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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
●完全閉鎖孤島ーキロネキシアー
26/504

●「風の赴くままに」3/4

「ピザファットォォォォ!」


ラルフが叫ぶ。




「何だよ!聞こえてるよ。」


ピザファットがラルフの声に耳を傾ける。




「何故!何故!その侵略者の味方をするのですか!我々の仲間を殺した奴なんですよ!そして、これからもっと多くの人が犠牲になる!」




ピザファットは深呼吸をして、大きな声で


「だから!誤解だって!黒幕は別にいるんだっつーの!俺らはそいつの手のひらで踊らされてるだけなんだって!」




「根拠がない!そいつが来てから島に変な奴が来て皆を殺していったんだ!多くの仲間が殺された!ルカも!」




ピザファットの顔が蒼白になる。


「何だって、、ルカが、、」




ラルフの口調がどんどん激しくなっていく。


「そうです!ピザファット!あなたと仲が良かったルカも、そこにいる侵略者が殺したんです!」




ピザファットが膝をついた。


「あぁ、そんな、、ルカが?昨日まで普通に話していたのに、、。」




「さぁ、今からでも遅くない!仲間たちの仇を一緒に!」


ラルフが協力を呼び掛ける。




ピザファットがゆっくり立ち上がる。


「もう言葉のやり取りなんて無駄だぜ。俺っちたちは一刻も早く黒幕の存在を白日の下に晒してやる。だから邪魔をするな!」




「そうですか、裏切り者に頼んだ私が愚かでした。」


そういうと、ラルフは弓を手にした。


(とどめは無理でも、せめて傷は負わせて見せます。)




「・・・見つけたぞ。」


その時、いきなり上空から声が響いた。




「おいおい、厄介な奴が出てきたな。」


ピザファットが上を見ながらそう言った。




エドゥもつられて上を向く。雲一つない晴天にギラギラと光る太陽を大きな影が隠す。


プテラノドンと言えばイメージが出来るだろうか。サイズはかなり大きめで毛でおおわれているのが見えた。




それは一気に地面に降り立った。


そして、人の姿に変身した。というよりも元の姿に戻ったというべきか。




「エドガー!来てくれたんですね!」


ラルフが感嘆の声を上げる。


「これで、こちらの勝率は99%です。」




「・・・ラルフ。・・・状況は?」


エドガーが重い口を開ける。


ラルフはこれまでのことを丁寧に説明した。




「・・・分かった。・・・俺一人でやる。・・・お前は休んでいろ。」


エドガーが淡々と喋る。




「一人だとぉ?随分余裕ぶっこいてくれんじゃねぇの!俺っちとパワーアップした相棒をなめんなよ!」


ピザファットが中指を立てて挑発する。




「・・・ピザファット、お前はやはり長の器ではなかった。・・・やはり俺の言った通り勝負で決めるべきだったのだ!」


「なりたくてなったわけじゃねぇけどな、お前の考えも長にふさわしいとは思えねぇぜ。」


「・・・お前まだ長の[証]を持っているな。丁度いい、裏切り者を始末して証を手に入れて俺が長になる!」


「ずいぶん長にこだわるじゃねぇか、口数がだいぶ増えてるしよぉ。悪いけど、今はそんなこ、ぶほぉぉ




ピザファットの体がいきなり横に真っ二つに割れた。




「グルルルルルル。」


目にも止まらぬ速さでエドガーは移動をしていた。


エルフの体を簡単に引き裂く爪、高速移動に特化した足、そしてエイリアンのような長い頭。


パッと見ただけでの特徴はそんな感じの生物だった。




「コォォォ、!?ゲホォ、、ゲホゥ。」


エドゥが風体術で対抗しようとすると、咳が出てきた。呼吸器に異常を感じる。




「・・・どうだ、苦しいだろう。毒ガスだ。・・・思いっきり吸い込んだからな。」


エドガーがエドゥの目の前に立つ。


「・・・選べ。このまま苦しんで死ぬか。・・・それとも一瞬で楽に殺されるか。」




「やめろぉぉ。」


回復したピザファットがエドガーを後ろから押さえつけようとしていた。


「・・・やめろ。お前はその回復力以外に俺に敵うものはない。」




そういうと、エドガーはピザファットを片手で投げ飛ばした。




「ゲホゥ、ゴホッ。」


エドゥはまともに呼吸できないでいた。




「・・・もう喋ることもできんか。・・・確実にお前を始末しなければならないからな、死ぬまで目を離さないでやる。・・・この俺の前では奇跡は絶対に起こさせない!」




「ヒュー、ゴホッ。ゴホ。」


エドゥの息が弱弱しくなっていく。




「おらぁ!」


先程投げ飛ばされたピザファットが何かを投げた。




「・・・何だ?無駄なことを。」


エドガーが振り返るとそこには、ピザファットの切断された左手があった。




「爆発しろ!」


ピザファットの細胞爆弾によって爆発が起きた。細胞片やら内容物やらが噴き出す。




「・・くそ!」


エドガーの顔にそれらが付着し、目くらましとなった。




「相棒!待ってろ今助けてやる!」


そういうとピザファットは切断面から少量の血をとり、エドゥに飲ませた。


「俺っちの能力で奇跡を起こしてやるぜ!」




エドガーが顔をふき取り、ピザファットの方に走り出してきた。


「無駄だ!そいつはもう死ぬしかない!」




ピザファットは医療の知識があったわけじゃない。ただ自分は回復が異常だから血などを与えればエドゥも回復するだろうという考えからきた行動であった。その考えは概ね正しいものであった。


アミュレットによって血液の白血球、のうちのリンパ球、さらにそのうちのB細胞、ヘルパーT細胞


が増殖し、抗体が産生されたのだ。そして、しっかり奇跡も起きていた。


経口で入れても外因によって影響を受けなかったということと、抗体の量であった。少量の血を入れたことによって抗体が多くできなかったのである。それは抗体が多いことでも起きるアナフィラキシーが起こらなかったということを意味する。




「ふぅー。すぅう。」


エドゥの息が吹き返してきた。




「えー。本当に回復しちゃったよ。何だこの能力。こわっ。」


ピザファットが慄く。




「・・・バカな!」


エドガーも驚いていた。






「よし!見つけたら直ぐに知らせるんだ!絶対に単独行動はとるな!」


フランコは仲間を集め、黒幕探しをしていた。


数人のグループを作り島中を探索していたのだ。




きゃあああああ、と突然悲鳴が聞こえる。


声の方を振り返ると女性が機械兵に追われていているのが見えた。


「狼煙をあげろ!見つけたぞ!」


フランコがそう叫ぶと、周囲からどよめきが走った。


「どうした?」


フランコが尋ねると戦士たちは一斉に指を差した。


ただし、その差す方角は別々であった。




「これは!」


狼煙があちこちで上がっていた。


(しまった!俺の判断ミスだ!奴ら分散も出来たのか!)


「お前らぁ!近くのところまで援護に行け!ここは俺一人で良い!」


(くそ!てっきりまとまっているものだとばかり!)




戦士たちと別れ、女性の救出に向かう。


素早く機械兵を溶かし、全滅させた。


(指揮官がいなくても統率が取れていた。・・・学習しているのか?)


溶けた残骸を見てフランコは前よりも手間がかかったことにびびった。




「もう大丈夫だ!集落まで送っていく。」


「ひぃぃぃ、死ぬ~!死んじゃう!」


フランコの声が聞こえていないのか、女性はまだ走っていた。


「大丈夫だ!落ち着け!」


フランコはそう言い、女性を追いかける。


ガシャーン


激しい音が聞こえた。


それと同時に足に激痛が走る。


ゆっくりと、足元の方を見る。


刺さっていた。ギザギザの刃が。


しっかりと足に食い込んでいた。



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