◑「僕の記憶」1/4
The old me
「gysaaaaaaaa」
血で出来た人型の何かが咆哮を上げ、大型の機械兵を追い詰めている。
「来るなーーー!化け物が!!!」
指から血が放たれる。
「この!食らえ山を削るほどの殺人ビームを!!」
飛んでくる血しぶきに筒状の兵器を向け、ビームを撃つ。
血が粒子を包んで消滅していく。
「これも、ダメなのか!!!」
ビームの照射を止め、血の侵食を止める。
「全員!!この場から離れろ!!」
ハレイが戦士たちに必死に呼びかけていた。
「何?」
戦いを夢中で見ていた戦士たちは一瞬ハレイが言っていることが分からなかった。
しかし地面をみると直ぐに理解することが出来た。
上半身から僅かに血が地面に垂れていた。
それがどんどんと侵食して拡張していた。
次々と地面が消滅し消えていく。
「化け物め、くそ。一旦撤退するか。」
大型の機械兵が目を離した一瞬化け物の姿が消えた。
「!?消えた。どこだ!」
突如後ろの木から姿を現す。
「grrrrrrrr」
血が飛行ユニットに付着した。
「な、何だっ、、と。」
慌てて飛行ユニットを外す。
大型は地面に不時着する。
しかし、その先には既に血が侵食して向かってきていた。
「や、、やめろ!!たす、、、、け、、て。」
一瞬で血が全身にまわる。
大型は跡形もなく消滅した。
「怖い。」
それが、戦士たちの口から出た感想だった。
「gryryryryryryryry」
怪物が何所かに動き始めた。
「まずいぞ!このままじゃ。」
ハレイは急いでこのことを全員に伝える。
ー緊急。記憶共有。-
ハレイがこれまで見たものを島中の全員に見せる。
ハレイの記憶を見て全員がこれまでの状況を理解した。ルカの最期も、言うまでもなく。
「相棒!ネミ!エドガーを任せてもいいか!」
ピザファットが真っ先に反応していた。
「ピザファット!どうしようと言うの?」
ネミが尋ねる。
「ルカを治す。血はまだあるんだろ。ひょっとしたら出来るかもしれねぇ。」
「分かった。ピザファット!エドガーの足止めは任せろ!」
エドゥがピザファットの背中を押す。
「そんな!無理よ。もう死んでるわ。それに、エドガーはあなたを狙ってるのよ。」
ネミがそれを止めようとする。
「行け!ピザファット!後悔せずに島を出るんだろ!」
エドゥがネミを止め、ピザファットに行けと合図する。
「すまねぇ相棒。任せたぜ!」
「おぉ!」
ピザファットは進路を変え、ハレイの記憶から考えられる場所へと向かっていった。
(大丈夫だ。俺っちはこの島に詳しいんだぜ。簡単に場所くらい。)
頭をフルに回転させる。長の初めの仕事で見回りをした時、子供の頃よく行った場所全てを思い返す。
(あそこか?)
「居たぞ!ピザファットだ。」
エドガー側の戦士たちが襲い掛かる。
「邪魔すんじゃねぇ。」
攻撃を受けたり、避けたりして思い当たる場所へと向かう。
「giiiiiiiiiiii」
化け物がどんどん島の中央へと進んでいく。
ハレイ達は離れた場所からその動向を追っていた。
「もう少し離れろ。侵食を受けるぞ。」
地面の侵食はある程度有効な範囲があるようで化け物を中心に広がっているのが見て分かった。
「あれか・・・ルカ、今お前の魂を開放してやる。」
化け物の進む先にはフランコが立っていた。
「邪魔すんじゃねぇよ、どいつもこいつもよぉ。」
ピザファットはルカのところに行くのにどうしても通らなければいけない集落に行っていたのだが、そこは機械兵が占拠する残り二つの集落の一つだった。さらに、運の悪いことに大型の機械兵が一機向こうから入って来て道を塞いでいた。
一方、エドゥとネミはトラップゾーンまでたどり着いた。
「止まって!ここがトラップゾーンよ。」
「もう着いたのか?ただの道にしか見えないが。」
「ただの道にしか見えないようにしているのよ。さぁ、私の後ろをついてきて。少しでもずれると罠が発動するからね。」
「分かった。」
バサッバサッとエドガーが空を飛んで3人を探していた。
(・・・木のせいで見えん。一旦地面から探すか。)
エドガーが2足歩行の動物に変身して地に足を付けた。
次の瞬間。
バシッと足をトラバサミがはさんだ。
「何で、いっつもトラバサミ何だ。」
エドゥがネミに尋ねる。
「・・・お気に入りだから。」
ネミはただそういった。
エドガーを捕らえるとどこからか砂塵が飛んでくる。
「順調ね。」
ネミとエドゥは安全な位置から見守っている。
(・・・ネミか、小癪な!連続の変身は体力の消耗が激しいが、やむをえん!)
エドガーが足のない生物に変身し、空へと上昇する。
「今よ。」
ネミが足元にあるひもを外す。
ゴンっとエドガーの体に丸太が打ち付けられた。
(・・しまった!!)
エドガーが地面に打ち付けられた。同時に変身が解除された。
「今だ。」
エドゥとネミが飛び出した。
「急いで、起き上がる前に洗脳を解くのよ!」
「気来・・・」
エドガーが立ちあがった。
(間に合え!)
エドゥが拳を放つ。
「・・・風躰掌!!!」
(決まった。)
そう思った。
一瞬、自分の目の前に巨大な体が現れたのが確認できた。
巨大な鱗で覆われた体、巨大な爪、そして翼。
ドラゴン、そう呼ぶ以外にこの生物にふさわしい言葉はないとエドゥは理解した。
ゴー――っと口から火が放たれ辺りが炎に包まれた。
トラバサミや木で出来た罠が高温で溶かされていく。
エドゥとネミはやけどをしたが、何とか生きていた。
「ピザファット!どこにいる!出てこないなら2人を殺す!」
エドガーが手当たり次第に火を吹く。
「、、、おかしいわね。」
ネミが不思議そうにそうつぶやいた。
「何が?」
「もうとっくに変身が解かれるくらい動いているはずなのに、全くその気配がないの。」
「今は、逃げることに集中した方がいい。謎解きはあとだ。」
「それもそうね、あなたの技も私の罠ももう役に立ちそうにもないものね。」
二人は隠れるようにエドガーから離れていた。
「ピザファット!!!」
遠くからエドガーの雄たけびだけがこだましていた。
「kiririiiiiiiii」
フランコの存在に気づいた化け物が速度を上げ向かってくる。
(アレに直接触れなければ問題はない。しかし、俺のアミュレットは接触しなければ発現しない。速さが勝負の行方を決める。)
フランコは特大の槍を取り出し、構える。
汗が頬を伝う。
(ルカ...許せとは言わない。恨まれても良い。ただ俺はお前が殺戮する姿を見たくないんだ。)
「覚悟はいいか。いざ。参る!!!」
フランコの足元に血の侵食が迫る。
槍を地面に突き立て血を固体状に固める。
(予想通り、これで侵食は止められた。しかし…)
槍の先端を見ると、予想以上に侵食のスピードは速いらしいことが見てとれた。
再び、血の侵食が迫る。
固体となった血の上から覆いかぶさるように迫ってきた。
もう一度槍で突く。
(!?さっきより侵食のスピードが上がった!)
慌てて槍を放し、間一髪のところで体への侵食を防ぐ。
空気を固め、上へと回避する。
「gysaaaaaaaaaaarrrrrrrrrr」
地面から化け物が飛び出てくる。
「そっちから来てくれるとは、結構な事だ。あいにく今手持ちがないんだ。だから」
フランコは左足で化け物の頭を蹴り能力で固め拘束した。
「皆を守るために元々失うつもりだったんだ。これで歩くときの違和感に悩まされずに済む。」
フランコは左足を切り離した。
足は即座に消滅していく。




