⚙︎「共同戦線」5/12
「ねぇ、エリアス?」
「なんですか?」
「こうしてゆっくり話すのも久しぶりよね。」
「ここしばらくは休む暇がありませんでしたからね。」
エリアスは教会の命令で、ナタリーを捕まえるために大陸中を駆け巡っていた。
途中様々な妨害がありながらもポータム・ポートで彼女を発見する。
エドゥたちと出会ったのはこのときだった。
彼らと一戦交えた後、あと一歩のところでトラブルが発生し、彼女を取り逃したのだ。
神の鎧と書いて神鎧。
教会から認められた精鋭部隊“正規軍”が戦争時にのみ使用を許可された武装。
装着することで使用者の能力を極限まで引き出してくれるのだが。
どういうわけか、エリアスの神鎧は一人でに動き出していたのだ。
彼はナタリーの件を一度保留にし、神鎧を抑えることにした。
その協力者としてシャルロッタ、ザウルが名乗りをあげてくれたのだ。
「それにしても次から次へと色々なことが起こるわね。」
「えぇ、でもどれも無視することができない。一つずつ着実にやりましょう。」
エリアスは空を見上げる。
「とりあえず、この街の平和から取り戻してみせます。」
「まぁまぁ、そんなに根を詰めすぎるとよくないわよ。」
シャルロッタは棚からリバーシを取り出した。
「さぁ!黒か白かどっち?」
§
(この胸に溢れてくる熱い感情が恋という物なのかしらね。)
シャルロッタと感覚を共有しているアンジェリカは、ふとそんなことを考えていた。
「ったく。なんで吸血鬼がこの部屋にいるんだよ!」
「まぁまぁ、いいじゃないっすか。」
彼女と同じ部屋にいるのはザウルとカロリーナだった。
「仲間のところで休めばいいじゃねぇか!」
「ジンジャー兄さんは睡眠を邪魔されるとすごい怒るのよ。バルーノ兄さんも今はそっとしておいた方がいいと思うわ。」
「もうもう!一人じゃ寂しいって言ってくれればいいのに!」
カロリーナはアンジェリカに抱きつく。
「お前。いくらなんでも打ち解けすぎだ。仲間になったわけじゃない、休戦しているだけだということを忘れるんじゃねぇ。」
「なおさら今しか触れ合えないじゃないですか!」
「ふふふ、そうね。今だけ特別よ。」
「やったー!肌白い!もちもちしてる!」
「まったく。付き合いきれねぇ。」
ザウルは部屋から出ようとした。
「ちょっと、どこ行くんすか?」
「エリアスのとこだ。」
カロリーナとアンジェリカは互いに顔を向けると頷き合う。
「かぁ〜〜〜。先輩は空気が読めないねぇ〜。」
「えぇ、本当に。」
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