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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
●完全閉鎖孤島ーキロネキシアー
39/504

◔「継承」4/4

「今の衝撃で少しずれた。こんな不完全なものが最後の仕事でいいのか?」


ネミは目に涙を浮かべ


「それは職人の恥ね。」


と震えた声で言った。




それから一日が経った。


ピザファットはルカのところに通う。


その手にはキャンパスと絵具が入った袋が握られていた。


「なぁ、これ見て何か感じないか?」


「・・・」


相変わらず返事も何も返ってこない。


ただ目を開けているだけだ。




集落の中心では今回の事件とこれからについて話し合いが行われる。


フランコ、ネミ、ピザファット、ハレイを中心にした多くの戦士たちのおかげで島外の者の受け入れを始めることが決定した。また、ピザファットの意向により長はフランコが務めることになった。さらに、エドゥは共に島を救った恩人という扱いを受け、いつの間にかなくなっていた宇宙船の代わりの船を提供してもらえることになった。




それから、亡くなった者の葬儀が行われた。


エドガーをはじめとした数百名の戦士、住民たち。




「ピザファット、船は一週間で用意できるそうだ。」


「あぁ、そうか。」


「ここに残ってもいいんじゃないか。」


「いや元々この島を出るつもりだったんだ。」


「だが、もういつでも出れるんだろう。」


「俺っちは相棒に興味が出てきた。一緒に旅をしてみたいんだ。」


「・・分かった。でも気が変わったらいつでも言ってくれ、こっちも無理強いはしないから。」


「・・・ありがとう。」




また一日が経った。


「これは!!」


嬉しいことが起きた。


ルカが絵を描いていたのだ。


絵と言ってもただ適当に絵具が重ねられていただけだったが。


辺りに命を吹き込まれた絵具が動き回っている。




一日が経った。


ルカの絵を見ようとすると、反応が返ってくるようになった。


「どうした?見られると恥ずかしいのか?」


「・・・」


相変わらず返事は帰ってこなかった。




一日が経った。


ルカを外に連れ出す。


色々なところを一日で回った。




日が昇り、沈んでいく。


二人は一日中一緒にいた。


ピザファットが帰ろうとするとルカは寂しそうな反応を示すようになった。気がした。




そして、また一日が終わる。




「出発は明日の昼前にしようと思っている。」


「・・あぁ。」


「最後にもう一度しっかり考えておいてくれ。」


「分かった。」




「・・・」


エドゥと会話を終えたピザファットが部屋に戻るとルカが絵を描いていた。


「何を描いているのかな。ひひひ、横から失礼~。」


無理やりルカの描いている絵を覗く。


それは以前のようなただ絵具を重ねたものなどではなく。


「おっれ~~~~~?」


ピザファットの絵だった。


「ちょっとカッコよく描きすぎじゃね~~。」


「・・・」


ルカは恥ずかしそうにキャンバスを隠す。


「ぴ、ぴ、ぴぴぴ・・・。」


「もう一息!!」


「・・・」


「だめか・・・」




ピザファットは病室を出て、担当医に話を聞きに行った。


「驚異の回復能力ですよ。傷ついた脳の細胞がゆっくりですが回復しています。」


「じゃあ以前のようになれるってことか?」


「そこはまだ何とも。」


「・・・。」




そして、出発の日。


ピザファットはルカの元を訪れていた。


「・・・ぴ・・・。」


ルカが何かを言おうとしている。


「ピザファット!!」


とそこにフランコが慌てた様子で入ってきた。


「ピザファット、落ち着いてよく聞いてくれ。」


「どうしたんだよ。そんな慌てて。」


「ハンナさんが・・・・。」




ルカを残し二人はとある場所へと向かう。


「そんな・・・ばあちゃん・・・。」


ひどい有様であった。


体中に傷がつけられ、顔中に何かを差し込まれたような跡が見られていた。


「あいつら!!!絶対に許さねぇ!!」


ピザファットが壁に八つ当たりをする。


「しかし、奴らは痕跡すら残していない。」




「痕跡なら・・今・・見つけた・・・。」


するとそこに、顔が真っ赤になっているハレイがやって来た。


「ハレイ!!どうしたんだ一体。鼻から血が噴き出してるじゃないか。」


「ハハハ。ずっと張り込んだ甲斐があった・・・。この島から2000Kmの範囲全ての生物と繋がり、遂に奴らの情報を掴んだぞ。・・・ゲホっ。」


ハレイが口から血を吐き出す。


「お前、そこまでして・・。」


「卬は今回何も出来なかった・・だから皆のように命を懸ける努力をするのは当然であろう?」


ハレイが紙をピザファットに渡す。


「まずはここから北北西にある大陸に向かえ。そこのどこかに奴らの拠点があるはずだ。幸い奴らは卬のアミュレットに会話をジャックされていたことに気付いていないようだからな。ベラベラと喋っていたよ。」




同時刻、ある船にて。


「フィルマンぺ、本部と回線を繋げ。」


「あぁ~分かったよ~。」


船に搭載されているモニターに人影が映る。


「任務おふかれ様せす。King、Queen、9,8,7。ボフはたらいま急用のさめ、今ここにいふエロい、じゃなかったえらい人がかわひに・・・え?変われ?」


画面にもう一人の姿が映し出される。




「黄金卿!!」


船にいる全員がその場で跪く。




「ふん・・よせよ。時間の無駄だ。それより剣の情報は手に入れたんだろうね。」


画面越しのはずなのにその場に眩い光があるようかの錯覚に陥られる。


「お戯れを。黄金卿、私とQueenはまだしも9、8、7はあなた様の力で報告もままなりません。」


Kingこと宮本はその場で倒れ込む3人に手を差し伸べた。


「俺は無駄が嫌いだ。俺の前に立つことも出来ぬ赤子の声など聞くに値しない。」


「ご容赦のほどを。剣についての情報は手に入れました。No.8の力あってのものです。」


「そこは認めてやる。だが、功績を上回る損害を出したのもまた事実。アレを一体作るのにどれほどの時間、人間、費用が関わっていると思う。無駄が多すぎだ。」


「申し訳ございません。」


No.8、フィルマンぺ=ベートが頭を下げる。


「幾ら序列最下位の♣だからといって、甘くみてやるつもりはない。」


厳しい言葉が投げつけられる。


(♠だからってえらそーに。さっきは油断しちゃっただけなんだから。でも顔は良いオ・ト・コ)


No.9、ジョルジュ=ボンランピがうっとりとしている。


(こんな強い人たちの仲間になれて本当に良かった。)


No.7、エルフの裏切り者、ラルフ=ビョルケルが安堵の表情を浮かべた。


Queenのハルトムート=バーケは一言も発せず立っていた。




宮本は今回の任務の報告をした。


「報告は受け取った。JOKERが戻り次第追って指示を出す。以上だ。」




プツンと電源が切れた。




「いや~~~ん♡やっぱり黄金卿美しいわ~~~♡黄金のような金髪に白い肌がSEXY~~♡男のあたしでも惚れちゃいそ~~~♡、でーもーさっきのエドガー?ちゃんの作品も良かったわ~~。ねぇラルフちゃん♡」


ジョルジュが急にはしゃぎだす。




「そうですね。」


ラルフが一言だけ喋る。




「あんら~?なになに~?殺したこと後悔してんの~?んもぅ。そんなことなら仲間にしちゃえば良かったのに~~。♣の2なんて雑魚なんだからエドガーちゃんでも全然倒せたと思うけど~~~?」


「Kingの能力が切れかけていましたし、彼も話を聞こうとしてくれなかったんですよ。」


「しかし、4人がかりで漸く倒せたことを考えれば、惜しいな。」


ハルトムートが口を開いた。




舞台は再びキロネキシアに戻る。


ハレイのおかげで次の目的地を見つけたピザファット、エドゥは船に乗り込んでいた。


フランコやネミは島の復興と防衛をするために島に残る選択をした。


「だが、敵の本陣を見つけたら戦わずに一旦俺たちに伝えろ。敵討ちは一緒にする。」


フランコはそれだけを伝えたかったようだ。


ルカについては医者の話では言葉を使えるには時間がかかるかもという話だった。


が、ピザファットが旅立つ前に「い・・って・・・しゃ・・い。」


と言ってくれたのは二人だけの秘密のようだ。




エドゥ、ピザファットを乗せた船がいよいよ出航する。


二人の思いはどうなっているのだろうか。


仲間を失った悲しさか、新たな地への興味か。あるいは両方がぐちゃぐちゃに混ざっているのか。


当人以外には計りしれないだろう。


新たな土地で二人はどのような物語を紡いでいくのだろうか。




「「鰹のなめろうってやっぱ最高だわ!!」」

完全閉鎖孤島ーキロネキシア-

戦死者

エドガー=シマコフ含む島民数百人

結末

エドガーの意志をエドゥが継ぎ、黒幕はAH社という組織と判明する。


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