ユンちゃん再生誕
私、バカでした。どうも、ユンと申します。突然の自虐、お許しください。
今ここは……羊水の中でしょうか?目が開けられません。なぜバカだと自虐したかと言いますと、
転生=生まれ変わる=みっちゃんと一緒には居られない。
(あの白蛇に騙された……。)
いや、よく考えたらそうだとは気づくと思うの。あと、私も話聞いてなかったし。っていうか!
(羊水らしきところにいるのに何故に意識があるし……)
もしかして生まれる直前?じゃあ産まれたいって意思見せたらいいんじゃないか?……けどおかしいな。手も足もある感覚がない。とりあえず母体の心配もせずにじたばたする。すると、
ピシッ
(ん?ピシッ?あれ?固いもの……なのか?……やな予感。じたばた!)ピキピキッ
ガシャン!
私が何かを割って外に出たとき、まず最初にわかったことがある。
私は、目が開けられないのではなく、元々から開けていたのに気づいていなかった。ということ。
そして、ここが草むらの中であるということ。
最後に……私は地面を這う蛇である……ということ。
「…………蛇?白蛇様に転生させて貰ったから?何で……何でェェェ!」
叫んでぐったりしてやっとで落ち着きました。蛇……これから蛇として生活していかなければならないことを考えると心が折れそうですが、みっちゃんを思って耐えます。
ですが、それでも辛いことが……。蛇が行う行為として、舌をチロチロしていたとき、とても嫌な臭いが漂って来ました。……血生臭さと、腐敗臭が混ざった酷い異臭。
そっと背の高い草に身を隠して臭いの元を見る。視力が悪いせいか全然見えない。(蛇は視力や聴力などが退化している種が多い。)
しか~し、まだ焦るときではないですぞ。さあ、ステータスオープン。
スネークベビー
Lv1 性別メス 職業 なし
戦闘力
耐久力160 魔力量390
攻撃力30 魔法力5
瞬発力90 速力 50
耐性
物理耐性-50% 魔法耐性-100%
スキル
鑑定1 地属性魔法0(レベル2で解放) 毒牙2
称号
土地神の加護、深き愛を受けるもの、転生者
残スキルポイント1
ステータスが高いのか低いのかわからんが、たぶん低い。……とりあえず鑑定があったから音の正体でも鑑定してみよう。
「こっちの方だな……当たるかな?鑑定!」
『鑑定に失敗しました。』
……えっ?いやいや、いくら1でも名前すらわかんないって存在価値ないじゃん!……ま、まあ、一回くらい……ねぇ?
「鑑定!」
『鑑定に失敗しました。』
ちくせう。鑑定成功しないじゃないですか、やだ~。もういいし!こうなったら成功するまでやってやる!
~数分後~
「か…鑑定!」
『鑑定に失敗しました。』
だるい。失敗した鑑定の回数はだいたい100回位。成功回数は……0。
一回の消費MP(魔力量)が3なので残り90程しかない。ただ、相変わらず異臭の主はすぐ近くでうろうろしている。というか少しずつだけど巣に近づいてきているのが臭いでわかる。
どうしよう……。いずれここまでこられたら……食べられてしまうかも……。しかし、恐怖が込み上げてきた瞬間突然動けなくなる。びくびくです。
(あれ?動けないし声も出せない……。ナンデ?)
すると、異臭が今まで以上の速度で近づいてきているのがわかった。気づいたんだ。こちらに。ドタドタドタッ、足音が鳴り響く。
蛇は地面につけた皮膚感覚……つまり地面の振動等で他の生物との距離を感知できます。
(もうダメだ!すごく近い!動け、私の身体!)
そう思ったとき、
『熟練度が一定値を越しましたので、恐怖抵抗1を入手しました。』
すると、身体が草むらの更に深いところに移動できたのがわかりました。声も出せるようになってますが、バレると不味いので発しません
(恐怖抵抗……か。恐怖のあまり腰が抜ける的なものと同じ感じかな?)
そう思っていると自分のいる草むらとは反対側から黒い影が現れました。しかし、
(……うまく見えない……。何で?目が悪いから……とか?せめて常人並みに見えたらなぁ……。)
そう考えながら動く何かを見つめていると、
『スキルポイントを消費することで視覚強化が取得可能です。』
と言われた。もちろん即了承。人として生きてた頃だって視力だけは悪くしないよう勤めていたんだから!
『スキル、視覚強化1を入手しました。』
「見えるようになったら通るかな?(小声
よ、よし。鑑定!(小声」
徐々に姿が見えてきたその鳥は、黒い身体に大きな羽。赤く染まったくちばしを持っている。そいつは、まさしく黒い《ハゲ鷲》というにふさわしい姿をしていた。
『ダークアクイラ Lv89
その他の鑑定に失敗しました。』
あの凶悪な鳥はいったい…ユンちゃんの運命やいかに……。