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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
❦薄明光線ー超大陸バンギア北西部ー
42/504

❦「太陽の子」3/4

火が建物を燃やしていく。


後ろに並んでいた客によって騒ぎが起きていた。




「いいの?こんなところで暴れたら教会が来るわよ。」


占い師がローブを外した。手と同じように雪のように白い顔、髪も真っ白だった。


その白さの中に際立って赤い瞳が輝いていた。




「レオ!!!ここから離れろ。こいつ間違いなく抵抗軍にいた顔だ!!!」


ギランがレオに警告する。


レオは今までの口ぶりからギランと抵抗軍に因縁があるらしいことを悟ったが、とても聞ける状態ではなかった。そのまま、少し離れたところまで避難した。


既に二人とも臨戦状態だった。




先に仕掛けたのはギランのほうだった。


赤い炎を体に纏い手の方へ伝わらせる。すると、炎はトーチの形を作り先端には虹色の火がともった。


「虹色炎舞ー降神の儀ー」




トーチがくるくる回る。


「面白い技ね。」


占い師がギランに歩み寄る。




(ここだ。)


占い師目掛けてトーチを投げる。




占い師は何事もなく横に回避する。


(よし!!狙い通りだ!!)


ギランの虹色の炎は任意で拡散が出来る。


このまま決着をつける気持ちでいた。




予定通り炎を拡散させる。


(どうだ!!!これは予測できまい!!)




眩い光と共に爆発が起こる。


けたたましい音が鳴り響く。


目に映る色は赤かと思えば、青に変わり、気がつけば今度は緑になる。


見ていると気分が悪くなりそうだった。




漸く爆発が収まる。


占い師の体は弾けて無残な姿になっていた。




「ゴホッ」


突然ギランの口から血が吐き出された。


体中から何かに焼かれた時のような激痛が走る。


痛みでギランは膝を突いた。




目の前に占い師が来ていた。


「カレン=プレガディオ。私の名前を覚えておいて。」


占い師は淡々とした口調で話す。


ギランの目の前にいるのにその目はギランを見ているようには思えなかった。




「・・・す。殺す。抵抗軍は・・悪魔どもは・・この俺が・・。」


「止めた方が良いわよ。あなたの連れまでそれは焼き尽くすわよ。」


カレンは幼さを感じさせない口調で語る。




「もういいわ。あなたも運命の人じゃなかった。」


「?どういう意味だ!!ふざけているのか!!!」




ギランが再び立ち上がり、カレンに襲い掛かる。




「右からトーチで攻撃。」


(!?)


カレンに次の動きが読まれた。




「高速でトーチを振り回す。」


「虹色の炎を空中に散乱。」




次々と言い当てられる。


「上と見せかけて下から足蹴り。」




(こいつ、どんどん対応が早くなる!!!)




「蝙蝠さん、おいで。」


辺りが急に暗くなりカレンの体が紫色に輝く。するとどこからともなく蝙蝠が姿を現した。




「何所へ行った!!出てこい!!」


ギランが辺りを見回す。


しかし、カレンの姿はどこにもなかった。




「くそっ。逃がしたか!!」


ギランが地団駄を踏んだ。




様子を窺いにレオが近づいていく。


「ギランさん・・大丈夫ですか?」


「君か!!全然だめだった!!!だが、次会ったら必ず消し炭にする!!!」




ぐぅうううっとギランの腹から音が鳴る。


気が付くとお昼を過ぎていた。




「ギランさん、お昼にしましょう。」


「んーーーー!!!!金が!!!ない!!!」


ギランが空の袋を見せる。




「でしたら、一度俺の村に行きませんか?俺がとびきりの料理をふるまいますぜ。」


「そうさせてくれ!!!」




二人はそうして旅路に着いた。






ジョルジュとエレアノーラはある施設に来ていた。


「あそこね。」


「あら♡イイ感じ。・・でもこの場所は最悪~。」


「立地に関しては仕方ないわ。それよりも始めましょ。」


エレアノーラがふっと息を吐く。


すると、息が霧状に広がり、その場を包んだ。




「涼しいわ・・・。はっ!そろそろ始めないと。」


ジョルジュが袋から大事そうに神樹の根を取り出し、土に埋めた。




「さぁ、お水をあ・げ・る♡」


じょろじょろと優しく土に水をかけていく。




「あら?」


土から芽が出てきた。


芽は瞬く間に成長し、低木へ。


そこからは緩やかに成長していった。




「ここまで凄いなんて。美しいわ。」


「えぇ、ちょっとびっくりしちゃった♡」




「きゅぎょいきゅぎょい。」


後ろから誰かが来る。




「誰?ここには簡単に来れないはずよ♡」


「落ち着いて、ジョルジュ。私が呼んだの。」


「おききゅいて、おききゅいて。げぼぉぉぉぉおお」




いきなり何者かが吐いた。


「ちょっと~もぉ~な~に~?」


ジョルジュが吐いたものをおそるおそる覗く。


「何人いるの?」


「ざっと500人くらい?」


ジョルジュは消化されかけた者たちを一人一人数えていく。




「げっぷ~。空になっちゃった。また補充しなきゃ。」


「ガーブリエ-ン。ちょっと多すぎない?」


ガーブリエ-ン=クシュシュ、それはジョルジュの言葉を無視し、壁を食いちぎり外へと出ていった。


「もう!!ほんっっとあの子苦手だわ!!」


「まぁまぁ、落ち着いて。実験サンプルがこんなに集まったんだからいいじゃない。」


「胃液付きでね。」




エレアノーラがジョルジュをなだめている間、神樹は成長を続けていく。


やがて果実がなった。


「リンゴ。・・・あぁリンゴがなった。禁断の果実!!!」


「これで私たちは最強になれるわ。」




二人は樹を前に喜んでいた。


そうして二人はリンゴを埋めて次々と栽培した。


やがて夜になった。




異変に気が付いたのは少し経ってからだった。


「これは?」


ジョルジュが不思議そうに首をかしげる。


「どうしたの?」


エレアノーラがジョルジュに尋ねた。


「リンゴからマルメロがなったの・・・。」




マルメロ、セイヨウカリンの方が馴染みがあるだろうか。


バラ科マルメロ属の1種であり落葉高木であるそれがリンゴから生えてきた。




二人は互いに目を合わせる。


「試しにもう一度・・・」


そう言いながらジョルジュは樹からリンゴをもぎ取り、土に植える。




先程と同様ににょきにょきと樹が成長し、果実が生る。


「やっぱりマルメロ・・。一体どういうことかしら?」


「何か条件があるのかも・・。」




「よっと!」


先程ガーブリエ-ンが持ってきた被検体を連れてきた。




「ほら食いなさい。」


リンゴを被検体に摂取させた。




「げぼぉ。ぎゃぁぁぁ!ああああああ!!!」


被検体が口からリンゴを吐き出した。


「ジョルジュ押さえて。」


「こら、暴れないの。」


「ああああ!!!!放せ!!はな・・・・」


皮膚が赤く腫れ、何倍にも膨れていく。




ぐちゃっと嫌な音が響く。


「うわ~。グロイのはNGよ~。内臓とか一番見たくないのよ~。」


「お片付けしなくちゃ。」




ふーっとエレアノーラが息を吐く。


さっきまで被検体だったものが息に包まれ凍っていった。


「凝固。」


凍らせた内臓や血液がどんどん固まっていき、縮こまりこの世から消えた。




「Beautiful~♡」


相変わらずジョルジュはエレアノーラに魅了されっぱなしだった。




「っさぁ。どんどん試していきましょう♡まだまだ被検体はいることだし。」


「えぇ。」






エレアノーラはこの時間をとても気に入っていた。


彼女の話はいずれ語ることにするが、彼女はジョルジュに特別な感情を抱いていた。


それは、愛情という言葉では足りないぐらいのものだった。


この時間が永遠に続けばいい。


・・そう思ってさえいた。


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