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ダイヤモンド・ダスト・トレイル「斜陽へと羽ばたく鳥」   作者: 白山 遼
●完全閉鎖孤島ーキロネキシアー
2/490

●「襲撃」1/4

Gravity Falls

これはエドゥがこの惑星に降り立つ前の出来事。


教会と呼ばれる組織の一室に男が座っていた。


男の身長は180㎝ぐらい、長髪で右手にはやけどの跡があった。


「エリアス様、ジークリード様からの命令を伝えに使者が参りました。」


「通してください。」


男の名前はエリアス=サージェントといい、教会においては比較的高い立場にいた。


エリアスに命令を下すジークリードという男は最も神に近い存在とされ、教会の頂点に君臨し、その姿はエリアスでさえ見ることを許されていなかった。


そんな存在から急に命令がくるなど、今まで一度たりともなかったことなのでエリアスは身構えた。




「この写真を見てください。」


使者はエリアスに一枚の写真を渡した。


写真には一人の少女が写っている。


「この娘の名前はナタリー=ガンデイユ、この娘を教会の本部まで安全に連れてくること、それが任務です。」


「安全ということは、抵抗軍に狙われるほどの強力な祝福ギフトを持っているということですね?」




この世界には、生まれたときに神に祝福されるように人智を超える力をもつ者と悪魔に見いだされて呪いをもらう者がいる。前者が持つ力は祝福ギフトといい、制限はあるが超能力を自在に扱うことが出来る。


後者が持つ力は呪い(カース)といい、超強力な能力を扱えるが、強力が故に日常生活が困難になる。


教会の存在意義はこの祝福ギフトをもつ人々を集めて、よりよい世界を築くことにある。


教会の抵抗勢力を抵抗軍といい、こちらは呪い(カース)をもつ人々を集めているのである。




エリアスの質問に対して使者は答える。


「私の役目は命令を伝えることだけですので、詳しいことは何も知りません。」


使者はそういうと帰っていった。




使者と入れ替わるように、活発な女性がエリアスの部屋に入ってきた。


「ヤッホー!元気か!愛しのシャーちゃんが会いに来てやったぞー!」


「シャルロッタ、いつも言ってますけどノックくらいして下さい。」


女の名前は、シャルロッタ=スベンションといい、教会においてエリアスと双璧をなす存在である。


「今日は面白いものを持ってきたよ!」


そういうとシャルロッタは8×8の格子の模様がついた盤と片方が黒、片方が白に塗られた円を鞄から取り出した。


「これは何ですか。」


「ふっふん♪よくぞ聞いてくれました!これは今巷で流行のリバーシって名前のゲームなのだ!」


シャルロッタは腰に手を当て、得意げに言うとルールを説明する。




エリアスはシャルロッタとしばらくリバーシを楽しむと、シャルロッタに世間話をした。


「実はさっき、ジークリード様からの命令が届いたんですよ。」


「ふーん。」


「興味なしですか。」


「聞いてほしい?」


「別にいいです。」


「ごっめーん、すねないで!聞いたげる。」


エリアスは一息つくとシャルロッタに任務のことを話した。




「なるほどね。その子の護衛が任務なんだ、、」


シャルロッタが不機嫌そうに言うので少し引っかかったが、エリアスは話を終えた。


「この任務が成功したらもっと高い地位に立てるかもね。」


「えぇ、良かったらシャルロッタも護衛に加わってくれませんか?」


シャルロッタを加えれば任務の成功率が格段に上がると思いエリアスは提案をした。


しかし、シャルロッタは残念がってその提案を却下したのであった。


「あぁー、ごめん!可愛いシャーちゃんは引く手あまたで忙しいの!」


「なにか任務が入っているのですか?」


「うーん。どうも最近現れた機械兵の調査をしなくっちゃいけないみたいなんだよね。」




機械兵とは教会と抵抗軍どちらにも属さない新興勢力。現在確認数が非常に少なく存在も怪しまれている。




「そうですか。」


エリアスは残念そうに言った。


「大丈夫だって!あたしと同じぐらい強いエリアスがいるんだ!失敗なんて絶対にありえない!」


シャルロッタは不安そうにしているエリアスを励ました。




それから数時間後、二人はそろそろお開きにしようと話し合う。


「シャルロッタ、今日君に会えてよかった。だいぶ緊張がほぐれました。」


「あたしに惚れてもいいのよ!」


「あぁ本当に君には助けられてばかりいますからね。惚れちゃいます。」


エリアスは冗談めかしてそう言う。


それから二人は別れを言い、自分たちの部屋に戻っていった。






シャルロッタは部屋に入ると今日のエリアスとの会話を思い出していた。


(ぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああ、惚れたって本気?それとも冗談?)


シャルロッタは心がざわざわしているのを感じる。


(あたし今日もちゃんと喋れてたかなぁ?変な奴って思われなかったかなぁ?)


自分の発言をもう一度振り返る。


(あぁ、もっと話したい。一緒にいたいよぉー。)


頭の中がエリアスのことでいっぱいだった。


(エリアスが任務から帰ってきたら思い切って告白してみようかな、なんちゃって)


色々な事を考えながら、シャルロッタは任務の準備を始めた。






エリアスはシャルロッタと別れた後、早速馬車50台と部下500人を用意した。


「いいですか、皆さん。5部隊編成します。第一部隊は私エリアス=サージェントが隊長を務めます。


第二部隊は…」


各舞台の隊長を選出していく。今回は抵抗軍から対象を迅速に守らなければならないので隊長は祝福持ちが望ましい。が、祝福をもつ者は教会といえどもそう多くはない。エリアスの右手であるシュゼット=ガルという女性が祝福を持っているが、それ以外に祝福を持っている人はこの場にはいなかった。


シュゼットを第二部隊の隊長にし、あとの部隊は教会に長くいる者から選出する。


「それでは、少女を発見次第、信号弾で連絡してください。散開せよ。」


隊長を選出し終え、合図をすると各部隊は各地へと散開した。




同時刻、ある場所にて5つの影が潜む。


「寒い、寒すぎるぜー、へへへ、おい!毛布はねぇかぁぁ!ハハハァ!」


「うるさいねぇ、奴らの位置が分からないじゃないか。」


「綺麗な色が一つは東に、もう一つは南に向かったわ。あとは雑魚ね。果たして運命の人かどうか。」


「なら俺は東に行く。」


「・・・」




ー夜は明け、朝日が差し込む。ー




エリアス達は小さな村に到着した。朝食をとり、早速村人に声を掛ける。


「失礼、この写真の少女を探しているのですが。」


「あなたは何者ですか?」


「こういう者です。」


エリアスはシンボルマークを見せた。


「教会の方でしたか失礼いたしました。この少女なら森の方で見かけました。」


「ありがとうございます。」


村人に礼を言うとエリアスは背を向ける。


(まぁぬけぇ、教会の能力者っつても大したこたぁねえ。後ろから刃物で心臓ひと突きでフィニーッシュ)


村人はエリアスに近づく。


次の瞬間、村人は自分が地面に這いつくばって居ることに気付く。


(はっ?何?)


「いたたたたたたた、何ですか?やめて下さい。私は善良な市民ですよ!」


「いいですか。まず、教会にシンボルマークなんてありません。そして自分を善良なんて言う輩はたいてい信じられません。それに、殺意が全然隠れていませんね。」


エリアスがそう言うと村人はいきなり激昂した。


「ふざっけんな、しねっ!疾くしねっ!おい!全員でこいつを殺せ!」


物陰に隠れていた男の仲間達がエリアスに襲い掛かる。


「懺悔せよ。」


エリアスは能力を使うと、男たちを這いつくばらせた。


そして、男たちは


「ぎゃあああああ」「痛い痛いよぉぉ」「許してぇぇ」


悲鳴を上げると失神した。




男たちの身元を探ると抵抗軍に所属していることが分かった。


「もうこちらの動きがばれているとは、急いで少女を探さなければ。早く次の村に出発しましょう。」


エリアス達はすぐにその場所を去った。

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