少しの間付き合ってはくれないだろうか時間は取らせないよ、なにただの語りさ
「少し、お話をしようではないか」
「あー、いやいや。座っていてくれて構わないよ」
「私も君と同じようなことがあった。それは昔から。いや、今もあるのだよ」
「どうやって越えたかって?越えてなどいないさ。ただ、真剣に生きてきただけさ」
「そりゃあ逃げたしたいことなんていくらでもあったし。今だって逃げたいことに変わりはないよ。でもね」
「逃げても逃げても、何度だって同じ目には会うのさ。この環境から逃れようがこの街から逃れようがこの国から逃れようが、もしかしたらこの宇宙から逃げ出しても付いてくるかもしれない」
「そう。ただ目を背け、その時逃げられる方へ逃げるのは。言ってしまえば生き物としての本能だろう」
「しかしね君、我々は人間だ。」
「君が女性なのか、男性なのか、はたまた今を生きる新しい性別なのかは分からないし。元よりそれは関係がないんだ」
「今は男女平等が謳われ、世の中を弾糾する人々が溢れている」
「しかしね、君。平等であるというのは利益だけを分け隔てなく受けるという意味では無いと私は思うんだ」
「平等にし、利益が等しくなるなら。それは不利益も等しく全ての人々に与えられるということさ」
「何が言いたいかと言うと。男だから。という言葉は似つかわしく無いし、もうその言葉は意味を持たなくなっているということさ」
「つまり。人間に産まれてしまったからには人間として生き、死ななければならない。社会で恩恵を受けるためには等しく弊害も受けなければならない」
「与えられた名称に縛られることはもうない。自分に縛られて生きていくしかないんだ」
「自分を見損なわない為に、自分に恥ずかしくないように、自分で自分を殺してしまわないように。自分で自分に約束事をし、そしてそれをこなして行く内に。ほら、昨日までは死にたいと思うほど辛かったのに今はもう平気じゃないか。約束を守り、自分に誇れる生き方をしていれば。君を打ち滅ぼせるものなどない」
「他者に後ろ指を指されても。自分に恥じない生き方をしなさい」
「最後に一言だけ言わせてくれるかな?」
「ブレんじゃねぇぞ」
It’s My Life