輪!!!」
トーチを大きく振り回す。
手をのばしトーチを回転させ、頭上にトーチを持っていく、そしたら手を後ろにのばし回転させる。
(早く決めなければ!!!)
ギランの手が焼け爛れてきた。
ボォォォォォ。
(しまった。どんどん温度が上がる。)
おそらく今の自分は髪が青く燃え上がっているはずだ。
ギランは焦りを感じ始めていた。
敵を倒す。これはそう難しいことではない。
問題は能力の方だ。
この能力はギランの身を燃やせば燃やすほど温度が上がっていく。
髪の色を見ればどれくらいの温度か判断できる。
はじめは赤、次の段階に進むと青、そして最後は金色(人によっては黄色という。)になる。
一日ごとに死ぬ体ではあるが、記憶は受け継いでいる。
最後の段階まで進むとどうなるのか。かつて一度だけ最後まで進んだことがあった。
(二度とあんなことを起こしたりしない。)
今は感傷にふけっている場合ではない。
一刻も早く敵を滅ぼすのだ。
(一刻も早く!!!)
殺せ!!!目に映る全てを!!!
(殺す!!!すべてを!!!!)
そこは後に「地獄の門」と地元民から呼ばれる。
ガス状のガブリンから放たれた有毒ガスがあたり一面に蔓延し、永遠に火が消えず谷底を明るく照らすのだ。当然ここに生息できる生き物は未だ存在しない。
「ギランさん!!!どこに行くんですか!!」
救助を終えたレオがこちらに向かってきた。
「来るな!!!!」
ギランが大声で叫ぶ。
「レオ、君の言う通り俺のコレは呪いだ。」
ギランが夜空に手をかざす。
体が緑色の炎に包まれていく。
皮膚を全て焼き尽くし骨だけになる。
骨の内側からまた緑の炎が出て、そこから肉体が再生していく。
「俺はこれ以上、ここにはいられない。」
「待ってください!!」
「まだ!!!分からないのか!!!あの谷が君の村になっていたかもしれないんだぞ!!」
「それでも!!!!」
レオがギランの手を掴んだ。
「あなたのおかげで化け物の巣を駆除出来た。そのお礼はしてもバチは当たらないでしょ。」
村の皆は暖かくギランを歓迎してくれた。
「ありがとう!!」「ありがとう!!」
皆が口々にそういう。
それがギランの心に突き刺さる。
(やめてくれ、俺は感謝されるような人間じゃない。)
目を閉じるといつも同じ光景が思い出される。
守りたかった皆、守りたかった町。
それが一瞬で燃え上がる。
「どうして・・・。」
違う。本来向けられるべきは感謝の気持ちのはずなのに。
「どうして、あんたみたいのが産まれてきたの。」
そこでギランはハッとする。
いけない今は暗い顔をすべきではない。
決めたじゃないか、常に元気でいるって。
「皆!!!また何かあったら呼んでくれ!!!」
次の早朝、レオは村を旅立とうとするギランを見つけた。
「やっぱり、行くんですか?」
「この村は良いところだ。本当に。だから・・・。」
「あなたはいつもそうしてきたんですね。」
「俺の手じゃ大事なものは掴めない。」
ギランが落ちている木の枝を手でつかむ。
たちまち煙が上がり発火した。
「レオ、皆によろしくと伝えてくれ。」
「・・・分かりました。」
ギランが歩みを進める。
コツコツ
後ろから足音が聞こえてくる。
「レオ?何をしているんだ?」
「ちょっと散歩にでも出ようと思いまして。」
「皆によろしくって言ったじゃないか・・・。」
「えぇ、もちろん言いますよ。この散歩が終わったらね。」
ギランの口元が少し上がったように見えた。
とある場所にある、とある町。
今そこには怪物が侵入していた。
「・アァ・・アァ・・・」
もともとそれがただの魚人だったと誰が思おうか。
体は数倍に膨れ上がり、爪はとても鋭利にとがっていた。
xx0259と名付けられたそれは、前進していく。
目に映るものは何であれ破壊する。
ばさぁと旗が掲げられた。
恐怖に押しつぶされそうな民衆の前に希望の光が差し込まれたのだ。
「教会だ!!神は我々を救いに来てくださったのだ!!」
「おぉ!!神よ!!」
皆口々に感嘆の声をあげる。
「よぉーし。うちらの相手はどこのどいつだ?」
一人の女性が前進する。
「カロリーナ様、あの魚人の怪物です。」
「魚人?初めて戦うけど、こんなにでかいの?」
「恐らく変異体です。」
「まぁ、何でもいいや!うちは、カロリーナ=ピエリーニ!いざ尋常に勝負しろ!」
カロリーナが薙刀を手に持つ。
「アァァアあああ」
xx0259が突進してくる。
ドンっとカロリーナは吹き飛ばされていった。
「嘘だろ。教会が負けるなんて。」
「これヤバいんじゃないか?」
民衆から不安の声が漏れ始めていた。
「大丈夫です。安心してください。彼女は遠征軍の一員ですから、実力は折り紙つきです。それより危ないのでこの場から離れて下さい。」
先程カロリーナと話していた部下が避難誘導を始めた。
「痛っいなぁ。もう。中々やるじゃん。」
カロリーナが戻ってきた。
「アァァァア」
xx0259が再び突進をする。
だぁん
鈍い音がなりxx0259が今度は吹き飛ばされた。
「戦闘力は武器効率と兵力数の積よ。」
ブゥンブゥンと鉄球を振り回すカロリーナの姿がそこにあった。
「!?んぅ?」
xx0259はわずかに残っていた知能をフル稼働させる。
おかしい、目の前にいた女がいつの間に真横にいる・・・。
ゴー――ン。
今度は頭に振動が走る。
「さぁ、とどめよ!」
どこからか、声が聞こえてきた。
-まずい、このままではー
「ふぅううん!!」
バシャアアアアっと皮膚から高圧の水流が放たれた。
「きゃあ!」
カロリーナの装備に傷が入る。水流はそのまま町の建物を壊していく。
xx0259はその場から姿を消した。
「くっそー!最後まで戦え!」
カロリーナは壊れた装備を外し、xx0259を追おうとする。
が、まさにその時だった。
「カロリーナ様、教会本部からたった今、招集がかかりました。」
「後にして!うちらの戦いはまだ終わってないの!」
「ですが、急ぎの用とのことでして・・・。」
はぁーっとカロリーナがため息をつく。
「くだらない要件だったら、ただじゃおかないからね。」
そういうとカロリーナたちは撤退した。
脳内設定その⑪
ミケ=オーラル
アミュレット名 「GRETA」
「触ったところに粘着力を与える。」
脳内設定その⑫
ギラン=バクター
アミュレット名「Color flame」
「7色の炎を操ることが出来る能力。色々応用が出来る。」




