表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
●完全閉鎖孤島ーキロネキシアー
38/504

◔「継承」3/4

ドサッ、ドサッという音と共に次々と味方の命が奪われていく。


エドゥとフランコが未だ動かない敵を前に必死になって抵抗していた。




(おかしい。手ごたえがない。)




体は明らかにそこにある、だが攻撃してもすり抜けてしまうのだ。


「幻覚か?」




「残念だが、不正解だ。」


突然後ろから声がする。




慌てて後ろを振り向くフランコとエドゥだったが、既に剣が二人の首を同時に切断しようと振られていた。






「させねぇよ。」


ピザファットが宮本の体にタックルし、それを阻止する。




「!?貴様は、さっき切り落とした・・・なるほど能力か。」


ひるむことなく一瞬で体勢を立て直すと、宮本は即座にピザファットの首を狙い刃を斜めに傾ける。




(後ろを向いた!!隙だらけだ。)


「コォォォ」


今度はフランコとエドゥが宮本に不意打ちを仕掛ける。




攻撃はしっかりと決まった。


・・・はずだった。




宮本を貫くはずだった槍はピタリと動きを止め、それ以上押せなくなった。


そして、人一人訳なく吹き飛ばす風の塊は分散して消えていった。




「なるほど、理解した。再生能力、状態変化能力、風の力。・・面白い。やはり一人一人相手に・・」


ピピピピピピ


セリフを遮り場に音が鳴り響く。




「ふむ、時間切れか・・・我々の目標はどうやら達成されたようだ。ここに私がいる意味がもうない。」


宮本が名残惜しそうに刀を鞘に収めていく。




「何だと?おめぇ何かを回収しに来たっつたよな?」


「左様、既に回収はできている。」


「何?」


「・・・」


これ以上話すことはないと言わんばかりに宮本はそれ以上口を開かなかった。




ピキピキ・・・・・・・パリ―ン


突然空間に亀裂が生じた。




「エドゥ、フランコ、ピザファット。名前は覚えた。次に相見えるのを楽しみにしておこう。」


最後にそう言うと宮本は亀裂から出来た穴に入る。追うことを許さず空間は即座に元の姿に戻っていった。




「きゃぁぁああああああ」




遠くで悲鳴が聞こえてきた。


「今度は何だ?」


「あっちはネミのいる場所!」


「ってことはエドガーが暴れ始めたのか?」




3人は急いで来た道を戻る。




「ネミ!!これは誰の仕業だ?」


「分からないの。いきなりエドガーの体が消えて・・そしたら急にこんな・・・。」


「一体どれだけの能力者がこの島に来ているんだ?」


「いーや相棒。もう撤退しているはずだ。やつらの言葉を信じるならな。それよりも・・・。」


ピザファットは指を差す。


「はやく、エドガーを下してやろう・・・。」




エドガーの心臓から木が生えていたのだ。


木は成長を続け、エドガーの体を押し上げていた。




「ピザファット。あれ」


エドゥが何かを伝えようとピザファットの肩を叩いた。


エドゥが指を差している、その方向を見てみるがそこには何も見えなかった。




「相棒?」


ピザファットがエドゥの方を見る。




(何だ?あれは。エドガーの体から煙が出ている?)


エドゥはその煙に向かって歩いていった。




「おいおい、疲れて変なもんが見えちまってんのか?」


ピザファットがエドゥを止めに走る。




エドゥは煙に近づいていく。不思議な感じがしていた。


煙がエドゥの体をぐるぐる回る。


周りの景色が煙に覆われ見えなくなっていった。




コツコツ




足音がどこからかする。


「・・・お前か。」


「!?」




目の前に死んだはずのエドガーが現れた。


「お前!!」


エドゥは攻撃の構えをとる。




「待て。もう死んでいる。それに俺はお前たちに負けた。もう争う意味もない。」


「何故洗脳を解いたのに戦いを続けたんだ?」


「時間があまりない。用件だけ済ませよう。」


「!?何を言って。」


「お前に俺の能力と意志を継がせる。」


「・・棒!!」


「相棒!!」


ピザファットの声でエドゥは目を覚ました。


(夢だったのか??)


エドゥは先程まで治癒所の布団で寝ていたらしい。


朝日が眩しい。近くにいたピザファットの方を見る。


ピザファットは安堵の表情をみせていたが、みるみる顔つきが変わっていった。




「相棒。その右手・・」


ピザファットがエドゥの右手を凝視する。


エドゥは起きた時から右手に違和感を感じていた。


恐る恐る右手の方へ視線を向ける。


なるほど違和感の正体が分かった。


重いのだ。その重さは人のそれではなかった。


硬い鱗で覆われたそれは、エドガーが変身してみせたドラゴンのものにそっくりだった。




「うわ!!」


エドゥが驚くと右手は元の人間の手に戻っていった。




「今のは?エドガーの?」




エドゥはピザファットに自分が体験したことを話した。


ピザファットによるとエドゥは何もないところに歩いていくと、いきなり倒れたらしい。




「だけどよぉ。その手を見るとどうも言ってることは嘘じゃなさそうだな。」


ピザファットがエドゥの右手を見る。


どうやら右手に強い力を籠めると変身するようだ。


「何故、右手だけなんだ?」


「知らね。ひょっとすると相棒の能力なんじゃねぇの?」


「超能力のコピー・・」


「確実なことは言えないけどな。まぁ安静にしていてくれ。」




ピザファットはエドゥとの会話を切り上げるとルカの方に向かう。


「どうだった、ルカは?」


ルカの見舞いに来ていたハレイに話を聞く。


「一命は奇跡的に取り留めた・・しかし。」


「何だ?頼むはっきり言ってくれ!!」


「脳に酸素が行かない時間があり・・脳に障害が・・。」




ピザファットは急いでルカの眠る部屋に飛び込んだ。


「・・・」


ルカは布団に仰向けになっている。


「ルカ?俺だピザファットだ!!」


「・・・」


返事が来ない、それどころか声にも反応しない。


いや、出来ないのだろう。




「ピザファット・・卬が力を持つアミュレットだったら・・。」


「ハレイ・・おめぇのせいじゃねぇだろ。お前も昨日だいぶアミュレットを使って疲れただろう。


ここは俺っちがいるから、お前はゆっくり休憩をとってくれ。」


「・・すまない。」


ハレイはそういうと部屋から出ていった。


ピザファットはルカをそれから一晩中看病し続けた。


たとえそれがルカを治すことはないと知っていても。






「出来た!これでどう?」


フランコはネミに義手と義足を作っていてもらった。


「流石、普段から精巧な罠を作っているだけあるな。」


「ありがとう。」




フランコはその辺を試しに歩いてくると言い、ネミの工房を出ていった。


(私の役目はもう終りね。)


ネミは歩き始めた。足は自然とある場所へと向かっていた。




ザバーン


波が岩にぶつかる音が聞こえる。


足は迷うことなく真っすぐ進んだ。




そのまま落ちる。




数秒後には命が失われているだろう。最後に綺麗な海が見れて良かった。


等と考えていた。




「全く。後を付けておいて正解だった。」


ネミはフランコに空中でキャッチされていた。




「放して。私は間接的でも大勢の仲間を殺したのよ。」


「だから死ぬのか。それが償いになると。」


「分から・・・ないわよ。」


ネミの言葉が詰まる。


「死ぬということは責任全てから逃げるということだ。生きろ、生きて奪ってしまった分以上の命を救え。


それが唯一の道だ。それに・・・」


フランコがネミに義手を見せた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ